2021年5月14日金曜日

漢字「邦」の成り立の意味するもの:文字の発達には国家の成立までの歴史が明確に刻み込まれている


漢字「邦」の成り立の意味するもの:氏族共同体の村落から、国家の成立までの歴史が明確に刻み込まれている。まるで歴史教科書だ
 漢字「邦」の成り立の意味するもの:文字の発達には国家の成立までの歴史が明確に刻み込まれている

 漢字[邦」の楷書で、常用漢字です。左側は、「丰」で、中国語では、「豊」という意味があります。
もともとは、作物を植えるという意味を持っていました

 右側はオオザト「阝」でもともとは「邑」のことを言い、小国家という意味でもありました。
邦・楷書




 甲骨文では、田に栽培する植物を植えているだけだった

 金文はその周りに「邑」ができた。

 小篆になると苗を植えるという意味に「封じる」という意味が加わったための変化  
「邦」甲骨文字
「邦」・金文
跪いた状態を表している漢字
邦・小篆


    


「邦」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ホウ
  • 訓読み   くに

意味
  • くに(国)   国家、国土(その国の土地)、 
  • 封ずる    むかしの封建制度での諸侯に土地の管理を任ずる
          諸侯(君主(国を治める人)の権力の範囲内で領域を支配することを許された領地
  • みやこ   皇居のある土地、首都
          人口が多く政治・経済・文化などの中心となる土地)
          城郭(城壁)で囲まれた地域
  • 封をする  出入り口などを閉じてふさぐ、自由な発言・行動ができないようにする
  • 日本の   (例:邦楽、邦画)

熟語   連邦、邦楽、邦人、




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「邦」は会意文字です。甲骨文の邦の字はその上は葛蔦の類の植物です。下部は田の字です。商代の先民はぐるっと取り囲んだ囲いを巡らせたカブのような作物を植え、葉、茎などを人と動物の飼育のための食用としました。そういった植物は背が低いので、見通しがきき、部族の領地内の境界を明確にして、領地をはっきりさせました。
 金文の「邦」の字は比較的大きな変化があります。左の植物の栽培を示すとともに、右には、「邑」が加わり、城堡の形成と規模の発展を強調しています。小篆の形態と金文は類似しています。楷書から隷書への過程の中で、植物の栽培は「丰」に変化し、右辺の邑もまた変化しています。

 

漢字「邦」の字統の解釈
 形声:「丰」声。説文に「国」なりとし、前条の邑にも「国」なりとあって同訓。金文の字形は、丰の部分を「土+主」(土地神)と若木の形に作り、封樹の意味を表す。「周礼、大宰」に「大成るを邦といい、小なるを国という」とするが、邦は封建、国は城邑。邦は領土をいい、国は国都をいう。


まとめ
 漢字「邦」の甲骨から楷書に至る文字の変遷は、村から国家への変遷過程を表している。これほどまでに歴史を明示的に体現した文字は他に例を見ない。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

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