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2012年3月4日日曜日

「氏」 文化・社会のもう一つの原点はここにあり

 長い間、人間の社会の根幹の部分を作り上げてきた、姓名。これは現在の日本、中国では家族を表す指標であり、韓国においては広義の血族関係を表す本貫である。これは東洋に留まらず西洋でもFamily Nameという呼称でこの関係があらわされる。これは人類共通の歴史的過程を経てきたことからこのような結果を生んでいるといえる。この共通の過程とはなにか?それは「氏姓制度」である。穴居生活からやがて家族が生まれ、私有財産が蓄積され、村落・部族を形成する過程こそ人類共通の歴史的過程である。
 さてこの姓と氏という漢字の由来について、日本の白川博士と我が唐漢氏の間では天と地の開きがある解釈を展開されている。
 勿論ここでは常々言っているように、どちらが正しいということを解明しようとする立場に立つものではない。両方とも正しいかも知れぬが、それを認めなければならないのも人文科学の宿命かもしれない。
 
「姓」と「氏」はこれまでの社会の成り立ちの根源
 唐漢氏は言う。「氏」は指示造語である。表意の漢字の仮借である。甲骨文字の「氏」の上部は最も簡単な「水」を表す記号から四点を省いた記号、下部は一本の長い縦の指示符号で、水面から水底までの意味であると唐漢氏はいう。金文の「氏」は甲骨文字を受け継いでいるが、美観なものになっている。下部の長い縦棒には一個の丸い点が付け加えられている。小篆はこの点が横に長く変化し、文字構造上の形の均整がとられている。
  要は唐漢氏は「氏」の本義は水の水面から水底までを示す漢字だというのである。



  「氏」は古代社会では本来宗族的称号であった。すなわち同一の血源の出生の繁衍の子孫を表す。即ち姓あれば氏ありで、また姓の区別あれば族号である。氏は姓の分支である。乃至同一家族から出たものは次は一級分枝の称号である。
  姓は不変であるが、氏は変えることは可能だ。即ち同一血源からは同一姓で、その分支としての「氏」が存在する。
  即ち古代中国では、氏は官位、住所、その他社会的位置づけによって名づけられる(変えることが出来る)ものという。しかし「姓」は同じ血縁から出たものは同じ「姓」を引き継ぐものだという。
 上古社会では「姓」は女性の祖先に遡り、「氏」は男系の子孫の承継である。これは、女性が女性を生むと明確に母親、祖母、祖祖母という血縁の接続を知ることが出来たが、男の場合はただ下に向かってのみ追跡でき、ただ自分の子、孫が誰であるか知るのが出来るだけである。これが姓と氏の本質的違いであるという。