2022年4月23日土曜日

漢字 境の意味するところは? 境界それは連続の尽きるところ、即ち連続した世界の終焉を意味する 現代は人類の境界、地球の境界


漢字・境は何を意味していた? 「全ての事の終結、終了すること」をいう
 ほんの数年前までは、『国境』という概念は厳然と峻立していた。それが今では、この概念はひところと比べれば、見る影もなく薄くなっている。その今までのある種の規制のぶち壊しの立役者は、資本の国際化だ。今風に言えば、『グローバリゼーション』である。通貨もビットコインと称して一国の通貨からネットの通貨が幅を利かし、通貨では国境という規制が際限もなく押し下げられている。

 この「消えゆく国境」の現象は、単に通貨にとどまらず、人の流れ=民族の流動化を引き起こし、経済活動の拡大は、ツンドラの凍土地帯の解凍、、アマゾンの切り開きによる密林の伐採等による気象の変動など等様々な事象がカオスの様相をきたしている。


アメリカの経営学者のピーター・ドラッカーは「断絶のの時代」という著書の中で警告をしていた。
  継続の時代の終焉——20世紀半ば、社会と文明における根源的な変化が起こりつつあった。情報化の進展、グローバル経済の出現、知識社会の到来、多元化、そして政府の無力化。本書で予期された変化は、確かに訪れた。そして今なお、余震は続いている。変化の本質を知らなければ、未来を見誤ってしまうだろう。

 ここにきて、ロシアのウクライナ侵略が起こり、世界は未曽有の混乱を引き起こしている。いま世界に起こっていることはドラッカーの予言通りであったのだろうか。少なくとも見かけ上はそう見える。一方で資本主義の終焉が叫ばれている。資本主義は肥大化し続け、グローバリズムの名の下に資本主義はあらゆる障壁を取り払いつつ拡大し、さらには資本主義の内部の境界までも取り払いつつある。人間の犯さざるべき基本的人権すらも資本の自由の名のもとに取り払われ、資本の赴く先、見境がなくなっている。

ここで取り上げた「境」はまさしく今の時代を言い表す言葉だ。
世界の境界、時代の境界、価値観の境界、そして地球の境界。
人類はどこに向かうのか

漢字「境」の楷書で、常用漢字です。
左は土で、右側の旁は「竟」です。
 「境」の原字は『竟』です。「竟」の語義は、全ての事の終結、終了することを竟といいます。
境・楷書境・楷書


  
竟・甲骨文字
下辺は人で上辺は辛で、移送される囚人の刑具である。中間の国は首に「辛」がついているという意味で、囚人になるという意味です
竟・金文
金文の竟の字は甲骨文字を承継し、上辺の「辛」が人の首の上にあることを示しています
竟・小篆
金文を受け継ぎ楷書は隷書化の過程で、変化している


    


「境」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   キョウ・ケイ
  • 訓読み   さかい

意味
  • 境界、境目   例:国境、境界
  •  
  • 場合、地位   例:境遇、逆境
  •  
  • 神社などで、神の鎮座する特別な領域と意味付けて、特別な呼称で呼ぶ。境内:ケイダイと読む。

同じ部首を持つ漢字     竟、鏡、
漢字「境」を持つ熟語    境内、境界、境遇、異境


引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 [竟]の本義は捕虜になった時に発せられる感嘆及び捕虜という命運で、捕虜という自由を喪失した。為に「竟」は完了、終わりの意味だ。『未竟的事业』の中の竟は完了の意味です。捕らわれたことの命運、意外なことの慨嘆。 竟は実はの意味で、他のことを言っていることではない。また拡張されて到底の意味が出る。このために竟には离境の意味がある。

漢字「竟」の漢字源の解釈
  会意文字である音+人で音楽の終わり。楽章の最後を示す。 境(端末の切れ目)などと同系


漢字「竟」の字統の解釈
 竟:音と人に従う。 説文に楽曲を盡するを竟となしとあって、終竟の意とする。竟とは祝禱の終わることその成就することを言う。それで全ての事の終結、終了することを竟といい、又これを地に施して境と言う。


まとめ
 「境」は『さかいめ、区切り』を意味するものだと思っていた。しかし、別の見方からは「物事の終わり、終焉」を意味するという。終末思想ではないが、最近の世界を見ていると、世界の終焉。終わりを示すように思えて仕方がない、



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2022年4月10日日曜日

旅という漢字の成立ちは「旗と人々」から成る。その意味は?


漢字・旅の生まれは現実的で厳しいものだった

旗の下で行軍するもようを表した象形文字だった
目次
  1. 前書き
  2. 漢字旅のつくり
  3. 「旅」の漢字データ
  4. 唐漢氏の解釈
  5. 漢字「旅」の漢字源の解釈
  6. 漢字「旅」の字統の解釈
  7. まとめ
前書き
  「旅」は昔から人々にある種の郷愁を醸し出してきた。その意味で、「旅」は広い意味での旅行や移動だけでなく、人生の旅や経験の積み重ねといった精神的な旅を指すこともあります。人々が新しい場所や文化に触れ、成長や学びを得る過程を表す言葉としても使われます。
 しかし、旅という漢の成立ちは、その様なロマンティックなものではなく、隊列を組んで更新する軍隊の行軍そのものを表す象形・会意文字でした。



漢字旅のつくり
漢字旅のつくりは㫃と从からなる。意味は旗印のもと大勢の人が行進するという意味で、ここから旅団という語が生まれた。
 漢字を構成する「方」は単独の意味を持つというより、施や旋等と同じように旁と一体と考えるべきものである。ここでは旗や吹き流しの下にあることを表している


漢字「旅」の楷書で、常用漢字です。
 吹き流しと従に従う。 吹き流しは旗を掲げて多くの人が他に出行をする意。それで軍行の集団の意となり、旅行の意となる。説文に「軍の500人となす。軍旅の意となる。」軍事用語で旅団はここからできた言葉。

 現代では、旅団とは1,500名から6,000名程度の兵員によって構成される部隊をいい、師団より少し下の単位を指す。
旅・楷書


  
旅・甲骨文字
これは古代の旗の下には2人がいて、兵士たちが軍旗に従って行進していることを示しています。
旅・金文
金文は戦車に大きな旗を掲げており、兵士たちは大きな旗の周りに集まっています。
旅・小篆
小篆は甲骨文字に似ており、大旗の下に2人の人(兵士)がいます。


    


「旅」の漢字データ
 
漢字の読み
  • 音読み   リョ
  • 訓読み   たび

意味
     
  • よその土地へ行く、旅行する。  旅・旅客・旅行 
      たび    旅人・長旅・船旅」
  •  
  • 軍勢。隊を組んだ軍。戦争。戦。 旅団・軍旅・師旅
  •  

同じ部首を持つ漢字     方、於、施、旋
漢字「旅」を持つ熟語    旅行、旅団




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「旅」、これは会意文字です。甲骨文字の「旅」の上部は古代の旗の象形文字です。
 右下には2人がいて、兵士たちが軍旗に従って行進していることを示しています。金文は戦車に大きな旗を掲げており、兵士たちは大きな旗の周りに集まっています。 小篆は甲骨文字に似ており、大旗の下に2人の人(兵士)がいます。楷書の「旅」が改変され、下部の2人が上下を繋ぐ民の字に変化しています。

 


漢字「旅」の漢字源の解釈
 会意。「旗+人二人」で人々が旗のもとに隊列を組むことを示す。人々が旗のもとに隊列を組むことを示す丸幾つも並んで連なる意も含む。軍旅がその原義にに近い


漢字「旅」の字統の解釈
 会意文字。㫃と从に従う。 㫃は吹き流しをいう。意味は旗を掲げて多くの人が他に出行をする意。それで軍行の集団の意となり、旅行の意となる。説文に「軍の500人となす。軍旅の意となる。」

まとめ
 漢字「旅」は現代の漢字からだけではその意味を推し量ることはできない。甲骨文字や金文に戻って初めて,その秦の意味に辿り着くことができる。



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2022年4月3日日曜日

漢字・戒の由来と成立ち:「戒」は主に「いましめ」の義に使う。本義は武器をとることであった。警戒の意味に使うようになったのは後のことであろう

漢字・戒の由来と成り立ち:戈(ほこ)+ 廾(両手)から、成る
  今では「戒」は警戒するの意味に主として用いる。原義は武器を持った集団即ち兵・軍隊のことであった。
 戦うことと警戒することとは同義的と考えられていたことから、後に警戒するという意味に用いられるようになったのだろう。漢字の生まれから考えて、最初から警戒という概念があって、後に兵・軍隊が生まれることはないのではないだろうか。


漢字「戒」の楷書で、常用漢字です。
 戈と廾とに従う。廾は両手。戈を高く両手であげている形で、警戒の意
戒・楷書
説文に桎梏なり。桎梏とはかせ。 また一に曰く。「器の総称なり。 持するなり。一に曰く盛あるを械となし、盛なきを器となす。」
 盛とは攻撃性の武器のことで、甲冑兜は内成の器、戈弓戟は外成の器である。孫子に「この両者を併せて器械を具す」という。また、

 説文の別の説明には、桎は足枷なり。梏は手枷なりとあり、桎梏は外から制約を加えるの意を持つ。
械・楷書


 甲骨文字は、両手で飾りのついたシンボルとなる戈と支えているように見える。それは戦いに備えるというより、戦いの最中に、自分たちの旗幟を懸命に打ち立てて味方全体を鼓舞しているように見えないだろうか 
戒・甲骨文字
戒・金文
た状態を表している漢字
戒・小篆
以上2文字の会意で、即ちとか直ちにを意味する


         


「戒」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   カイ
  • 訓読み   いまし(め)

意味
     
  • いましめる 用心する・・警戒、厳戒
          控え目にする
          してはいけないと禁止する
  •  
  • いましめ・・戒律

同じ部首を持つ漢字     械、成、戦、賊、我
漢字「戒」を持つ熟語    十戒、警戒、戒告、訓戒``




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「戒」は会意文字です。甲骨文字の形の中間は下部の左右両側は長戈を固く握った両手です。全体の字形は、迫ってくる敵の犯行に対する備えを表しています。金文の構造は甲骨文の相似ですが、ただ左右にあった手が、戈の左下に移っています小篆の形体は金文から直接変化し、二つの手は戈の下になっています。楷書の形体は変化し、戈の形体はまるで似ている。しかし、手の組み合わせが「艸」になり、手の形がまったく見えなくなりました。

漢字「戒」の漢字源の解釈
 会意文字:「戈+両手」で武器を手に持ち用心して備えることを示す。 張り詰めて用心するを含む


漢字「戒」の字統の解釈
 戈と廾とに従う。廾は両手。戈を高く両手であげている形で、警戒の意。戉を挙げる形は兵で字の作り方が同じである。警戒の意より戒告の義となる


まとめ
 「戒」の字は、闘うことは備えることだと教えてくれる。特に昨今の情勢では、意味深い字である。




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