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2018年12月23日日曜日

2019年の干支の漢字の出番。漢字「亥、猪、豬、彘、豕」を揃えました。今からでも間に合う年賀状


今からでも間に合う年賀状に使える漢字
(使うか否かはご自身の自己責任で)


 漢字に見る「豚からイノシシへ」の変遷。年賀状の提出期限が迫る中、イノシシの漢字のそろい踏み。人間と猪の付き合いは長い。猪から豚に変化する中で、漢字もまた変化しその形を変えた。年賀状はややこしいことは止めにし早いうちに片づけてしまおう。

もっともポピュラーな干支のイノシシ
イととよむ







古代に使われた動物の豚の漢字
今でも中国で使われている漢字「ブタ」







「彘(いのこ:猪の別名)」の字の成り立ち」
 これが本来のイノシシか。ブタに順化する前のイノシシ?






豚とイノシシが混同されるようになり、後で作られた漢字
 現在中国で用いられているイノシシ






「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2018年11月30日金曜日

「核」:解釈「木偏+亥で木の固い核を表す」について

以前に「核」の起源と由来について触れた時、「一般」の解釈の紹介で下記の様に述べた。



漢字源では、「会意兼形声。亥(ガイ)は、ぶたの体の芯に当たるかたい骨組を描いた象形文字で、骸(ガイ)の原字。」 「核」は、「木」+「亥」で、木の実の固い心をいう。


左は「亥」の金文文字である。

唐漢氏はどういうのか

そこで、「亥」の解釈について、この漢字源とは全く趣を異にする解釈である、唐漢氏の解釈に触れる。これについては、確かに十二支の範囲については、唐漢氏の解釈は一貫性があり、面白いと思うが、拡張された「核」「骸」等の字との一貫性については疑問が出るように思うが、私自身知見がないので、ここでは十二支の「亥」の字の範囲で(つまり唐漢氏の解釈の範囲)にとどめることとする。


十二支の中の「亥」の起源と由来
「亥」象形文字である。甲骨文字の二つの「亥」の字は等しく裸の男子の側面のデッサンである。しかし、特に生殖器を強調している。この図形は仰韶の彩陶器の中の図案の男子の形象と表現は違っても同じ意図を表している妙がある。



金文の「亥」は甲骨文字を引き継いでおり、形は似ているが既に象形の持ち味は失われている。小篆に変化していく過程で右に蛇足の画、人の字が付け加えられている。楷書は隷書化の過程で、更に変化し「亥」となっている。


故事の中の「亥」

殷商時代の甲骨の卜辞の中で、いつも一人の「亥」と呼ばれる先公が出現する。商の人はこの人を「高祖」と呼び、最も早い男性の祖先、先公とみなして、彼の母親は特殊な待遇を受けている。即ち「亥」と一緒に殷商の先民の祭祀としている。卜辞の言うように「王に焼かれた亥母豚」の中の亥母である。この「亥」とその「亥母」は子供の生殺の権力を握っており、その為に「亥」は十二支の最後の位置を与えられたのだろう。

この是非がどうであれ、生まれ落ちた「亥」の原義は男の子であり、「亥」と「亥母」に対して祭献を行い、嬰児の成長を助け、氏族の繁栄を希求するのである。「亥」は十二支の十二番目。時刻を表すには9時から11時までを示し、「亥」年とは「猪」生れのことである。

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2018年11月17日土曜日

漢字「彘」(いのこ)の起源と成り立ち:猪、豕、彘、干支では「亥」すべて「いのしし」


漢字「彘(いのこ)」の起源と由来
この漢字は、当用漢字にない。中国語の中でも、この漢字が使われるのは、成語だけだという。この漢字の訓読みは「いのこ」という。この日本人で、この漢字が読める人はどのくらいいるだろう。意味は猪の意味である。中国語のピンインでは、zhiと読む。

引用:「汉字密码」(P41、唐汉著,学林出版社)
「彘」の字の成り立ち」
 「猪」にはまだ一つの別名がある。それは彘という名である。図に示すところによると、甲骨文と金文の中間部分に記号即ち代表的な矢であるが、、一匹の野猪が矢に撃たれた状況が表示されている。小篆の中では記号は既に形を変え矢の字になっている。株は則分離して二つの「比」になっている。尻と股の二つの半を表している。図形全体は野猪の尻と股の真ん中を一本の矢に射抜かれた様子を示している。

 この説明は、「字統」でも同じである。


野猪が馴化するにつれ、文字の上で起こった変化
 野猪の力は大きく荒々しい。弓矢を用いないで捕獲するのは難しい。彘の本義は元々野猪を指している。後に転じて家で変われた雄の猪を指すようになった。さらに拡張され一般の猪を示すことも出来るようになった。

現代、「彘」はどのように使われているか
 現代漢語の中では「彘」は只成語の中でしか用いられない。「行同狗彘」(犬畜生のように振舞うの意味)、「狗彘不如」(犬畜生にしかず)の意味。通常犬や猪のような恥知らずの行為、「犬や猪」の比喩に用いられる。

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2018年11月10日土曜日

漢字「猪」起源と成り立ち:中国では「猪」は豚。ではイノシシは「野猪」


漢字「猪」の起源と由来は猪豚ではない
 今まで、いのししというとともすれば干支の「亥」について触れることが多かったが、ここでは原点に戻り、干支のいのしし「亥」から少し離れて、「猪」という漢字そのものと動物の関係ついて考察してみよう。イノシシは長い間に飼い馴らされて、猪豚になり、豚になった。この間数千年の時が流れる。


引用:「汉字密码」(P886、唐汉著,学林出版社)



「猪」の字の成り立ち」
「猪」はるか昔の時期人々は、豕と称していた。つまり「猪」という漢字が出来る前には、所謂「猪」を「豕」と書いていた。 現代でも猪の「繁体字」は「豬」という字が用いられるが、「説文解字」にも「豬」が収められている。しかし猪という漢字は、秦代以前にも既にあったということである。


 甲骨文字の豕は、象形文字であり、口が長く、足が短い。腹は丸々肥えて、尻尾は下に垂れ下がる。横から眺めてみると、将に一頭の太った猪のそっくりそのままのデッサンを書いている。  





「豕」は「猪」にどのように代わって行ったか
はるか以前の先民から見ると「豕」は六畜(牛、羊、豕、馬、犬、鶏)の一つである。人類の最も早い馴化養育した家畜であり、猪はきわめて不安定な狩猟を補充する生活の道を講ずる方式を補充するものであったと見ていい。飼育されるようになった豕は、自然に食糧の備蓄として当てられるようになった。
 即ち、「豕」は非常に長い年月を経て、人間に馴化し、人間の食糧補給として、人間と共に生きてきた。そして馴化した猪は、まるで人間について回る付帯動物のように認識されてきたのではないか。「豬」の旁の「者」は元々漆器の器物上の大きな漆塗りで著わしたものを指すことから、人間に付帯するものとして、「豕」に「者」を付け加えるようになったのではないかというのが、唐漢氏の説のようである。


「豕」にかかわる古事来歴
遼東の豕(いのこ)
 時は後漢の光武帝の治世のころ、今の北京・天津の辺りの彭寵という太守の不穏な動きを大将軍朱浮が戒めた中で、使われた言葉で、「他から見れば異とするに足らない功を誇る」「他から見れば当たり前のことを自ら奇異だと誇る」という意味た。これは朱浮が、「遼東の辺りで白頭の豚の子が生まれたので、これは変わった豚だと王に献上しようとした者が江東まで行くとその地の豚は皆白かったので、恥じて帰った」という逸話から引いて戒めたという話がある。
 このような話は、いつの世でも塵芥のごとく散らばっており、どこかの首相や大統領にもこの手の話は尽きないようである。


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2012年5月29日火曜日

問題の核心は「核問題」ではないのか? 「核」:漢字の起源と由来


国会の事故調と原子力村
5月29日の毎日新聞で、国会の原発事故調査委員会(事故調)で菅元総理の事情聴取が行われ、その一問一答が報道されている。このやり取りの中で、菅元総理は事故調の中で原発事故対応において、「原子力村」の存在そのものが、極めて阻害要因として機能しているという意味のことを指摘していた。以前から原子力村は電力会社の「イチジクの葉」としての役割を担い、電力会社はその維持の為、膨大な金と尽力とコネを使ってきた。そして肝心かなめの時には、「想定外」という一言でその責任逃れを繰り返してきた。そして、その状況はこの場に至っても改善されず(むしろ悪化している?)、原発の再稼働に向け、血眼になっているように見える。

事故調とマスコミに対する杞憂
私が危惧するのは、今事故調でのやり取りに関するマスコミの問題の捉え方で、非常に由々しい傾向がうかがわれることである。それは、「全て菅首相の個人的責任になすりつけ、問題の核心を隠蔽しようとしているのではないか」ということだ。 
あのような異常事態において、たとえ一国の首相といえども、イライラすることもあっただろうし、瞬間的にはものの方向も見失うこともあっただろう。あってはならないけれども、ありうることである。要はそのことをいかに回避するシステムにするかということだ。
いま報道の論点が、「菅首相のイライラした対応、下手に技術屋であったばかりに技術的な細目に目を奪われた、東電に乗り込んで直接口を出し現場を混乱させた」というようなことばかりがクローズアップされている。しかし、ある意味彼がそうせざるを得なかった背景にはあまり触れられず、「彼が事態の後追いばかりに汲々としている」という論調が目立つのである。今マスコミがしなければならないのは、個人的な資質の問題に焦点を当てることであろうか。個人的な問題にすりかえれば、結論は一つ、別の人間であればうまく行ったであろうというとんでもない結論が待っているだけであろう。
そのことは、原発事故と同じではないか。あってはならないことでも、あり得たことであるし、実際にあったことで、起こってしまったことだ。それをあり得ない、絶対安全だと繰り返してきたのは、東電をはじめとする電力会社であるし、それのおこぼれを貰ってきた「原子力村」であるし、御用学者であるし、国機関であるし、長年それを推進してきた自民党、公明党ではないだろうか。

事故調は「何をなすべきか」
確かにあのような国存亡の危機の時にあってはならないことを、絶対起こさないようにするためのリスク回避を如何にすべきかということである。その点について、菅首相は「脱電発とすべきで、一時は安全を確認しながら推進することも考えたが、誤りであった」と述べている。
原発をなくすることによって、国全体で被るべき問題(例えば、エネルギー不足など)は代替エネルギーを開発すべきであろう。大きな視野に立って、その方向性をはっきりと打ち出すべきであろう。

事故調は事故の調査がその使命であろうから、原子力そのものに云々する立場でないだろうが、それにしても、決して個人的な問題に責任を転嫁し、問題点をすり替えてはならない。
原発がなければ事故調自身も必要がなかったであろうから


最後に、このサイトの使命は漢字の起源と由来を探ることである。

「核」:漢字の起源と由来

漢字源では、「会意兼形声。亥(ガイ)は、ぶたの体の芯に当たるかたい骨組を描いた象形文字で、骸(ガイ)の原字。「核」は、「木」+「亥」で、木の実の固い心をいう。

左は「亥」の金文文字である。

唐漢氏の解説には「核」については触れられていない。「亥」については、別の機会に紹介しよう。



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