2011年12月20日火曜日

漢字「毎」の起源と由来:古代では老年の女性は尊敬された。毎はそういった女性の髪飾り

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「毎」の字形の変化は「母」に同じ
母の髪飾りから発して盛んなること
「毎」は指事語である(指事語とは六書の一つで、抽象的概念を表すため、符号を組み合わせる造字法)。甲骨文字では母の上に横線を加えている。これは女性の髪飾りを表示したものだ。上古社会では、女性は髪を切らず、髪の毛は年齢とともに長く伸び、年齢が高くなればなるほど髪の毛は長く、なかでも老年の女性は、真っ白な髪を通常、頭の上で整えたのが特徴である。「毎」の字はこの一つの特徴をとらえたものである。

金文と小篆の「毎」は母の変化と同じである。この為に楷書の「毎」の字になっている。許慎は《説文》で「毎」を盛んになることと解釈している。実際「毎」の字は髪の毛の盛なることをいい、年齢のたけたこと、また子孫の多いことをいう。くさの繁茂することとは少しの関係もない。毎の字の造字の本義は、氏族社会の中で、子孫が多く人々の尊敬を受ける年配の女性のことを指す。


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2011年12月15日木曜日

漢字:「暴」の起源と由来:光に麦の穂が晒されているのを表現したもの

漢字「暴」の起源と由来:光に麦の穂が晒されているものだとしている。

 いま日本中はこの驚くべき暴言に唖然としているのではなかろうか。この発言が元で罷免された防衛局長の品性のなさに、情けないという思いに駆られている人は私だけではないだろう。

 さて、この暴言に関係して、毎日新聞の11月30日付余禄にあった記載に触れてみたい。暴言という語源について「余禄」は白川博士の著述から、『「暴言」の「暴」は日と獣の死骸の形を組み合わせた文字なのだという。白川静さんの「常用字解」にそうある。死骸が太陽にさらされるわけで「さらす」、するとたちまち骨があらわれて「あばく」「あらわれる」との意味になった』とある。


 早速我が唐漢氏は何と言っているのか当たって見た。

  氏はこの文字は太陽の光に麦の穂が晒されているものだとしている。ここでも白川博士の呪術的な発想に対し、農耕に漢字の発生を見る氏の視点の違いが際立っている。
 曰く、「暴」この字は一種の会意文字である。金文の「暴」の上辺は爾の光が下に向かって照射している様を表している。下辺は突出した麦の穂が成熟した形とみる。あたかも日の光が降り注ぎ、麦が熟しているときの描写である。

 小篆の「暴」の字は形の変わった両手が太陽の光のもとに米を晒している様を示し、楷書が隷書に変化する過程の中で、再び形が変わり「暴」の字となり、形は似ているが雰囲気が失われた会意文字の形になった。甲骨文字の品用がないところを見ると甲骨文字の時代にはこの字はなかったのかも知れない。

 日に晒すということから引き出されてくるのは「顕露、顕示」の意味で、暴露と同じである。赤い日が空に当たり、強烈な日差しが火に似ていることから「慌ただしい、猛烈」ということが引き出され、「暴雨、暴怒、暴躁」等の言葉が出来た。また「残忍、残酷」の意味も表わされ、暴虐、暴行、暴徒等の言葉にもなった。
  

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