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2021年6月20日日曜日

漢字 駒の誕生と由来:古人は若々しい馬をみて、若い、小さい馬と素直に表現したのだろう。一言で「駒」!


漢字「駒」の誕生秘話:古人は若い牡馬のことを駒と呼んだ。
古人が若い馬を見た時、普通の馬との句ベルをどう付けたのか:一番の特徴は、「若い(小さい)」というのが最も納得できる特徴づけかも知れない


漢字「駒」の楷書で、常用漢字です。
 馬と句からなる。駒とは五尺以上なるをいう。また説文に「馬の2歳なるを駒という」とあり、これらを合わせると、2歳馬で、五尺以上でかつ、成馬でないものを「駒」というようである。つまり馬の通淫を避けるために群れから離している若い雄馬(種馬)のことを駒と呼んでいるようだ。

 句が小さいことや曲がったことを表す要素として使われていることが多い
駒・楷書


  
駒・甲骨文字
馬+牡であることを示す
駒・金文
句+馬
駒・小篆
以上2文字の会意で、即ちとか直ちにを意味する


    


「駒」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ク
  • 訓読み   駒

意味
     
  • 若い元気な馬、二歳の馬、五尺以上で六尺以下の子馬。
  •  
  • 若者、子供
  •  
  • こま 将棋のこま、三味線の糸をささえるこま

同じ部首を持つ漢字     駒、狗、拘、鉤
漢字「〇」を持つ熟語    若駒、駒下駄




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「駒」 は生育がしっかりとした小さな仔馬のことをいう。即ち雄の仔馬のことをいう。甲骨文の「駒」の字は右側は馬の象形である。左側は雄馬の生殖器の図形である。

 金文の「駒」は馬と句からなる。文字の構造からみて金文の駒の字の右は非常に美しい馬のデッサンで、左側は「斗」(句)で「駒」の字の発音にもなっている。

 若い種馬は馬の強い方向にあるので、走り、労苦にもよく耐え、恐れを知らない。

 


漢字「駒」の字統の解釈
 声符は句。句に小なるものの意がある。《説文》に「馬の2歳なるものを駒という」とあり、《詩、周南、漢広》に「駒とは5尺以上なるものをいう。」とする。
 成馬は6尺以上のものをいう。駒の通淫を避けるために、一時群れから離すことが記されているが、馬政上重要なこととされている。


まとめ
 句は若い、小さいを表す言葉という説のほかに、交尾を示す言葉という説もある。ここでは取り上げなかったが、句の甲骨文字の字体からはこの説も捨てがたいと感じる。何故、雌馬を「駒」と呼ばなかったのか。駒という漢字の中には「オス」という指標が入っていなければならないように思うのだが?


参考ページ: 漢字の成り立ちの意味するもの:「馬」の歴史は、人の歴史そのものだ

「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2021年1月6日水曜日

漢字「牡」は太古の昔にはオスの牛だけを意味していたが、現代では「牡」という漢字は動物一般の性別を総称するようになった



漢字「牡」は太古の昔にはオスの牛だけを意味していたが、社会の発展に伴い、牡という漢字は動物一般の性別を総称するようになった。
 漢字「牡」は最初は牛だけに使われていたが、いつしか動物の「オス」の総称を表すようになった。その裏には、狩猟生活の時代にはオス、メスの区別を明示的にあらわさねばならなかった時代から、農業・牧畜の時代に入り、必ずしも牛や、馬、羊など動物の雌雄を漢字で明示する必要がなくなった社会変化があった。

 社会の変化が漢字に変化を与えた一つの例をここに見ることができる。



引用:「汉字密码」(P16、唐汉著,学林出版社)
「牡」と言う字は、元々オスの牛を指していた
唐漢氏の解釈
 「牡」という言葉は、もともとは古代の雄牛を指すために使用されていましたが、後に「雄羊、雄鹿」などの雄動物の総称になりました。

 甲骨文字の「牡」という単語の左側には「牛」があり、右側には男性の生殖器の図形「⊥」があります。

 小篆の字形は金文からが進化する過程で男性のシンボルは「土」になりました。

 さまざまな動物を表す象形文字の横に男性のシンボル「⊥」を追加すると、男性の羊、馬、鹿の適切な名前にすることができました。しかし、さまざまな雄の動物の固有名詞を表すこれらの文字は、長い間に大規模な文字ファミリから姿を消しました。その第1の理由は、すべて2音節の組み合わせ文字であり、中国語文字の1文字と1音の要件を満たしていないためです。第2の理由は漢字の抽象的な能力の昇華により、人々は「牡鹿、牡马」などのより簡潔な表現を持ち、古代の固有名詞を置き換えることができたからです。

 私たちの先祖にとって、狩猟と動物飼育が主な生産方法であった時代には、野獣のオスとメスを区別することは非常に重要でしたが、農業社会に入った後、狩猟は貴族や王族のレクリエーション活動になり、そのような細分化と区別はもはや必要ではないので、これに関連する文字は徐々に消え、「牡」という言葉は動物の性別の一般的な名称になりました。


結び
 漢字は社会の変化を残す母斑であると常々言ってきましたが、この漢字「牡」もそれを如実に示す一つの例といえましょう



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