2021年8月31日火曜日

从、従、比、北、化の漢字の成り立ちと由来:元は人が二人並んだもの。それはたった一字で、見事に人の人との関係を表現している


从、従、比、北、化はたった一字で全て人間と人間の関係を表現したもの。
人は自分の立ち位置は、一人でいるときは、分からないものですが、二人になるとおのずと明確になるものです。
 漢字は人間の立ち位置を見事に表現しています。

 漢字「従」の楷書で、常用漢字です。从は従の簡体字です。
 从は従の原字です。現在中国では、この文字を正字として使用しています。
従・楷書


 
  
从・甲骨文字
人が二人左を向いて並んでいる。左の人に右の人は追随していることを示している。
このころからすでに左が上位という概念があったのかも知れない
比・甲骨文字
从の字の人の向きが右向けになっており、「比」べることを表している。
北・甲骨文字
二人の人間がお互いに背を向け合った状態をさす。反目した状態とあらわすまた、敵に背を向けるということで敗北の「北」となった。
化・甲骨文字
左辺は人の生きた状態を表し
右辺は人が逆さになっていて、人の変化を表します。その究極の形が、人の死を表す。即ち死体を表示している。




漢字[从」の発展過程
漢字[从」の発展過程
  漢字「从」は生まれてから、従という形に発展し、その後簡体化の過程を経て、現代中国で使われている簡体字「从」の字体に変化する過程と、左に示すように一貫して初期の書体を踏襲したまま成長した二つの過程に分かれたことがわかります。この変化により、我々は人間認識の成長過程を跡付けることができます。


引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「从」は会意文字である。甲骨文の「从」の字前後に二人の人形があり、まるで一人の人が前面を歩いているかのようです。別の人は後を付き従っていく様子です。いわゆる従の本義は従うことです。金文では歩いていくことを示す「止と道路を示す「□」が付け加えられの会意で、二人の人が相随行して道路を行くことを示している。
小篆の従は金文と構造上は同じで、ただ文字の構成上一定の調整がなされている。楷書は「従」と書く。簡体字では「从」と書く。  
    


「従」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ジュウ
  • 訓読み   したが(う)

意味
     
  • したがう(自)。  ・・ 追従 したがえる。(他)  ・・従軍  
  •  
  • つきそう。つきしたがう 
  •  
  • ききいれる.  従順

同じ部首を持つ漢字     縦
漢字「従」を持つ熟語    従順、従軍、従事




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「从」は会意文字である。甲骨文の「从」の字前後に二人の人形があり、まるで一人の人が前面を歩いているかのようです。別の人は後を付き従っていく様子です。いわゆる従の本義は従うことです。金文では歩いていくことを示す「止と道路を示す「□」が付け加えられの会意で、二人の人が相随行して道路を行くことを示している。
小篆の従は金文と構造上は同じで、ただ文字の構成上一定の調整がなされている。楷書は「従」と書く。簡体字では「从」と書く。

 


漢字「従」の字統の解釈
 旧字は従に作り、辵と从に従とする。从は従の初文。説文に「从、相聴くなり。二人に従う」とし、聴許の意とする。また「从」については随行するなりとするが、辵と从に従う。卜文、金文の字形は从、後に従の字形となるが、もともと一字である。


まとめ
 人は社会的動物であるともいわれる。人は一人でいるときは自分の立ち位置が分からない。しかし二人になった途端、その関係が目の前に現れてくる。これらの漢字は、たった一字で私たちに自分が何者であるかを教えてくれる。そして四文字で人間の一生が表現されているといっても過言ではない。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2021年8月28日土曜日

漢字・唐の成り立ちと由来:唐傘、唐物など外国ものの代名詞に使われる「唐」の漢字の成り立ちは「脱穀」にあった


漢字・唐の成り立ちと由来:杵を振り上げ脱穀するにあるが、唐朝で国名に使われて以降中国の代名詞となった。
 唐は中国の唐王朝の時代を表す漢字で、隆盛を誇った時代は日本はもちろんのこと世界の文化の中心であった時代です。
  日本からも遣唐使が派遣され文化の吸収に努めた時代でもあります。この漢字は庚と口から成ります。庚には古代2つの意味があったようで、①は木根を振り上げ脱穀する ②大言する とあるが、この二つ目の意味ががどのようにして導き出されたのか皆目見当がつかない。


漢字「唐」の楷書で、常用漢字です。
 「庚」と口から成ります。庚は杵を上げて脱穀している形。
 成り立ちは「杵」上げて脱穀を表しているということから、この漢字は農耕が発展した時代に生まれたと考えられます。今から6000年から4000年前の出来事だったのではないでしょうか。
唐・楷書


  
唐・甲骨文字
杵を振り上げ脱穀している様
唐・金文
甲骨文を引き継いでいる
唐・小篆
漢字の記号として、形が整備された


    


「唐」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   トウ
  • 訓読み   から

意味
     
  • 大言をたたく
  •  
  • とりとめがないこと、話が空虚である 
    むなしい   空疎である
  •  
  • ひろい、大きいこと
  • にわかに 突然に

同じ部首を持つ漢字     唐、糖、
漢字「唐」を持つ熟語    唐朝、盛唐、唐傘、唐人、唐突




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 唐会意文字である。甲骨文字の唐の字は上部は「庚」で、上古時代の糠をとる網で下部は口である。両形の会意で、大言をいう、ほらを吹くの意味である。金文は甲骨を受け、構造的には相似で上部の構形は少し煩雑になっている。小篆は変化して上部の庚は両手に分裂し、隷書では左の手が省略され、一つの祓いになって楷書は「唐」となっている

 



漢字「唐」の漢字源の解釈
 庚+口から成る。庚はピンと張るの意。口を張って大言することとしている。


漢字「唐」の字統の解釈
 庚と口に従う。庚は康の従うところで、杵を上げて脱穀している形。口はサイ、祝禱を収める器であることから唐は農耕に関する儀礼を示す字であろう。杵を供えて祈る意を表す字かと思われる。


まとめ
 この漢字からは全く異なる意味が引き出されていますが、それぞれ成立過程にはそれなりの理由があるはずです。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。