2021年2月9日火曜日

漢字「鉞(まさかり)」の由来と成り立ち:大きな斧の象形文字。太古の昔は権威の象徴として儀丈にも用いられた


漢字「鉞」の由来と成り立ち:大きなまさかりの象形文字。太古の昔は権威の象徴として儀丈にも用いられた
 昔の小学校唱歌にあったが、今では知っている人も数少なくなっている。
 歌い出しは「まさかりかついで きんたろう   くまにまたがり おうまのけいこ」というものであった。
 ここに出てくるまさかり(鉞)を知っている人ももう少ないだろう。50年ほど前には少し田舎に行けば、わりに見ることができた大きな斧である。時代は変わったものである。

 

引用:「汉字密码」(P587、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「鉞」は古代の斧の頭が生まれ変わった兵器である。この種のたたき切る兵器は形状は美しい。刃はアーク状を成し刀身は薄く幅広い。刃の部分は鋳込んで十分美しい文様になっている。刃の後方は曲線になっている。鉞は殺伐の象徴的な儀仗兵器で、通常は王と首領が所持している。このため古代兵器の中で独特の地位を占めている。

 甲骨文では、線状は簡潔で無駄がなく、まさに鋭い象形のデッサンである。金文の鉞の字はデッサンの持ち味を失って、比較的抽象的な文字になっている。小篆の鉞の字は完全に変わってしまっていて、文字の符号になって、象形の図案の図案からはかけ離れてしまっている。楷書では「戉」と書く。金偏が付いて、鉞とかき、ついに形声文字になった。

 全商代を通じて、鉞は多機能な兵器であった。


漢字源の解釈
 象形。まさかりのような形をした古代の武器を描いたもので、丸くえぐった形をしている。


字統の解釈
 象形: 鉞の形。説文に「大斧なり」という。戉は「鉞」の初文。


まとめ
戉は「鉞」の初文。「鉞」は古代の斧の頭が生まれ変わった兵器である。 
  1. 先ずそれは征伐用の武器であった。 
  2. 第二に一種の刑具であった。青銅の銘文には鉞を用いて殺人の図がある。
  3. 第3に一種の権力の象徴であった。
  4. 常に典礼や出陣の時の儀仗用具であった。常に高い社会的等級を備えているばかりでなく社会の権力の象徴でもあった

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2021年2月8日月曜日

漢字の成り立ちの意味するもの:漢字「朱」は朱砂から朱を取り出す技術を感じしている?


漢字「朱」の成り立ちと由来:幹の真ん中に瘤のある木とあるが、「朱」の採取に何らかの関係のあることかもしれません

 「青は藍より出でて藍より青し」ということわざがありますが、ここでは「赤は朱より出でて朱よりも赤し」ということができるかもしれません。赤い色を示す言葉には、「赤、紅、朱、緋、赫」という言葉があり、それぞれニュアンスが違います。この中で「赤」は赤い色の総称です。この5つの中で最も古い漢字は「朱」だと考えれらられます。漢字「朱」の成り立ちは木の真ん中に瘤のある木とありますが、この瘤が、当時すでに発見されていただろう朱砂から「朱」の燻蒸・採取に何らかの関係のあることかもしれません。また少なくとも朱砂の燻蒸を思い起こさせる言葉でもあり、朱という色そのものに直接迫るのではないかという点で、私は最も評価できる説でもあります。


引用:「汉字密码」(P149、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
「朱」これは指事字である。主体の形状は樹木を示している。中間の一点或いは短い横棒は指示符号であり、樹木の幹の中心の所在の位置を示している。またそこから幹を裁断したことを示している。
 「朱」の本義は裁断後の木の杭である。《正字通·木部》は「朱」で以て幹を数える、他の株を作るとしている。これは朱の字に木偏を加えて株である。朱の本義は即ち木の杭である。この意味は専ら株が受け持つことになった。   


 


漢字「朱」の漢字源の解釈
 指事。「木+一」で、木の地の原形のの中央を一線で断ち切ることを示す。つまり切り株を示す。株の原字だが、切り株の木質部のあかい色というのに転用された。


漢字「朱」の字統の解釈
 漢字「朱」の成り立ちは木の真ん中に瘤のある木とあるが、この瘤が何を意味するかわ分からない。ただ「朱」の採取に何らかの関係のあることかもしれません。ただ遺跡から朱砂の燻蒸がなされていたのではないかといわれており、この瘤もそれに関係することかも知れません。
白川博士は金文の第3款に重きをおいて、朱砂からの朱色の抽出、燻蒸に用いられたのであろうと思いを走らせた。

「朱」とは濃いあか色。また、黄色がかったあか色だといわれています。


まとめ
 「朱」の原字である木の幹の部分にある瘤の解釈で判断が分かれた。当時発見されていた朱砂から如何に色を取り出していたか、又その時にいかなる装置が使われたかの解明にロマンがある。



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