2021年2月27日土曜日

漢字の成り立ちと由来:漢字「碍」は一体どういう意味?「碍」は「障碍」の「碍」たり得るのか?


碍
碍 楷書

漢字の成り立ちと由来:漢字「碍」は一体どういう意味?
 21年2月27日毎日新聞の報道によると、『文化審議会国語分科会の小委員会で26日「障碍」の「碍」の字について、常用漢字表への追加を見送るべきだとの見解をまとめた、常用漢字表への「碍」追加見送り』と報道されている。
「碍」は「礙」の簡体字であり、「礙」は一般漢字レベルにあるとされているが、今は、「碍」の方が多用されているようである。

 読み     音読み ガイ ギ ゲ     訓読み さまた(げる)
 意味    ささえる/さまたげる/邪魔をする
 使い方: よく見かける言葉は 碍子、障碍


引用:「字統」(P103、白川静著,平凡社)
「石」金文「疑」
字統の解釈
 漢字「碍」 声符は疑。《説文》に「止るなり」という。疑は凝然として人の立ち尽くす形であるから、止まって進退しないの意がある。それで、石によってさえぎられること、障碍の意を示したものであろう。字はまた碍に作ることがある。



「石」金文「㝵」

漢字源の解釈
 会意文字。「石」+「㝵」(=得。みつかる)」で、行く手を遮るように見える石をあらわす。
 「碍」は「礙」の簡体字としているが、藤堂博士は原本が「碍」であるかのような説明をしている。






むすび
 この漢字「碍」を甲骨文字から、小篆まで一貫してみると、旁の「㝵」は富を表す「貝」を手でつかむ形になっており、この会意文字が表す意味が、「行く手を遮る」とか「さまたげる/邪魔をする」となるのか理解しがたい。私には字統の解釈の方が腑に落ちる。「礙」は簡体化の過程の中で「碍」となったとのことだが、それであれば簡体化が間違っていることにならないだろうか。

 今の私の浅薄な学ではどうしようもない。どなたか明確にお答えを出していただけないだろうか?




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2021年2月26日金曜日

漢字の成り立ちと由来:漢字「示」の成り立ちは? 何で「示す偏(ネ偏)」は神様と関係があるの?

漢字の成り立ちと由来:漢字「示」の成り立ちは? 何で「示す偏(ネ偏)」は神様と関係があるの?

甲骨文字の「示」
示ス偏と衣偏
 何で「示す偏(ネ偏)」は神様と関係があるの?
 漢字で紛らわしいものに、示す偏と衣偏があります。示す偏は、私達はカタカナで「ネ」という字で表し、「ネ偏」という言い方で呼ぶこともあります。一方の衣偏の方は「衤」と書き、衣偏と呼びます。この二つの部位は少し紛らわしいのですが、ここにあるように、由来が全く違うのです。見ていただければ、なーんだこんなことかを直感的に分かっていただけるでしょう。  
甲骨文字の「衣」

漢字「示」の読みと成り立ちと使い方:神と祭りの間には

漢字「示」の読み方、呼び方
音読み:① ジ:呉音  例語:指示、示談、公示、告示    ② シ:漢音 例語: 示唆、黙示
訓読み:① しめす ② つげる



漢字「示」が要素となっている漢字
神社、祠、禍、祈、禍、祗、祉、祖、祝、祷

禦、祭、票、宗、祟


漢字「示」の由来と成り立ち
 非常にシンプルな字で、明らかに祭壇を表す、象形文字です。このことから拡張され、「神」を表すようになり、「神」に関係する漢字にはこれが「偏」として付くようになった。


引用:「汉字密码」(P822、唐漢著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「示」は甲骨文の中で「干、T」」の形をしている。上古時代の供卓のようで、木の表や石柱で祖先の位牌の形をしている。傍と上辺には小さな小点が出ているが、祭祀の際の上下左右のお供え物を表している。金文と小篆の「示」は甲骨文字を受け継ぎ楷書はこの脈で「示」と書く。

 「示」のイメージは将に祭の時に位牌の前に並べられたお供えからきています。又物品であったり、人の生贄であったり、動物の肉体であったりしたものが祖先の神霊に喜ばせるためにお供えされました。甲骨文の中の『示』が語気限られたものに用いられただったのが、大多数に均しくその意義を拡張され、即先公、先王、天神、地抵等"神主"まで祭祀の对象を指すようになった。古文中、祭祀に関係のある文字は「祖、神、祭、祀、祝、祠、社、祈等」であるが、みな「示偏」を持っており、後の人はそれを祭祀の文字とみていたことを示している。


字統の解釈
 神を祭るときの祭卓の形。字形が簡単であるため従来その解釈について諸説がある。「示」は祭卓の形で、その上に祭肉を備える字は「祭」という。 



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