2020年12月24日木曜日

漢字「告」の由来と成り立ち:告白とは重い響きの言葉だ。それは「告」が神に告げるという厳粛な言葉から来ている由縁である



漢字「告」の由来と成り立ち:告白が重い響きを持つのは、「告」が神に告げるという厳粛な言葉から来ている由縁である
 「告」は生贄の牛を祭壇に並べたことからくるという解釈と祭祀を執り行うとき神に告げる言葉を「サイ」という祝詞を入れる箱を木に結びつけたことからくるという説等諸説があるが、いずれにせよ単に話すとか語るということではなく祭祀に臨んで神に祝詞をあげるという厳粛な使い方をされたことから来るものだ。


引用:「汉字密码」(P24、唐汉著,学林出版社)
祭祀のとき神に祈りや祝詞を奉げ、告げること
唐漢氏の解釈
 「告」の字は甲骨文字の第一款は、「牛」と「口」から成り祭告、告庙を意味する。告の字の構造の形象から看て、それは祭壇の前の皿の上に置かれた、切り刻まれた雄牛の頭に非常によく似ています:彼の目は大きく開いていて、何かを言っている様子が伺える。

 告は牛の頭を祭祀に用いて祖先を慰める神祗を表示している。又「告」の本義は人びとが祭祀の時に発するする祈祷であり、それゆえ牛の鳴き声とも理解できます。



字統の解釈
 木の小枝に祝詞を収める器の賽をかけている形象形文字である。 祝詞の器を木の小枝に付けて捧げ 髪に祈告する意味で告とは神に訴え告げることを言う。説文には 牛と口に従う字とし「牛人に触る。角に横木をつくとし、人に告ぐるゆえんなり」とあり、牛が人に何かを訴えようとするとき横木をつけた口を摺り寄せてくると解するが、上部は牛の形ではなくて物をかける木の枝の形であることは卜文、金文の形において明らかである。

 唐漢氏と字統の解釈は、祭祀に生贄の牛を使うか、木に祝詞を掲げるかの違いはあるが、祭祀に神に何らかの祈りをささげる点では一致している。

漢字源の解釈

 会意文字だとする。漢字源では、牛の角に縛った枷の原字だとする。後付の解釈のような気がする。


結び
 現代で告白という言葉は、単に「言う」とか、「話す」ということだけではなく、ある種の重みを持ったものとして語られる。告白が重い響きの言葉の理由は、「告」がそもそも漢字が発生した太古の昔から、神に告げるという厳粛な意味を持っている由縁である


「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2020年12月21日月曜日

漢字「牲」の起源と由来 昔、祭祀で生贄に牛や羊が生きたまま用いられたことによる



漢字「牲」の起源は昔、祭祀で生贄に牛や羊が生きたまま用いられたことによる
 漢字「牲」には、祭祀で生贄に牛や羊が生きたまま用いられたことが残されている。生贄は現代では野蛮なこととして、否定されているが、太古の昔には、生贄として牛や羊、豚がその犠牲になった。時には人間さえもその犠牲となって、神々に祭られている。しかし日本での埴輪の出現にもあるように、生贄として生きた動物を使う風習は次第になくなっている。その理由は、残酷であるという理由ではなく、むやみに生贄として殺してしまうのは、労働力や生産の観点から好ましくないという理由もあったようだ。


引用:「汉字密码」(P22、唐汉著,学林出版社)
甲骨文字では羊、
金文と小篆では牛が生贄に使われたことが示されている
唐漢氏の解釈
 「牲」、これは会意文字です。甲骨文字の「牲」の文字、左側は羊の頭の形、下側は雌羊の生殖器を表す水平の三角形の記号、右側は草の成長の形です。 両形の会意でつまり、母羊は子羊を出生して繁殖させることの願い。

 金文と小篆の「牲」は、牛と生まれるからなる会意と形声の字に変化している。古代中国の文字では、獣畜類の形はしばしば互換される。動物の繁殖の意味を表現からは「羊」と「牛」の意味は同じようなものです。もちろん、画像の本体が変更された理由は、農業における牛の役割の増加にも関係しています。

 古代の祖先は、次の理由で「家畜」を犠牲として使用していました。その理由はまず、野生動物を狩る必要がありますが、捕獲される動物のほとんどは死体です。次に、狩猟は偶然性を伴うもので、祭祀の時に捕獲物があるというものではないので、育てた家畜を使って非常に太らせて、供応のとき、祖先や神々の神霊の優先を反映し、敬虔な神への心を体現したと思われます。

 体が大きく肉が多いため、古くは牛が最も犠牲になりましたが、農業における牛の役割から、この犠牲を使うことができるのは「王」だけです。例えば、「礼記・王制」では、「諸侯は理由もなく牛を殺さず、大夫は理由もなく羊を殺さない」と書いています。 「周礼」の定めるところによれば、牛肉を食べる資格があるのは皇帝であり、諸侯は平時は羊肉だけしか食べず、牛肉は毎月1日しか食べられない。下位レベルの大夫は、平日は豚肉と犬の肉、毎月1日しか羊肉を食べることができなかったようです。 古代の祖先の政治生活において、牛は非常に重要な役割を果たしましたが、これは牛にとって悲劇的な役割です。



字統の解釈
声符は生。「説文」に「牛完全なるなり」とあって、祭祀に用いる犠牲をいう



漢字源の解釈
会意兼形声。「牛+音符生」で生きたまま神前に供える生々しい牛のこと。


結び
 生贄には、当初羊が用いられたことが、甲骨文字からは知ることができる。太古の昔は、野生の獲物を生贄にしていたようfだが、祭祀のたびに捕獲するのは必ずしもできないこともあり、養育した牛を用いるようになったと考えられる。

 この生贄の風習は、今でも残っており、中東では羊が用いられ、太平洋諸島では、豚が再使用の生贄に用いられるようである。