2021年1月23日土曜日

漢字「喜」の成り立ち:鼓を打って神を喜ばせる意。神を喜ばせることが、ごちそうを供え、音楽を奏して大衆自身が喜ぶようになった


漢字「喜」の成り立ちと由来:「壴」は台の付いた器にうずたかく食物を盛って飾りつけた様
 昔から大衆的に喜びを表現するのには、太鼓を打ち鳴らし、ごちそうを食べ、踊るのが定番であった。
 しかし、それは最初の形態は神に祈り、神に対する感謝であったはず。それが、自分の喜びでもあったろう。いつしか神の感謝と大衆の喜びが分離し今日の形となったのは自然の成り行きであろう。神の存在が人々の心から消え去るとき、漢字はどんな変化を遂げるであろうか。



引用:「汉字密码」(P807、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
「喜」、これは会意文字です。甲骨の碑文「喜」は上下の構造が結びついており、上部は「壴」(太鼓をまっすぐに立てた形)、つまり「太鼓」の絵文字であり、下部は口です。つまり、口はドラムの音に倣っています。古代文献《礼记•乐记》曰く、凡そ音が発するところ、人の心が生まれるもの。心が動いて、物を然るべくする。物に惑い動くので、声が形づくられる。」


漢字源の解釈
  会意文字:「喜」は「壴+口」からなる。「壴」は台の付いた器にうずたかく食物を盛って飾りつけた様。または鼓の左側と同じと考え、飾りつきの太鼓を立てた様とも解する。「喜」は「壴+口」。ごちそうを供えまたは音楽を奏してよろこぶことを示す


字統の解釈
 会意文字「喜」は「壴」と口に従う。壴は鼓、口はサイで、祝禱を収める器。神に祈り、鼓を打って神意を喜ばせる(楽しませる)意である。神に祈ることが原義。すなわち神楽であって、人が喜笑する字ではない。


まとめ
 「喜」の原義は、鼓を打って神意を楽しませる意である。最初は神に祈り神を喜ばせることが目的だったかも知れない。しかし、殆どすべての祭祀の例に漏れず、神に感謝したり神を喜ばせることがやがて、民衆の楽しみと宗教的な色彩が分離し、ごちそうを供えまたは音楽を奏して自分自身の喜びを示すようになったものであろう。

「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

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