日本で「省」といわれて最初に思いつくのが、「文科省」「財務省」「外務省」などの国の仕組みのことである。
最近では、官僚の専横独断が鼻に付き、こういった官僚の仕組みに対する不信感も増幅されており、嘆かわしいことである。
中国語では、省という字は二つの読み方があり、それに伴い二つの異なる意味を持っている。いわば同音異義語である。
最近では、官僚の専横独断が鼻に付き、こういった官僚の仕組みに対する不信感も増幅されており、嘆かわしいことである。
中国語では、省という字は二つの読み方があり、それに伴い二つの異なる意味を持っている。いわば同音異義語である。
そこで、甲骨文字に戻ってこの文字の由来を探ってみよう。
この文字は会意文字である。甲骨文字では、眼の上に三画を付け加えて、目に差し込む光を左右から観察している形である。金文は甲骨文字を引き継ぎ、形は相似である。小篆では金文の第2項目の下辺の眼の形が転じて「目」に変化している。すぐ上の点は長く引き伸ばされ湾曲している。楷書では「省」と書かれるようになった。
「省」の本義は細かく見て、じろじろ観察するということである(審査するように見る)。また前に過ぎ去ったことを省みるという意味でもある。
《論語》では「一日三回わが身を省みろ」と語られている。もともとは審視するという意味から派生して、探望や挨拶をさすようになった。覚悟、知る、悟るなども派生的な意味である。
また減少の意味あり。このことから節省(節約)、倹約等の言葉が派生した。
省は古代にあっては王宮の禁止区域のことである。「篇海類編」の解釈では省とは禁署なりとある。男が入ることが禁じられた省のこと即ち、言いかえればこの中には査察ができない妾の場所のことで、これによって、これが中書省や尚書省などの官署の名称となった。
ところで白川博士の説はこの唐漢氏の説と異なり、目の上に付いた枝の様なものは「呪力をますために眉に付けた飾り」のことを言い、呪力をますために飾りをつけて、地方を巡察して取り締まり、見回ることが「省」だというのだ。そして見回った後取り去るべきものは取り去るので省くという意味も出てきたとのこと。ここでも白川博士が卜辞や呪術を重視していることがよくわかる。
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