2021年5月14日金曜日

漢字「篆」の成り立ちの意味するもの:輝かしい文字の歴史を物語る


漢字「篆」の成り立ちの意味するもの:輝かしい文字の歴史を物語る。「篆」は「竹カンムリは竹の片の上の文字であること表し、竹簡が文化の担い手であったことを示している。
 そして、その後さらに使い易い「紙」の発明と文化の発展につながっていく

 小篆は秦の始皇帝が紀元前220年に、全国統一したときに全国での書写の標準字体として確定したものです。

 それ以降、隷書、楷書、簡体字など様々な様式が使われていますが、基本的な文字の構成は始皇帝の定めたときのまま踏襲されています。


漢字「篆」の楷書です。中国の古代文字で、秦の始皇帝が中国統一後、李斯に命じて、それまで全国でバラバラになっていた漢字の全国の統一の標準の書き方を定めたものが小篆です。小篆の基礎になったのが大篆といわれるものです。これにより、中国では、全国で文字は単一の形式で書かれることになり、文化の発展に大きく寄与したことになります。
篆・楷書




 「篆」は一般的に小篆を指す。即ち秦始皇帝が統一した文字の書体を標準書体して定めたものである。大篆は秦の統一後は周代の書文の一種の指標とし、この種の呼称は籍分とし、小篆に相対させた。

 紀元前221年に始皇帝は六各国を統一し、建立した中国史上初めてなのは封建王朝がこの時であった。彼は李斯の建議を受け、共通文字の政策を実行した。これより漢民族は2000年以上にわたり同一の規範の文字を使うことになる。文字は中国文化のは遺骨であるから、古今東西異なる方言の人も一致して、政治、文化、民族的、心理的な大統一を作り上げることになる。
「篆」・小篆


    


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引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「篆」は「竹と彖の発声である。竹はここでは竹片の上の文字であることに適合し、彖"の本義は豕の丸くになってゆくことから出ている。この為毛筆独特の滑らかさや、曲がりの意味を説明するのに用いる。

 

漢字「篆」漢字源の解釈
 会意兼形声 篆:竹+「彖」(音符・タン)に準ずる。下に垂れる形の筆法で書かれた字




まとめ
 篆自体は単なる書き方に過ぎないが、紀元前2世紀に全国の文字の書き方が統一された意義は計り知れない。



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漢字「邦」の成り立の意味するもの:文字の発達には国家の成立までの歴史が明確に刻み込まれている


漢字「邦」の成り立の意味するもの:氏族共同体の村落から、国家の成立までの歴史が明確に刻み込まれている。まるで歴史教科書だ
 漢字「邦」の成り立の意味するもの:文字の発達には国家の成立までの歴史が明確に刻み込まれている

 漢字[邦」の楷書で、常用漢字です。左側は、「丰」で、中国語では、「豊」という意味があります。
もともとは、作物を植えるという意味を持っていました

 右側はオオザト「阝」でもともとは「邑」のことを言い、小国家という意味でもありました。
邦・楷書




 甲骨文では、田に栽培する植物を植えているだけだった

 金文はその周りに「邑」ができた。

 小篆になると苗を植えるという意味に「封じる」という意味が加わったための変化  
「邦」甲骨文字
「邦」・金文
跪いた状態を表している漢字
邦・小篆


    


「邦」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ホウ
  • 訓読み   くに

意味
  • くに(国)   国家、国土(その国の土地)、 
  • 封ずる    むかしの封建制度での諸侯に土地の管理を任ずる
          諸侯(君主(国を治める人)の権力の範囲内で領域を支配することを許された領地
  • みやこ   皇居のある土地、首都
          人口が多く政治・経済・文化などの中心となる土地)
          城郭(城壁)で囲まれた地域
  • 封をする  出入り口などを閉じてふさぐ、自由な発言・行動ができないようにする
  • 日本の   (例:邦楽、邦画)

熟語   連邦、邦楽、邦人、




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「邦」は会意文字です。甲骨文の邦の字はその上は葛蔦の類の植物です。下部は田の字です。商代の先民はぐるっと取り囲んだ囲いを巡らせたカブのような作物を植え、葉、茎などを人と動物の飼育のための食用としました。そういった植物は背が低いので、見通しがきき、部族の領地内の境界を明確にして、領地をはっきりさせました。
 金文の「邦」の字は比較的大きな変化があります。左の植物の栽培を示すとともに、右には、「邑」が加わり、城堡の形成と規模の発展を強調しています。小篆の形態と金文は類似しています。楷書から隷書への過程の中で、植物の栽培は「丰」に変化し、右辺の邑もまた変化しています。

 

漢字「邦」の字統の解釈
 形声:「丰」声。説文に「国」なりとし、前条の邑にも「国」なりとあって同訓。金文の字形は、丰の部分を「土+主」(土地神)と若木の形に作り、封樹の意味を表す。「周礼、大宰」に「大成るを邦といい、小なるを国という」とするが、邦は封建、国は城邑。邦は領土をいい、国は国都をいう。


まとめ
 漢字「邦」の甲骨から楷書に至る文字の変遷は、村から国家への変遷過程を表している。これほどまでに歴史を明示的に体現した文字は他に例を見ない。



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