2012年4月16日月曜日

漢字「配」の起源と由来:酒瓶を配る男の意味

「配」は酒を配る人の意味。
「配」は会意文字である。甲骨文字と金文の「配」の字の左辺は酒瓶を表す「酉」である。右辺は膝まづいて中腰になった男を表している。両形とも会意文字で今酒をその他の人に配り分けている様を表示している。小篆の「配」の左辺は「酉」であるが右辺の人の形には変化がみられる。すでに人の形ではない。楷書の「配」の形は、この縁から人の形はさらに一歩変化し、ついに酉と己からなる会意文字となっている。

 配の原義は酒を分配する人の意味である。また古語の中では「男女の結合」ということで、「配偶、匹配」等の様に用いられた。又さらに拡張されて、若干の部分で「調配、塔配、配料のように一緒という意味にも用いられた。 「配備」の様に補充して完備するという意味にも拡張された。成語の中でも「成龍配套」(各部を組み合わせて完成したシステムを作る)様に使われる。
 「配」は古代ではまた「発配」を指す。即ち流刑懲罰の罪を受けるという意味である。

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2012年4月15日日曜日

「省」という漢字の起源と由来


 日本で「省」といわれて最初に思いつくのが、「文科省」「財務省」「外務省」などの国の仕組みのことである。
 最近では、官僚の専横独断が鼻に付き、こういった官僚の仕組みに対する不信感も増幅されており、嘆かわしいことである。
 中国語では、省という字は二つの読み方があり、それに伴い二つの異なる意味を持っている。いわば同音異義語である。

「省」:よく見る、察、省く、古代王宮の禁止区域
一つはShengと読み、省く、省略する、「○○省」の省(日本の県に当たる)であり、もう一つはXingとよみ、内省する、反省する、悟るの意味である。
そこで、甲骨文字に戻ってこの文字の由来を探ってみよう。

この文字は会意文字である。甲骨文字では、眼の上に三画を付け加えて、目に差し込む光を左右から観察している形である。金文は甲骨文字を引き継ぎ、形は相似である。小篆では金文の第2項目の下辺の眼の形が転じて「目」に変化している。すぐ上の点は長く引き伸ばされ湾曲している。楷書では「省」と書かれるようになった。

 「省」の本義は細かく見て、じろじろ観察するということである(審査するように見る)。また前に過ぎ去ったことを省みるという意味でもある。
 《論語》では「一日三回わが身を省みろ」と語られている。もともとは審視するという意味から派生して、探望や挨拶をさすようになった。覚悟、知る、悟るなども派生的な意味である。

また減少の意味あり。このことから節省(節約)、倹約等の言葉が派生した。

省は古代にあっては王宮の禁止区域のことである。「篇海類編」の解釈では省とは禁署なりとある。男が入ることが禁じられた省のこと即ち、言いかえればこの中には査察ができない妾の場所のことで、これによって、これが中書省や尚書省などの官署の名称となった。
 ところで白川博士の説はこの唐漢氏の説と異なり、目の上に付いた枝の様なものは「呪力をますために眉に付けた飾り」のことを言い、呪力をますために飾りをつけて、地方を巡察して取り締まり、見回ることが「省」だというのだ。そして見回った後取り去るべきものは取り去るので省くという意味も出てきたとのこと。ここでも白川博士が卜辞や呪術を重視していることがよくわかる。

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