2018年12月1日土曜日

今年の漢字予想:私の予想は右翼の「右」、世界中で右旋風が吹き荒れた


一足先に漢字「右」の起源と由来を調べてみた
漢字の話の前に、右翼(英:right-wing, rightist, the Right)とは、
左翼の対立概念であり、政治においては「特権階級による特権の維持を目指すための社会制度を支持する層」を指すとされ、一般に、社会秩序や社会的成層への支持を表すために使われる。

 因みにこの右翼とか左翼といった用語は、フランス革命期の国民議会の議場で,議長席から右側の位置に極端な保守派が議席を設けたところに由来する。つまりそれまでは、政治的立場で右も左もなかったということか。

 日本や中国では、右大臣、左大臣という役職があったそうで、右大臣とは、太政官(だいじょうかん)の長官で、太政大臣・左大臣に次ぐ地位。政務を統轄した官。ということで、一番偉いのは、太政大臣、次に左大臣、右大臣と続く。

引用:「汉字密码」(P336、唐汉著,学林出版社)

「右」の字の成り立ち」
 完全に右手の正面の形状である。金文中の右の字は変化して、会意文字となり、右下にひとつの「口」が加わっている。これは食事をするときの手を表している。楷書の右の字は書きやすいようにと、形を整えて、鏡像反転をして、今日の右の字となっている。

「右」の持つ意味
 「右」の字の本義は右手である。説文では「右」は手と口を相互に助ける字なりとしている。右手の主な効能は食事をするとき食物をつかんで口に物を運ぶことなので、いわゆる右の字は助けるという意味も持っている。

「右」は高く、優れている
 大多数の人間に言えることだが、右手はすべからく、左手より器用に動く。これをもって古代人は「右」を巧み、高いと考えている。成語中でも、「无出其右」(その右に出るものはない)とそれより優れたものはいないという意味に用いる。
「左に出るものは居ない」とは言わない。 


右は左より偉いのか
 だいたい右が偉いだのいや左だのということ自体ナンセンス。右と左はこんにゃくの裏表みたいなもの。こんにゃくの裏表に貴賤はない。
 しかし、心臓は左にある。従って左にある心臓を守るために、人間は、右手を使うようになっている。右手を使う人が古今東西圧倒的に多いのはこうした理由による。


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2018年11月30日金曜日

「核」:解釈「木偏+亥で木の固い核を表す」について

以前に「核」の起源と由来について触れた時、「一般」の解釈の紹介で下記の様に述べた。



漢字源では、「会意兼形声。亥(ガイ)は、ぶたの体の芯に当たるかたい骨組を描いた象形文字で、骸(ガイ)の原字。」 「核」は、「木」+「亥」で、木の実の固い心をいう。


左は「亥」の金文文字である。

唐漢氏はどういうのか

そこで、「亥」の解釈について、この漢字源とは全く趣を異にする解釈である、唐漢氏の解釈に触れる。これについては、確かに十二支の範囲については、唐漢氏の解釈は一貫性があり、面白いと思うが、拡張された「核」「骸」等の字との一貫性については疑問が出るように思うが、私自身知見がないので、ここでは十二支の「亥」の字の範囲で(つまり唐漢氏の解釈の範囲)にとどめることとする。


十二支の中の「亥」の起源と由来
「亥」象形文字である。甲骨文字の二つの「亥」の字は等しく裸の男子の側面のデッサンである。しかし、特に生殖器を強調している。この図形は仰韶の彩陶器の中の図案の男子の形象と表現は違っても同じ意図を表している妙がある。



金文の「亥」は甲骨文字を引き継いでおり、形は似ているが既に象形の持ち味は失われている。小篆に変化していく過程で右に蛇足の画、人の字が付け加えられている。楷書は隷書化の過程で、更に変化し「亥」となっている。


故事の中の「亥」

殷商時代の甲骨の卜辞の中で、いつも一人の「亥」と呼ばれる先公が出現する。商の人はこの人を「高祖」と呼び、最も早い男性の祖先、先公とみなして、彼の母親は特殊な待遇を受けている。即ち「亥」と一緒に殷商の先民の祭祀としている。卜辞の言うように「王に焼かれた亥母豚」の中の亥母である。この「亥」とその「亥母」は子供の生殺の権力を握っており、その為に「亥」は十二支の最後の位置を与えられたのだろう。

この是非がどうであれ、生まれ落ちた「亥」の原義は男の子であり、「亥」と「亥母」に対して祭献を行い、嬰児の成長を助け、氏族の繁栄を希求するのである。「亥」は十二支の十二番目。時刻を表すには9時から11時までを示し、「亥」年とは「猪」生れのことである。

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