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2025年8月2日土曜日

漢字「愛」の探求 失われた「心」をめぐる、時を超えた旅へ。

     

漢字「愛」の探求:失われた「心」をめぐる旅

音声で聴く「愛」の物語

この記事の背景や漢字の面白さを、約5分の音声でやさしく解説します。

 移動中や作業中でもどうぞ、音声プレイヤーの「▶」でお楽しみください。


この記事はページ「漢字「愛」の由来:昔の「愛」には心があった。簡体字の「爱」には心がないに基づき作成されています。


 

漢字「愛」の探求

失われた「心」をめぐる、時を超えた旅へ。

繁体字(伝統的な形)

vs

簡体字(簡略化された形)

簡体字から「心」が消えたとき、私たちは何を失ったのだろうか?
 中国人の「愛」はあれほど深いのに!

字の変遷を辿る

「愛」という文字は、三千年以上の時を経て姿を変えてきました。クリックして、各時代の字形とその意味の変遷をご覧ください。

「心」の有無が意味するもの

繁体字「愛」と簡体字「爱」。二つの字形は、構成要素の違いから「愛」の捉え方に大きな差を生み出します。

繁体字:愛

伝統的な「愛」は、複数の要素が組み合わさり、複雑で深い心情を表しています。

  • 旡 (キ):頭を巡らせ後ろを振り返る人の姿。「心が後ろ髪を引かれる」ような、去り難い感情を示唆します。
  • 心 (シン):文字通り「心臓、こころ」。感情や思考の中心であり、愛の根源的な部分です。
  • 夂 (チ):ゆっくりと歩く足の象形。立ち去ろうとしても、足が前に進まない様子を表します。

【解釈】心が後ろ髪を引かれ、立ち去り難く、足取りが重くなるほどの深い情念。それが、本来の「愛」が持つ意味でした。

簡体字:爱

簡略化された「爱」では、「心」が取り除かれ、代わりに「友」が置かれました。

  • 爫 (そう):「爪」が変形した部分。何かを掴もうとする動作を示します。
  • 冖 (べき):覆いかぶせる、カバーする形。
  • 友 (ユウ):友人、仲間。手と手をとりあう姿から。

【解釈】友情や仲間意識が中心となり、本来の「愛」が持っていた内面的な深い情念や葛藤のニュアンスが希薄になっています。
 なんで? どうして?

主張:「愛」には心が必要だ

簡体字から「心」が失われたことは、単なる文字の簡略化ではありません。それは、漢字が本来持っていた「愛」の情感や意味の重みが失われつつある現代社会の象徴とも言えます。友情ももちろん大切ですが、内面から湧き上がる、時には矛盾をはらんだ複雑な感情こそが「愛」の神髄ではないでしょうか。

現代社会と「愛」

デジタル化が進み、世界が複雑化する中で、「愛」という概念もまた、新たな問いに直面しています。

社会の発展と愛

古代では「愛」は「けち臭い、惜しがる」といった意味も持ち、男女の愛情を指すようになったのは比較的最近のことです。社会の構造が変化するにつれ、「愛」の概念もまた変容し続けてきました。

デジタル社会の愛

SNSでの「いいね」やオンラインでの繋がりは、手軽な「愛」の表現かもしれません。しかし、それは「心」を伴った深い繋がりを代替できるのでしょうか。デジタル社会は「愛」を希薄化させているという懸念もあります。

変化への心構え

戦争、気候変動、ヘイトスピーチ。現代社会は「愛」が見えにくい課題に満ちています。このような時代だからこそ、私たちは自問自答しなければなりません。「愛っていったい何なのだ!」と。

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このページはインタラクティブな学習体験のために設計されています。

漢字「愛」の物語

一つの漢字に秘められた、三千年の心の軌跡をたどる旅へようこそ。

伝統的な文字 (繁体字)

簡略化された文字 (簡体字)

片方の「愛」から、なぜ「心」は消えてしまったのか?

音声で聴く「愛」の物語

この記事の背景や漢字の面白さを、約5分の音声でやさしく解説します。

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時間をさかのぼる

「愛」という文字は、最初から今の形だったわけではありません。ここでは、三千年以上もの時をさかのぼり、「愛」の文字がどうやって生まれて、変化してきたのか、その旅を一緒にたどってみましょう。

漢字「愛」 金文、小篆、楷書(繁体字)、簡体字

楷書 (かいしょ) 約1800年前〜現代

現在私たちが使う、整った形の「愛」。上部の「旡(キ)」が変化した部分と、中央の「心」、そして下部の「夊(スイ)」から成り立っています。それぞれのパーツが持つ意味が、この後の時代から受け継がれています。

小篆 (しょうてん) 約2200年前

愛 (篆書風)

秦の始皇帝が中国を統一した時代に使われた公式書体。「心」の上に、後ろを振り返る人の姿を表す「旡(キ)」が加わりました。さらに、下には「歩み寄る」を意味する「夊(スイ)」が追加され、「心が惹かれて、相手に歩み寄っていく」という、より積極的な愛情のニュアンスが生まれました。

金文 (きんぶん) 約3000年前

愛 (金文風)

青銅器に刻まれた、最も古い「愛」の原型の一つ。人が胸に手を当て、心臓(心)を大切にしている様子を描いた、あるいは、息が詰まるほどの切ない気持ちを表している、など様々な解釈があります。この時点で、すでに「心」が感情の中心として描かれているのがわかります。

古代の「愛」のかたち

古代の文字は、まるで絵のようでした。そこから学者たちは、昔の人が「愛」をどのように感じていたかを読み解こうとしています。ここでは、代表的な二つの解釈と、日本の著名な学者による深い洞察を紹介します。

❤️‍🩹

解釈①:切ない気持ち

人が胸に手を当て、息が詰まるような切ない気持ちを表しているという説。愛が喜びだけでなく、苦しさや切なさを伴う感情であることを示唆しています。

🚶‍♂️...❤️

白川静説:心が残る人

漢字研究の大家、白川静氏は「去ろうとする人の姿と、それに引き止められる心」と解釈しました。別れの場面で、体は去っても心が残る、その未練や執着こそが「愛」の原点だという、非常に詩的な解釈です。

🐶❤️

解釈②:犬の愛情

実は犬が飼い主を慕う姿だ、という面白い説もあります。古代から、人間と動物の間の深い絆もまた「愛」の一つの形として認識されていたのかもしれません。

そして、「心」が消えた

20世紀、中国で文字の簡略化が進められました。その過程で、「愛」という文字は大きな変化を遂げます。多くの人々が読み書きしやすくなるという目的の裏で、失われたものとは何だったのでしょうか。

伝統的な「愛」から「心」が取り除かれ、代わりに「友」が加えられました。

友情ももちろん大切ですが、息が詰まるほどの切なさや、去りゆく相手を思う未練といった、複雑で深い感情を表していた「心」がなくなったのです。元のブログ筆者が「愛には心が必要だ!!」と力強く訴えるのは、この変化に対する想いからでした。

時代で変わる「愛」の意味

「愛」という言葉は、時代や文脈によって様々な顔を見せます。古代の意外な意味から、現代のユニークな使い方まで。下のタブをクリックして、「愛」の多面性を探ってみましょう。

古代の愛:「惜しむ」「もったいない」

古代中国では、「愛」は「何かを大切にし、失うことを惜しむ」という意味で使われることが多くありました。例えば、孔子の『論語』では、優れた家臣を「愛(おし)む」という表現が出てきます。これは、才能を失うのがもったいない、という気持ちです。自分のものを手放したくないという、少し自己中心的なニュアンスも含まれていました。

現代の愛:「〜しがちである」

現代中国語の口語では、「愛」は「〜するのが好きだ」「〜しがちだ」という癖や傾向を表すことがあります。例えば「鉄は錆びるのが好き(爱生锈)」のように、まるで鉄に意志があるかのように表現します。日本語の「愛」のイメージからは少し意外な、面白い使い方です。

男女の愛:ロマンチックな感情

もちろん、現代の私たちが最もよく知る「男女間の愛情」も「愛」の重要な意味です。しかし、この意味が一般的になったのは、実は比較的最近のこと。時代と共に、「愛」という言葉が、より個人的で情熱的な感情を表すようになってきたことがわかります。

あなたの「愛」には、心がありますか?

一つの漢字の旅は、私たちに多くのことを教えてくれます。言葉は時代と共に変化しますが、その奥にある人々の想いや文化は、文字の中に刻まれ続けています。「愛」から「心」が消えたことを知った今、私たちは自らの「愛」について、少しだけ深く考えるきっかけをもらったのかもしれません。

元のブログ記事「漢字考古学への道」を読む

2025年7月25日金曜日

漢字「愛」の由来:昔の「愛」には心があった。簡体字の「爱」には心がない

漢字「愛」の由来:昔の「愛」には心があった。簡体字の「爱」には心がない


  

ーー 甲骨文字から簡体字まで「愛」の変化が示す社会の変化 ーー



現代では人類は、「愛」そのものを見失ってしまったのではないかとすら思える。あまりに殺伐としているから‥。
 そして、近い将来、未来の中で、人類が滅びる前に、再び「愛」を見出すことが出来るだろうか



音声で聴く「愛」の物語

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このページから分かること
  • 社会の発展と「愛」の遍歴
  • 現代の漢字「愛」が表すもの
  • 愛の成り立ち
  • 現代の「愛」が直面するもの
  • 変化する愛への心構えの指針





**********************

前書き

 人類のが地球に誕生してからずーと「愛」を探し求めてきた、というか愛に飢えてきた。そして終末期といわれる現代、人類は愛を手に入れることが出来ているだろうか?
戦争、気候変動、食糧難、暴力、あふれるヘイト、この中にあなたは愛を見出せるのか? 綺麗ごとというなかれ!愛は人間が生きるための基本なのだから!



漢字「愛」の今


現代では漢字「愛」には二つの字体が使われています。一つは日本や台湾で使われている字体(繁体字と呼びます)です。もう一つの字体は繁体字(伝統的な漢字)よりも画数が少なく、中国大陸、シンガポール、マレーシアなどで使われている字体です。これを中国では「簡体字」と呼んで、日本などで使われている字体と区別をしています。


二つの「愛」

 では日本で使われている字体から始めましょう。
漢字「愛」楷書 日本の漢字は戦後新字体として確定されましたが、台湾、香港、マカオなどとたいへんよく似ています。
 新字体とは、日本で第二次世界大戦後に制定された「当用漢字字体表」や「常用漢字表」において、それまでの旧字体(正字体や康熙字典体など)を簡略化した漢字のことです。


 簡体字は、1950年代の中国の文字改革によって導入されました。これは、漢字の普及と識字率向上を目的として、複雑な繁体字を簡略化する試みでした。

 漢字は字画も多く、習得するのに多少を難を伴いますので、中国では新しい体制になってから、急速に簡略化の機運が高まり、周恩来首相が中心となってあたっしい漢字を導入したということです。





漢字「愛」の歴史



「愛」のない世界はどんな世界であった?

 実は人間が誕生して、文字を持つようになるまでには随分長い時間がかかっています。
 中国についていえば、4大文明の一つである「黄河文明」が誕生してから人々は長い間、狩猟や採取による生活を強いられてきました。その間、恐らく定住することもなく、家族単位で行動していましたから、文字など持つ必要はなかったっわけです。



甲骨文字の誕生

 ところが、人々が定住し稲などを栽培をするようになり、集団で生活し、次第にゆとりがある生活をするようになると貧富の差が生まれ、石の伝達手段も高度になってきました。最初は村の権力者が王権を維持するため神の力を借りて、力を誇示するようになりました。これに用いられたのが神の宣託です。こうして神の意思を伝達手段として文字が作られました。こうして誕生したのが甲骨文字です。今から3500年前の話です。
 しかしこのころは人々の暮らしは貧しく、自分の命をつなぐだけの生活が続きました。それでも次第に社会は発展し、農耕が発達し、青銅器が作られるようになり、人々の生活も次第にゆとりが出てくるようになりました。

 こうなると人々の気持ちも、周りに気を配れるゆとりが出てくるようになったのです。

 話が長くなりましたが、皆さんは、「衣食足りて礼節を知る」ということを聞いたことがありますか。これは中国の春秋時代の斉の宰相、管仲の言行録である『管子』に出てくる言葉ですが、人間はこの時期に至って人としての感情や感性を知るようになったのです。



「愛」の誕生

本当話が長くなって申し訳ありませんが、人間が「愛」という感情を持つまでにこれぐらい長い歴史があり、苦闘があったわけです。たかが愛と夢おろそかにはできませんぞ!


漢字「愛」の漢字の成立ちと由来


ここからは、漢字の成り立ちそのものをいう「漢字論」に少し入りますので、興味なない方はすっ飛ばしてください。 

引用:「汉字密码」(P886、唐汉著,学林出版社)
漢字「愛」金文、小篆、楷書、簡体字
「愛」の字の成り立ち」
愛は会意文字である。
 「愛」という字の形には、人々の心をこめた情感が覗える。

 金文の愛に対しては2種類の解釈がある。ひとつの解釈は、一人の人が両手で心をささげ持つ形である。そっぽを向いているが、口では心の中を懸命に訴えている様。
 別の解釈は、犬の画の中に丸い形の心が認められる。これは犬が主人に対して喜びの情をしめしているという。

 小篆の愛の字は下部に一本の線が突出しているが、歩いてくることの意味を付け加えている。これは愛が一種の「主動」であることを表わしている。  小篆の字形の形態は美しいが、却って象形の趣を失っている。楷書は隷書を経て「愛」に変化した。

 漢字の簡単化の中で、心は省略されて現在に至っている。  現代中国語の「爱」はもともとの漢字の持つ意味や情感が失われてしまっている。少し皮肉っぽくいえば、現代中国の簡体字の「爱」では、「心」が失われてしまっているように思うのだが・・。愛には心が必要だ!!

「字統」の解釈
 白川博士は「字統」の中で、「愛」について、「後ろを顧みて立つ人の形を表わす字形と「心」の会意文字である。
 後に心を残しながら立ち去ろうとする人の姿を写したものであろうとしている。確かにこちらの方が私たちの感覚にはよく合う。
 説文では、「恵」の古代文字を出して「恵」なりとしているということだが、これは、「愛」と同字異文であるとしている。



哲学:失われた完全性を求める旅

      もともと愛に完全性などあったのか?と思いつつ

さらに、西洋と東洋の愛の認識のこの違いはどこから来るのだろうか?
  • 狩猟民族
  • 農耕民族
のちかいだろうか? 歴史の深みに足を取られ、流されそうになっている自分を感じる。



プラトンの教え

古代ギリシャの哲学者プラトンは、著書『饗宴』の中で「人間球体論」を紹介しました。かつて一体だった人間が神によって二つに引き裂かれ、その失われた半身を求める感情こそが「愛」の起源であると。これは、愛が「欠如」から生まれ、孤独を解消し、繋がりへと向かう根源的な欲求であることを示唆しています。

キーコンセプト:

  • 人間球体論:愛は、引き裂かれた自己の片割れを探す旅。
  • 欠如からの欲求:不完全な自己を充足させたいという願いが愛の原動力。

仏陀の教え

仏教は古代ギリシャ哲学とは全く異なる思考方法で、愛を捉えていました。

キーコンセプト:

  • 「愛」は、一般的に、欲望や執着を意味し、悟りの妨げとなる煩悩の一つとされ、自己中心的な愛や、対象への執着は区別を促すものとなり、単なる己の欲望充足のための愛となる。
    こうした愛は仏のいう慈悲(無償の「愛」)とは全く異なるものであると説く。
  • 仏教で説かれる「慈悲(じひ)」は、見返りを求めないであり、他者を思いやる心として、悟りに向かうための重要な要素とされています。

日本における「愛」という言葉がいつから使われたかについてYahoo 知恵袋に大変参考になる記事を見つけたので、そっくり参照させていただいた。
「「愛」 という言葉、文字はいつごろから日本で使われていましたか?。」



「愛」の持つ意味

 「愛」は、賞賛の積極的な表現から生まれたもので、人や物に対する感情です。例えば、唐代の白居易の詩「雪戯火向」には、「我が人生で愛するものは、火を愛し、雪を憐れむ」とあります。また、「愛」は特に男女間の愛情や賞賛を指すこともあり、「性、情欲、愛」といった言葉で表現されます。現代の口語では、「愛」は「容易な」や「しばしば」といった意味を持つこともあります。例えば、「鉄は錆びるのが好き、その子は病気になるのが好き」などです。
 「愛」はもともと主動で「愛慕」の気持ちを表白することから来ている。人や事物に備わる一種の情感を表わす。

  愛はまた男女の情愛または愛慕でもあり、「性愛、愛欲、歓愛」などなど。現代口語では、「愛」は「容易・平常」の意味にもなる。


「愛」を古代人たちはどう捉えていたか

 「愛」古代漢語では、よく「けち臭い、惜しがる」の意味に用いる。論語の中で、「尔爱其羊 , 我爱其礼」「羊を惜しむのはその礼を惜しむようなもの。そのなかの「愛」は惜しむことの意。哲学者の講義の中に「爱是一种自私」愛は「自分の一種」他人を愛することは自分を愛することだ。『戦国策』のなかで、父母子供を愛し、すなわち深く謀る。このことは父母は子供を愛するなら、子供ためによく計画を立て、長くためになるようにすべきだ。子供の成長の中から恩恵を預かることが出来れば、而して災難にはならない。



まとめ

  一つの漢字の旅は、私たちに多くのことを教えてくれます。言葉は時代と共に変化しますが、その奥にある人々の想いや文化は、文字の中に刻まれ続けています。「愛」から「心」が消えたことを知った今、私たちは自らの「愛」について、少しだけ深く考えるきっかけをもらったのかもしれません。

  現代の私たちが最もよく知る「男女間の愛情」も「愛」の重要な意味です。しかし、この意味が一般的になったのは、実は比較的最近のこと。時代と共に、「愛」という言葉が、より個人的で情熱的な感情を表すようになってきたことがわかります。

 しかし最近この愛という言葉から昔あったような情感が失われているように感じます。何か無機質な言葉だけが独り歩きしているように感じます。それは人間の考えが生活から離れてしまっているように思うのです。これから先愛は何処へ行ってしますのでしょうか?デジタル社会になるのは否めません。身を焦がすような愛は、デジタルではどのように表現されるのでしょうか?

もう一度強く強く叫びたい。「愛っていったい何なのだ!」





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2021年2月14日日曜日

漢字「情」と「愛」の由来と成り立ちは? 「情」は「愛」ではないの? これが分かれば、人間が分かる?


漢字「情」と「愛」の起源と由来:「情」は「愛」ではないの?これが分かれば、人間を深く理解できる
 2月14日はバレンタインデーだ。日本語で言うとさしずめ「恋人の日」とでもいうのか、中国語で、「情人節」という。日本語の感覚から言うと、随分生々しい感覚を受ける。
 恋人は中国語で情人、日本語で愛人は中郷語で情婦というらしい。(googe翻訳による)この翻訳が正しいのかどうかもわからないが、日本語と中国語では同じ漢字を使うとしてもずいぶん異なる。

 日本語の中でも、愛情と情愛の違いが分からなければ、人の機微を理解したとは言えない。

そこでこの際以前投稿した記事を見直し、愛と情について見直しをしたい。

引用:「汉字密码」(P885、唐汉著,学林出版社)
「字統」の解釈
 白川博士は「字統」の中で、「愛」について、「後ろを顧みて立つ人の形を表わす字形と「心」の会意文字である。
 後ろに心を残しながら立ち去ろうとする人の姿を写したものであろうとしている。確かにこちらの方が私たちの感覚にはよく合う。
 説文では、「恵」の古代文字を出して「恵」なりとしているということだが、これは、「愛」と同字異文であるとしている。白川氏は、この字を評して、「人の真意を字形に写して巧妙を極めている」といっている。

 小篆の字形の形態は美しいが、却って象形の趣を失っている。楷書は隷書を経て「愛」に変化した。

 漢字の簡単化の中で、心は省略されて現在に至っている。  現代中国語の「爱」はもともとの漢字の持つ意味や情感が失われてしまっている。少し皮肉っぽくいえば、現代中国の簡体字の「爱」では、「心」が失われてしまっているように思うのだが・・。愛には心が必要だ!!



「情」の字の成り立ちと漢字の持つ意味を字統より
 漢字「情」の成り立ち:声符は青。《説文》に「人の陰気にして欲あるもの也」という。性を陽、情を陰とする考えは漢代性情論に一般的なものであった。後に性は「体」,情は本能的なものとしている。即ち本能的な欲望を[情]としている。

 因みにここでいう「青」は古くから丹朱、丹青として鉱物質のもので変色せず腐敗を防ぐ力があると珍重された鉱物質を取り出すために深く井戸型に掘り下げていくものを丹井といった。その井戸の中にある石が丹青であることを示したことからこの字が使われた


「愛」と「情」の狭間で
 「愛」は心を後ろに残しながら、決めかねて揺れ動く気持ちを表現したものである。一方「情」は情念といわれる如く、もっと本能的な人間の欲を表現したものである。やはり「情」は「愛」は似て非なるものなのかな?  


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