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2015年5月23日土曜日

漢字:鬲の起源と由来



引用 「汉字密码」(P679,唐汉,学林出版社)

読み方:(音)レキ (訓) かなえ
 「鬲」これは一種の民族的色彩の濃い炊事用具である。「鬲」字は象形文字で、甲骨文字ではまさにこの種の煮炊きする用具のデッサンである。下部に3本の足があり、袋状の腹と二つの耳を持っている。金文の「鬲」字は甲骨文字と大方似ている。小篆の形象を失っている。
 「鬲」は古代の陶製の炊事具からきている。丸い口と別れていない3足の足を持っている腹がある。鬲は今から6、7千年を隔てた新石器時代の華夏民族の重要な発明である。


 それは陶器のとがった底と容量不足の矛盾を巧妙に解決し、更に陶器を焼くときに底部の面積が大きすぎて窯の壁が癒着してかつ焼成が失敗するという難題を解決した。鬲の用途は鼎と相似である。これは一種の食物を煮炊きする炊事具である。
 すこぶるつたないデッサンで申し訳ないが、「鬲」とはこんなものだと概念的に理解していただくために提示した。まさに後の「鼎」である。実際はこの表面に、文様が施されている。
 上古社会で多く作られたものは陶製で、また陶鬲に倣って少数のものは青銅で作られた。
 「鬲」の字は多音多義語である。二通りの読み方があり、一つはこの煮炊きの容器の場合ともう一つは「隔てる」という意味で、それは火と水を隔てる噐の一種というところからきている。

 因みに白川静博士の説明は以下のようになっている。
かなえの類で、器腹は分当形(口切に足のふくらみをもっ形)をなし、足は中空の款足である。 [説文]に「鼎の属なり。・・・ 腹の交文と三足に象る」という。又(璽雅、釈器〕に、鼎の款足あるもの、これを鬲と謂ふ」とあり、款足の上部まで物を容れうるので、熱のあたる部分が大きく、器も分当形をなしている。
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2012年4月17日火曜日

食文化の曙

  世界の料理と言えば、フランス料理、中国料理、日本料理と3つが並び称されるが、この中で歴史の最も古いものと言えば、言わずと知れた中華料理である。その最初の担い手は、漢字の生れるはるか前の新石器時代に既に火を使い陶器の調理器具まで作り出した華夏民族であろう。 
 「民食を以て天を為す」人類と飲食は共にあり、飲食は人類の創造、また人類の第一の生活要件である。

 「礼記・礼運」曰く、昔未だ火がなかったころ。草や木の食事、鳥獣の肉、その血を飲む。以降火を治めて利用した。

華夏民族の飲食文化は火に炙って焼き肉を食べ始めたが、飲食の本当の過程は調理器具と皿の発展が相まって成り立つものである。
   考古学の資料は新石器時代の早くから早くも我々の祖先は調理皿を作り、形状は乳房のごとき三本脚の一般的な高温陶器の出現があった。飢えれば食べる、多ければ捨てるという食事が変わった。更に重要なことは調理方法の改善を促進し、人々の飲食の内容が大きく豊富なものになった。殷商に至ると即ち漢字が作られる頃には調理器具のセットまで出来た。既に世界民族の林から独立を為し、華夏民族の飲食文化はすでに食べて飽き足らずの味を持っていた。  
 古代の漢字には、食器、酒器など非常に多くの漢字が残されている。今後食器や酒器についても振り返ってみたい。
 この点近代にいたっても、南太平洋諸島の民族の様に味に関する語彙が非常に貧しい文化と著しい対照をなしている。

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