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2021年2月16日火曜日

漢字の由来と成り立ち:漢字・族が分かれば、今の世界が見えてくる



 漢字の由来と成り立ち:族が自らの存在を際立たせた秘密が漢字・族 の中に含まれている?

  「族」:人間社会を構成し始めたその時点から存在し、社会のあらゆる局面で陰に陽に絶大な影響及ぼした力

 
19世紀は民族は統一を志向する勢力となっていたが、今日は排外主義的側面が強くなっているのは何故!?

問題提起: 人間は族という呪縛から自らを解放できるのか!!

 漢字・族 の由来と成り立ち:集団の力を誇示する象徴であり、かつ旗幟の下集団を通して自己発現を訴える象徴でもあった

 日本では、「族議員」といい、国会議員で、明確な組織を持つわけではないが、同じ官僚組織や共通の利益意識を持つ議員の集団が問題となっている。彼らは国家の利益や国民の利益よりも、帰属するグループの利益に重きを置いて行動するため、ともすれば国民や国会との意識の乖離がみられ、ある種の弊害にもなり得る存在となっている。 例として厚労族、道路族(建設族)、郵政族、農林族、国防族、文教族等が話題になっている。

 族とは、なかま/同じ血や祖先をもつ集団/一門/身内などの意味をもつ。社会学的には、漠然とした、共通の利益や意識を持つ集合体である。人間は、かならすしも、明確な集合体でなくとも、何らかの共通点を有するものを「族」という括りで分類することもある。

 人間社会の属性とも考えられ、社会のあらゆる階層で、共通の利益を目指し陰に陽に行動することもある。最小単位は「家族」ではないかとみなされる。大きなものは民族といえよう。

 ここで改めて、人間の「業」の表れともいえ、社会のあらゆる局面で見られるグループ集団である「族」について、漢字「族」の由来と成り立ちから調べなおしてみよう



引用 「汉字密码」(P609, 唐汉,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「族」これは会意文字です。甲骨文字の上方は長い竿の翩翻と翻る旗幟を持っている。上古時代の旗幟は5、6色の動物の毛皮を割り裂いてひも状に作っていた。このためにさらに風に従って翻るたれ飾りは甲骨文の族の字の上部の象形にもなった。族の字の右下には矢がある。まるで上部に向かって矢立に突っ立てている。小篆と楷書の族の字は皆金文の変化からきている。しかし字形の出入りは大変大きい。しかし、字の構成と意味は一転も変わっていない。





旗幟は大衆に号令する標識で、箭は発射され到来したという意味だ。兵器の収集は旗幟の下に人が携えてきた。このため族の本義は集合してきた軍隊という意味だ。

 多くの男子で構成された武装集団もまた、華夏の歴史上の記載のある常備軍だ。即ち、征服作戦に専念する武装グループがあった。



字統の解釈
  会意文字:旗幟を示す記号と箭に従う。氏族軍の象徴たる旗の下で、矢は矢誓を意味する字である。氏族旗の下に誓約を行うものは士族の構成員である軍士でありその族人たるものである。族の初義は氏族軍のことを言い、その字は結盟の儀礼を示すとある。


現代の「族」

 日本では、ひところ太陽族というのが問題になった。、また近頃では暴走族、社用族など新たな社会問題が出てきている。

 このことはお隣の中国でも同様の社会現象が取りざたされている。
  • 啃老族(親のすねかじり)
  • 隠婚族(結婚しているにもかかわらず,結婚の事実を隠し続け,独身として活動する人々のこと)、
  • 混章族(いい加減な取り組みでインターンシップの証明を取得しようとする学生) ”
  • 月光族(まったく貯金をせず,その月の給料を全部使い果たすその日暮らしを続けるひと)、
  • 撞牟族(相手の運転ミスをねらって,わざと相手の車に接触し,高額の修理費用や慰謝料を恐喝する無法者たちのこと)
  • 考碗族(安定的な生活を求めて公務員試験を受ける人々のこと)
  • 蚊族(大学を卒業したばかりの低所得者を指している。“蚊”は「蟻」の略字である。大学を卒業したばかりの低所得者はアリのように,朝から晩までせわしく立ち働いていることからそのように呼ばれているのだろう。)
  • 鼠族(“鼠族”はモグラのように暗くて乱雑なところに住んでいる人々のことを指しているが,狭義的に解釈すれば.主に北京で地下の施設を借りて暮らす貧困層を指すのである。)

  • (以上、「国際文化学部論集第14巻第4号(2014年3月) 接尾語の“族”を通じて中国社会の現状をみる 戦慶勝」より)
 以上に述べた人々は、アタリヤを除き好き好んでこのような生活を送っている人はそういるものではないと思うが、甘えやそれでも許してもらえる世間の風潮がこのような「族」人類を産んでいることを問題にせねばならないだろう。


まとめ
  「族」という言葉は、今から4000年前に発生し、現代まで生き続けてきている。族はある意味利権集団ともいえるが、人間の歴史の中では否定的な役割ばかりを果たしてきたわけではない。このような人間の行動が社会発展の原動力となって、社会を動かしてきたことは認められる。しかも何よりも忘れてはならないのは、この、「族」に属するという行動は、人間の業ともいうべきもので、否定してしまえるものではない。しかし、このようなグループが肥大化し、社会に蔓延してしまうならば、社会はおそらく窒息してしまうだろう。社会の窒息を防ぐには、古人の欲望と社会との間に折り合いをつけねばならない。個人の欲望をその当人の時勢に任せることは不可能であると考える。とすれば、社会が個人の欲望に枠をはめるある意味で制約をしなければならない。

 このことは資本主義社会のど真ん中にあって私達が直面している問題と全く同じである。資本主義の直面する問題は人間の「業」との闘いでもある。
 
人間は自らかけた呪縛から自らを解放できるのか!!

「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2012年3月4日日曜日

「氏」 文化・社会のもう一つの原点はここにあり

 長い間、人間の社会の根幹の部分を作り上げてきた、姓名。これは現在の日本、中国では家族を表す指標であり、韓国においては広義の血族関係を表す本貫である。これは東洋に留まらず西洋でもFamily Nameという呼称でこの関係があらわされる。これは人類共通の歴史的過程を経てきたことからこのような結果を生んでいるといえる。この共通の過程とはなにか?それは「氏姓制度」である。穴居生活からやがて家族が生まれ、私有財産が蓄積され、村落・部族を形成する過程こそ人類共通の歴史的過程である。
 さてこの姓と氏という漢字の由来について、日本の白川博士と我が唐漢氏の間では天と地の開きがある解釈を展開されている。
 勿論ここでは常々言っているように、どちらが正しいということを解明しようとする立場に立つものではない。両方とも正しいかも知れぬが、それを認めなければならないのも人文科学の宿命かもしれない。
 
「姓」と「氏」はこれまでの社会の成り立ちの根源
 唐漢氏は言う。「氏」は指示造語である。表意の漢字の仮借である。甲骨文字の「氏」の上部は最も簡単な「水」を表す記号から四点を省いた記号、下部は一本の長い縦の指示符号で、水面から水底までの意味であると唐漢氏はいう。金文の「氏」は甲骨文字を受け継いでいるが、美観なものになっている。下部の長い縦棒には一個の丸い点が付け加えられている。小篆はこの点が横に長く変化し、文字構造上の形の均整がとられている。
  要は唐漢氏は「氏」の本義は水の水面から水底までを示す漢字だというのである。



  「氏」は古代社会では本来宗族的称号であった。すなわち同一の血源の出生の繁衍の子孫を表す。即ち姓あれば氏ありで、また姓の区別あれば族号である。氏は姓の分支である。乃至同一家族から出たものは次は一級分枝の称号である。
  姓は不変であるが、氏は変えることは可能だ。即ち同一血源からは同一姓で、その分支としての「氏」が存在する。
  即ち古代中国では、氏は官位、住所、その他社会的位置づけによって名づけられる(変えることが出来る)ものという。しかし「姓」は同じ血縁から出たものは同じ「姓」を引き継ぐものだという。
 上古社会では「姓」は女性の祖先に遡り、「氏」は男系の子孫の承継である。これは、女性が女性を生むと明確に母親、祖母、祖祖母という血縁の接続を知ることが出来たが、男の場合はただ下に向かってのみ追跡でき、ただ自分の子、孫が誰であるか知るのが出来るだけである。これが姓と氏の本質的違いであるという。

2012年3月2日金曜日

女の漢字:「姓」 文化・社会の原点はここにあり

[姓]という漢字に込められた社会の変遷
 「姓」という字は、中国の社会が母系制社会から氏族制度へと発展し、氏姓制度さらに古代、中世、近代の今日に至るまで、社会の根幹の仕組を表す重要な文字である。

 このブログの重要な仕事は漢字の変遷から社会の変遷を読み解くことでもあるので、「姓」という字はこのブログの重要なコンセプトともいえる。今後折に触れ理解を深めていきたい。氏族制度の基盤は血縁集団にあったが、それがやがて国家の政治制度として編成され社会基盤として機能していくようになる。


「姓」という漢字は古代から近代にいたる非常に長い期間
社会の成り立ちの根幹の制度・概念を表す漢字である
姓という文字の成立ち
 「姓」は会意文字であり、形声文字でもある。甲骨文字の「姓」の字の左辺は女という字で、右辺は草木の発芽成長の記号である。両形も会意文字であり、母系制氏族社会で、同一の女性を始祖とする後代まで広がる社会を示している。
 同一の女性の祖先の子孫は、彼らが一人の同じ女性から来る所から金文の姓という字を生んだ。



漢字「姓」という文字がなぜ女偏から人偏に変化し、再び女偏に変化したのか
 右辺の字の符号の中の短い横棒と左辺の女偏が人偏に代わり、この時期に社会が既に男性の権力の時代に入り、既に母系制氏族制度が転覆したことを表明している。小篆の「姓」という字は女と生に回復しているが、母系制に回復したということではない。ただなぜ人遍から女偏に変わったのかは調べる価値がありそうだ。

 実際上、この一時期、早くも張、王、李、劉等の男性の姓の天下であり、司馬、諸葛、欧陽などの2文字の姓は皆父系から得た姓である。

 上古社会では、個人並びに氏族の姓は皆女性の血統に源を発している。この一点早くから氏の文字の構造は証拠となり得た。姜の様な姓は、神農の居姜水の姓と考えられる。女の羊の声は「姫」の様な性を生んだし女の臣の発声は「赢」姓であり、又皇帝の数少ない姓を生んだ。「姚」などもその数少ない例かもしれない。

 中国古代社会では平民と奴隷は皆姓を持ってなかった。只貴族のみが姓を持っていた。実質上早期には姓の権利が独占されていた。この為に上古では庶民という言葉は「百姓」を指していた。平民も姓氏を持つ様になって、庶民という言葉は一般庶民を表示するのに用いられた。

 日本では、朝廷が、官位と同じように氏(うじ)と姓(かばね)を授けて氏姓制度を国家機構の中に組み入れ構築していった。



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