漢字「梅」の起源と由来
引用:「汉字密码」(P155、唐汉著,学林出版社)
「梅」の字の成り立ち」
梅は形声字で木偏と「毎」からなっている。「毎」は象形文字で本義は氏族社会の中で、子供を最も多く育てた母親のことである。《詩経》では「原田毎毎」という表現で、田畑の植物がよく茂り繁殖していることを形容している。従って、梅がなぜ梅と書かれるようになったかの原因を知ることは難しいことではない。
古人は梅を如何に考えたか
梅が実をつける時、必ず枝枝全てに累々と実をつけている。このほか、女性が妊娠した時酸っぱいものを食べたい時、いつも梅の果実を口の中に入れているのは中国の妊婦の習慣の一つである。古人も認めるように梅は女性が妊娠した時の生理反応を助け、胎児を平安に発育させることが出来る。この為人々は梅を一種のめでたい樹木と考えた。
「梅」の効用
酢がなかったころ、古人は梅を使って生臭さを消した。《礼記・内則》にある「酵素を用いて和え、肉は梅を用いる」動物の肉を煮て食うとき、必ず梅のみを生臭さを消す調味料として使った。羹を和える時、塩梅を用いる。梅醤油を作る時、古人はこれを「酢」と云ったが、今の人はこれを酸梅汁と称する。
漢字「戌」の起源と由来
干支の「戌」は「犬」ではありません。
中国では年を表すのに10を一サイクルとする十干(甲、乙、丙・・・)、12を一サイクルとする十二支(子、丑、寅・・)の二つの指標を使って表してきた。これで比較的になじみが多いのが、丙午だろう。日本ではこれを避けるために、出生率がぐんと下がるほどの影響力を持っている。
来年の干支は「戌」である。この漢字は動物の「犬」とは起源も由来も違い、中国人独特の思考方法により生み出されてきた漢字である。
引用:「汉字密码」(P878、唐汉著,学林出版社)
「戌」の構造形は元々一種の丸い刃の広い短い柄の戦闘用の斧から来ている。
古代はこれを「鉞」と称していた。「戌」は甲骨文字では象形文字である。突き出した半円形の刃の部分は典型的な「鉞」の特徴を持っている。
金文の「戌」の字はその他の兵器の文字と同様な変化をして、右辺の「木偏+必」(木の柄)の形は矛・戈 という旁になった。左辺の半円の刃の部は線条化の変形過程の後、トとなった。金文から小篆以来、楷書は小篆を受け継いでいる。
戌の字は兵器の象形文字である。
しかし戌は十二支であり、兵器からの直接の由来ではなく、「戌」という名の神祇から来ている。
上古先民はこの「戌」という名の神祇は嬰児のある神秘的な関係を持っているとする。それゆえ戌という神祇に向かって子供の成長を加護の献祭が必要になる。このため戌は十二支の第11番目に借用されている。
一方動物の「いぬ」の漢字は「犬」で、甲骨文字でははっきりとした象形文字で犬の形が具象化されており、誰が見ても犬にしか見えないもので、干支の「戌」の漢字とは似ても似つかないまったく異なる由来であることが良く分かる。