2021年5月1日土曜日

漢字の「部と陪」の違いは? 漢字の成り立ちは同じなのにどうして意味が違うの?


漢字の「部と陪」の違いは、「阝」は旁の右にあるか左にあるかの違いだけ!コザト偏とオオザトでは何がどう違うのか
漢字の成り立ちは同じなのにどうして意味が違うの?コザト偏「阝」がオオザト「阝」に変っただけじゃない!
全く同じように見える記号が、左に来るのと右に来るのでは、意味が異なってしまいます。
 この二つは由来が全く異なります。この違いは古文字(甲骨文字・金文・小篆)などに遡って見なければ到底解き明かすことはできません。
コザト偏オオザト



 そこで、ここでは「陪」と「部」という漢字を例に、「阝」という記号が、各々の漢字の中でどのような成り立ちになっているかを見ることにしましょう。



「陪」の漢字データ
引用:「字統」(Page、白川静編,平凡社)

字統の解釈
 形声 声符は咅。《説文》に「土を重ぬるなり」という。培と通用する字であるが、阜は神梯であるから、もと聖所に関する字で、そこに付随するものであろう。陪席、陪食などという。
 
 つまりコザト偏の由来は「オオザト」と全く異なり、「神の梯子」を表し、神が降臨するときや、天に戻るときに用いるもので、祭祀や祭りごとに用いる。
 

 

「部」の漢字データ
引用:「字統」(Page、白川静編,平凡社)
字統の解釈
 形声。 声符は咅、《玉篇》に「分割なり」と訓するように、部分に分かつことをいう。咅は果実など実る形、やがて熟成して剖判するもの(分かれるもの)であるから、分裂・部分の意に用いる。部は邑に従ってその地域をいう。ゆえに地域・行政・職分・地位などの区分にこの字を用いる。部屋とは割り当てられた室のことをいう。
 

 



「邑がオオザトになるまで」
引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 字形を会意方式で整える、上古先民の集まり住んでいるところを表している。今ではいわゆる周りを塀でめぐらした村落や城街を表しいている。小篆で「邑」の字はまさに下部の人間が変化し、楷書では邑と書くようになった。「邑」は本来人々が集まって住むところである。即ち城鎮である。

  字統(P834)の解釈
 □と巴とに従う。□は都巴の外郭、城壁をめぐらしている形。巴は人の起居する様、城中に人の多くあることを示し、城邑・都邑をいう。 

甲骨文字が「邑」という文字に変化する過程とコザト偏になる変化の過程は全く逆の様相を呈している。コザト偏になる変化は、日本のひらがなができる変化と似ている気がする。
 つまり、コザト偏やオオザトが出現するのは、随分後になってからで、筆が日常的に使われるようになってからではないだろうか。 


𨛗に関する異なる見解
「オオザト」という漢字の部首は、大きな集落や町を表す漢字によく使われる部首です。構成要素は、「大(だい)」、「人(ひと)」、「十(じゅう)」、「口(くち)」の4画で構成されています。

「オオザト」を含む漢字には、「都」や「郊」などがあり、これらは大都市や郊外地域を表しています。また、「オオザト」は、「人」と組み合わせることで「人々が暮らす大きな集落」を表す漢字にもなります。例えば、「城」や「邑(ゆう)」、「郷(ごう)」などが挙げられます。
さらに、「オオザト」は、「十」と組み合わせることで、「十人が暮らす集落」を表す漢字にもなます。例えば、「里(さと)」や「鄙(ひな)」などが挙げられます。


まとめ
 全く異なる生まれの記号が、成長して外見上全く同じような記号に変化する。そして、それは再びいろいろの字の中で、全く異なる機能を果たしていく。そしてその背景にも又人間の歴史が介在している。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

0 件のコメント: