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2021年3月4日木曜日

漢字の成り立ちと由来:木に関係する漢字「林」の意味するもの


漢字の成り立ちと由来:木に関係する漢字「林」の意味するもの
「林」は直感的に理解できる文字である。木が2本で多くあることを示し、さらにもっと集まれば森となる。

漢字の読み
  • 音読み  リン   
  • 訓読み  はやし
漢字の成り立ちと構成:   会意 木木

「林」を構成要素とする漢字:
  禁・・林と示に従う。そこを神を祀る聖所とする意
  惏・・音読み リン 訓読み むさぼる
  麻・・旁に「林」となっているが、原字は林ではなく、麻の皮の象形文字

引用:「汉字密码」(P147、唐漢著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「林」は同体会意文字である。甲骨文字の字形はちょうど2本の樹木が並立している模様である。

 金文、小篆及び楷書は、甲骨文と形体は同形である。2本の果樹が並立していることで樹木が多くあることを示している。樹木が林立していることから拡張され、人或いは事物が集まっていることを示す


字統の解釈
 二木に従う。《説文》に「平土に木が多く集まっていることを林という。



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2021年3月2日火曜日

漢字の成り立ちと由来:漢字「桃」はなぜ木と兆から成る?桃は縁起のいい「仙木」とも呼ばれていた!


漢字の成り立ちと由来:漢字「桃」はなぜ木と兆から成る?
 3月3日はひな祭り・桃の節句、桃の節句の起源と漢字「桃」の成り立ちの陰には何があった?

  桃は邪気を払う呪力がある縁起のいい「仙木」とも呼ばれていました。
 3月3日は「ひな祭り」またの名を「桃の節句」といい、女の子の健やかな成長を願うお祭りとして定着しています。なぜ3月3日ということについては、古代中国の陰陽道では、1・3・5・7・9の奇数が重なる日に、お供えやお祓いをする風習があったことに端を発しています。3月3日の上巳(じょうし)がそれに当たります。

 これとは別に、日本の公家社会には「ひいな(ひな)遊び」という幼い女の子の遊びがありました。平安時代の事です。この遊びが江戸時代になって武家社会の中で広まり、「ひな祭り」として定着したといわれています。

 そしてこの旧暦の3月3日といえば、丁度桃の花が咲くころで、桃の厄除けに対する信仰が、女の子の健やかな成長を願う安全祈願と結びついて、「桃の節句・ひな祭り」が結合したものといわれています。


引用:「汉字密码」(Page、唐漢著,学林出版社)
桃の実は胡桃の種のように真っ二つに割れることからきている。
 

 
字統の解釈
 形声。声符は兆(チョウ)。《説文》に「果なり」とあり、桃をいう。説文からの引用で、果実を主とする木の意である。中国の古典には、桃には祓うという呪能があるとされ、松や橘が吉祥とされるように、桃も呪能の強い木とされた。
 桃には鬼神の祭祀には、その例を驚かせる怖れがあるとされた。
 また、「桃には鬼の畏るるところなり」という記述もあり、桃の呪的な性質はのち多くの民俗の中に伝えられている。



漢字源の解釈
  会意兼形声。「桃」は「木」+音符「兆」で、その実が二つに割れる桃の木。

 

桃の実の効能
 桃の種は昔から漢方薬として重宝されていた。宋の時代の医学書「傷寒論」にも、桃仁(桃の実の堅い核の種)は婦人の病気に効能ありとされている。現在も、桃仁を使った桃核承気湯という漢方薬がツムラ漢方から発売されており、女性の血行を促進する薬として知られている。

参考ページ :中国人に最も好まれる木「桃」の起源と由来

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2021年1月2日土曜日

新年の「新」の起源と成り立ち:新は囚人の拘束具を斧で解き放つ意味で、囚人から奴隷へと新しい命運の始まりをいう

新年の「新」の起源と成り立ち:新は囚人の拘束具を斧で解き放つ意味で、囚人から奴隷へと新しい命運の始まりをいう
 「新年おめでとう」、「謹賀新年」などと普段から何気なく使う新年の「新」。実はその起源と成り立ちは我々が思いもよらなかった歴史が秘められていて、そこには血と涙の弛まぬ人々の思いがこめられていた。

 漢字「新」の左側は囚人のための拷問器具である「辛」、右側は柄の折れ曲がった斧である「斤」です。 二つの図形の会意文字は、囚人を護送した後、斧を使用して拷問器具を首から外すことを意味しています。囚人の拘束具を斧で解き放つ意味で、囚人から奴隷へと新しい命運の始まりをいう。


引用:「汉字密码」(P622、唐汉著,学林出版社)
「新」は囚人の首から斧で枷を外す意味
唐漢氏の解釈
 「新」、これは会意文字です。甲骨文の「新」という言葉は左右が結びついた構造を持っています。左側は囚人のための拷問器具である「辛」、右側は柄の折れ曲がった柄の斧である「斤」です。 二つの図形の会意文字は、囚人を護送した後、斧を使用して拷問器具を首から外すことを意味しています。

 金文の「新」は甲骨文字を継承しましたが、斧の形は「斤」に変化しました。小篆の文字「新」が左側の「辛」の下に「木」が追加されています。これにより、小篆の左側の構成が簡略化され、「亲」になり、そのため、「新」と表記されます。 捕虜から奴隷へ、それは新しい命運の始まりです。

 「新」の本来の意味は「新生」、つまりさしあたり死から逃れ(古代社会では大きな祝福です)、「奴隷の新しい運命」の始まりです。このことから、拡張され一般的な意味の「新」すなわち「新しい人、新しい火、新しい芽、花嫁」などの一般的な意味での「新しい」に拡張されます。
 捕虜の首から拷問器具を外し、薪に使用します。したがって、「新」はたきぎの意味を持つことから「薪」とも書きます。「新」に「草冠」を付け加えたものです。 《南史•陶渊明传》のなかの「助汝薪水之劳。」の中の 「薪水」の本来の意味は、薪と水です。薪と水は生活必需品です。したがって、後世は「薪水」を「俸禄」と呼び、現在は「給料」と呼ばれています。



字統の解釈
 会意文字:辛と木と斤に従う。辛は針。新木を採るとき、木を選ぶのに矢を放ち、針を打つなどして選木の儀礼があって、神に供すべきものを定めた。新とは新死者のための神位を作るの意味。


漢字源の解釈
 会意兼形声 辛は鋭い刃物を描いた象形文字。亲は「木+音符「辛」の会意兼形声文字で、木を切ること。「新」は「斤(斧)+音符「亲」で、切り立ての木、生々しい意。


結び
「新年おめでとう」、「謹賀新年」などと普段から何気なく使う新年の「新」。実はその起源と成り立ちは我々が思いもよらなかった歴史が秘められていて、そこには血と涙の弛まぬ人々の思いがこめられていた。



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2018年11月15日木曜日

「支」(木の枝)と「干」(木の幹)から古人は年月の数えるのに干支(えと)を考え出した


「支」は元々「枝」を意味していた。そして干支は木の幹と枝から発想された

引用:「汉字密码」(P139、唐汉著,学林出版社)

「枝」の字の成り立ち」
木の枝の漢字の起源は「枝」ではなく、「支」であった。白川博士の字統でも「支:木の小枝を持つ形で、枝の初文」とある。「支」の用義が分化するに及んで、四肢・枝幹などの字が作られたとある。
 木の「支」の下部の又の字は元々「手」である。 甲骨文字では、具体的に、木の中ほどに手をいれて掴んでいるように見えるが、唐漢氏はこのことから、白川博士より、もう少し踏み込んで、「古文中に手の中に一本の棍棒をとる形は即ち植物の枝の条のなす所以だ。枝は比較的細く、小さな棍棒と同じく木の幹から派生して、枝別れする枝である。植物は根、茎、枝で全体である。枝は幹と比べるとそれほど重要ではない。このため枝節は副次的なこと或いは緊要でないことの比喩に用いられる。」
 
 この「枝」が幹から派生していくのを、古人は年月を数えるのを、木の幹である「十干」にその枝として「支」を結合させ、六十年を一サイクルとする干支を作り出したものであろう。


世界の干支
 さて、日本、中国、韓国以外にも年月を数えるのに干支を用いている国には、ベトナム、チベット、タイ、モンゴル、ロシア、ベラルーシなどがあるということである。

 登場する動物も、干支の最後に登場する猪の代わりに豚が登場する国がある。猪の変わりに豚、ウサギの代わりに猫、牛の変わりに水牛、寅の変わりに豹など、民族色豊かだ。


これは猪か果てまた豚か
 少し話は変わるが、南太平洋の諸島の中でバヌアツという国があるのをご存知だろうか。この国では、豚が非常に珍重されていて、結婚式の引き出物だとか、部族間の抗争の手打ちに豚一頭が使われていたそうだ。


バヌアツの豚の置物
 バヌアツという国の豚は牙を持っており(他でもあるだろうが)、この牙もまた珍重されて、タスカルという名で国旗にも使われている。最高級のものは、この牙が何重にも巻いているものだそうだが、イギリスのエリザベス女王の下にはこの最高級の牙が収められているということだ。
 おそらく豚が完全に人間に馴化するまでの過程にはこうした牙を持った豚あるいは猪が、世界を闊歩していただろうという話。






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2018年10月3日水曜日

漢字「杏」の起源:今ブレイク中の女優は「杏」さん。杏はアンズの杏。生命力溢れた植物


漢字「杏」の起源と由来

引用:「汉字密码」(P158、唐汉著,学林出版社)

「杏」の字の成り立ち」
 杏の原本は象形字である。甲骨文字の「杏」の字は杏の核から芽が萌芽した形をしている。杏は生命力のある果樹で杏子の棋盤に埋め込んでも発芽し枝を出すという。又土地がどんなに貧弱でも、山の谷あいのいたるところで杏の木はあり、砂漠でも杏の木はあるのは生命力の強い証拠だ。「杏子」の字の下部は断裂があり、木と口とに変化している。楷書ではこの関係からこの字になった。


古人は「杏」を如何に考えたか
 杏は中国原産の植物である。昔から香りのいい食物として珍重され、また咳止めの漢方薬としても重宝されていた。
 ある人は杏の発音から、その芳香が人を気持ちよくさせるものと認識している。この種の話はある道理も持っている。
杏仁(果実とその種)は香りがよく、杏仁の中の白色の部分を取り出し粉末にして杏仁粉とする。もし水と糖を加えると杏仁乳が製造され、清涼飲料になる。我々は杏仁豆腐として馴染みがある。但し杏の発音は古音ではHengと読み"亨、行と同じ音である。

「杏」にまつわるちょっといい話
 杏に関していえば、いい話がある。三国時代の名医呉董奉という人は、廬山に住んでいたが、人の病気を治しても金は取らなかった。しかし、病気が重いものは杏5株、軽いものは杏1株を植えさせ、それを治療費とした。数年後杏は10万株にもなり、董仙を称して杏林といった。なくなって以後杏林は医療を讃える言葉となった。このほか、学術界のことを、杏壇と人々はいうが、これは孔子がかつて、杏壇(現在の山東省曲阜)で教えていたからである。



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2018年4月26日木曜日

「春」は昔、草木が芽を出すことだった。今は「春コミ」に始まるそうだ


漢字「春」の起源と由来
 春といえば「春コミ」から初まるというのが、若い女性のトレンドらしいのですが、この「春コミ」何のことかわからず、調べてみました。
 春は春コミ、ゴールデンウイークはスパコミ、夏は夏コミ、秋はSPARK、冬は冬コミ。このようにスケジュール化していることを言うのは、スケコミではないかと思いますが・・。
 要は「春コミ」といえば、春コミとはHARUCOMICCITY(ハルコミックシティ)のこと。 毎年3月末の日曜日に東京のビッグサイトで開催される。 1日開催としては、最大規模の即売会である。
 ところでこのスケコミが今年から、ややこしいことになるらしい。問題の背景は、東京オリンピックに絡んだ各種行事や準備作業が、イベントで使われてきた東京ビッグサイトに割り込んできているらしいとのことです。

引用:「汉字密码」(P285、唐汉著,学林出版社)
「春」の字の成り立ち」
 春の原本は会意文字である。甲骨文字の左辺は上下に分かれ、「木」の二つの部分である。木の中間に「日」があり、太陽が昇ることを表している。字の右辺は「屯」であり、潜り込んだ根が発芽することを表している。明らかに春の字の本来の意味は太陽の光が強くなり草木が生え出す時期を表している。
 金文と小篆の春は甲骨と比べ字形は均整化されている。上部は草冠、中間は「屯」の字で下部は「日」である。以後隷書の変化を経て今日の字体となり、「草」、「屯」の字は最早現らわれていない。

 しかし「春」は一年の開始を示し、この本義はずっと変わらずにいる。春のような景色は「春色」「春光」といい、春の農繁期は「春忙」といい、30歳になると赤い紙に吉祥の文字を対連で「春联」などなど。古代文学者は大変多くの草木の生長する様を描写して、「春に至りて江南の花自ら開す」「春の到来を人は草木に先んじて知る」「春に至れば人間万物鮮やかなり」など、これらの詩句春に万物が萌出る現象を表現している。
 

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2018年1月25日木曜日

漢字「梅」の成立ち:木偏と母親を示す『毎』


漢字「梅」の起源と由来

引用:「汉字密码」(P155、唐汉著,学林出版社)

「梅」の字の成り立ち」
梅は形声字で木偏と「毎」からなっている。「毎」は象形文字で本義は氏族社会の中で、子供を最も多く育てた母親のことである。《詩経》では「原田毎毎」という表現で、田畑の植物がよく茂り繁殖していることを形容している。従って、梅がなぜ梅と書かれるようになったかの原因を知ることは難しいことではない。



古人は梅を如何に考えたか
 梅が実をつける時、必ず枝枝全てに累々と実をつけている。このほか、女性が妊娠した時酸っぱいものを食べたい時、いつも梅の果実を口の中に入れているのは中国の妊婦の習慣の一つである。古人も認めるように梅は女性が妊娠した時の生理反応を助け、胎児を平安に発育させることが出来る。この為人々は梅を一種のめでたい樹木と考えた。

「梅」の効用
 酢がなかったころ、古人は梅を使って生臭さを消した。《礼記・内則》にある「酵素を用いて和え、肉は梅を用いる」動物の肉を煮て食うとき、必ず梅のみを生臭さを消す調味料として使った。羹を和える時、塩梅を用いる。梅醤油を作る時、古人はこれを「酢」と云ったが、今の人はこれを酸梅汁と称する。


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