2012年7月30日月曜日

漢字「穴」の起源と由来 先人たちは穴から出てきた 


  漢字 穴:「穴」の起源と由来 先人たちは穴から出てきた 

 穴は本来動物の巣穴のことをいう。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」とか「穴があったら入りたい」と我々の生活の中でも、交わされることである。もっとも最近はこのようなリスクを負う場面が少なくなって、人々はあまりこう言ったことを処理をするのに慣れていないので、どうしていいかわからない。だから警察等の公権力を頼りにしがちである。この事は社会が発展したともいえるが、別の見方をすれば、人間の退歩である。社会がきちんと機能しているうちはまだいいが、最近では本当に機能しているのかと疑う場面に遭遇する。これからますます複雑になる社会の中で「自分の命を自分で守る」ために、リスクに対応する能力の開発も必要になってくるだろう。

 その意味で、先人の残した漢字から、「自分の命を自分で守る」生活の知恵を探ってみたい


引用 「汉字密码」(P714, 唐汉,学林出版社)

"穴"は 上古先民住んでいた洞穴のデッサン画像

 "穴xu" は、これは一つの象形文字である。甲骨文の "穴" 文字は "天子" の中の"丙" の文字との同じ源で、上古先民が住んでいた洞穴デッサン画像だ。約 7000 ~ 10000 年の間の有史以前、黄河中下流地方の先民は、一種の袋状の穴居室を使っていた。いわゆる  "土の穴" である。

"穴"文字の本義は "土の穴" だ。

 このような口小さい腹の大きい穴によって土を掘ってつくる、屋根だけはあり、壁体がなく、その縦断面は"内"形だ。甲、金文の"穴"文字は相当このような土室に似ている。小篆の"穴"文字は金文を受けて、その上に一点を添加して、穴の脊椎屋根の出現を表している。楷書は小篆を受けて、点画の間を分けて"穴" と書く。 "穴"文字の本義は "土の穴" だ。

 《易•系辞下》にある如く"穴居而野处。"この中の "穴 "は即ち地穴のことで、穴洞の意味である。 また拡張して、墓を掘る、墓穴(埋葬する死人の穴)のこと。《歌•王风•大车》:の如く、"死则同穴。"とは、死後は一緒に埋葬するということ。「穴」の字は部首字である。およそ穴の字が構成されている字は皆家屋や洞穴に関係がある。害、巣窟、窓、孔など。
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2012年7月28日土曜日

古人の主食:粟、米、麦、稷、豆 総称の「禾」の起源、由来


中国は東アジアの文明の中心である。

  世界農業の主要な発祥の地である。考古学者は今から7、8千年前の多くの遺跡中に粟、黍、稲等の穀物の遺物を発見し、また多くの簡単ではあるが十分実用的な生産工具や食料を加工する各種器具を発見した。
 中国は東アジアの文明の中心である。また世界農業の主要な発祥の地である。考古学者は今から7、8千年前の多くの遺跡中に粟、黍、稲等の穀物の遺物を発見し、また多くの簡単ではあるが十分実用的な生産工具や食料を加工する各種器具を発見した。この歴史的遺物は、有史以前に農耕文明が燦然と輝いている存在であることを示している。

引用 「汉字密码」(唐汉,学林出版社)

「禾」は五穀(米、麦、粟、稷、豆)の総称
「禾」は五穀(米、麦、粟、稷、豆)の総称
 その頃は主食は北方の地域では、稷(きび)や粟であったろう。これらの作物は乾燥に強く、干上がることの多かった黄河流域の比較的北方の地域ではよく作付されていたであろう。ところが南方即ち長江流域では既に米の栽培がなされており、水田も多く広がっていたと考えられる。それぞれが植えられ始めた時期はそれほど違ってはいないだろうと考えられている。


古代人の主食は「禾」

 禾という字の甲骨文字、金文は皆熟した穀物の様である。下部は根、中部は葉、上部は一方に垂れた穀物の穂である。古文の字を作った意味は見て分かるように、穀物で、まさに完全な形状をなしていて、本義は穀物を表す。 説文によると、禾を解釈して、よく実った穀物のこと。二月に生え始め、8月に熟し、時を得るうち、これ禾というなりとある。


「禾」は五穀の総称


 ここで禾は実際は粟のことを言い、粟を脱穀したものをいい、これが北方地方では古代では主食であった。これは猫じゃらしが穀物として成功したものだ。中国東北地方の旱作農業地域では主要な糧食であった。

 こうして何千年のうちに、農耕技術も発達し、貧富の差が生まれ、村が邑となり、大きな邑連合が形成され、都市国家を形成するようになり、殷商の時代に突入して行く。 
殷商の時代には広くいきわたり、産量が最大の糧食作物になっていた。秦の時代には禾は穀物を指し、もっぱら粟のことを指していた。

  漢字が甲骨文から金文に至るまで一つの例外もなく、歴史的証左で、一字一字農耕文明の残した暗号が数多くあり、農業技術の一歩一歩の推進を示している。また、同時に華夏民族の農業の文明の歴史過程を反映したものであることが分かる。 

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