漢字「絮」の成立ち・起源に迫る
前書き
2023年10月5日 毎日放送「プレバト・金秋戦」の予選の第一位にノミネイトされたのが、
「乳房切除す 母よ 芒の先に絮」(春風亭昇吉)
という俳句であった。乳房を切除した母の病室の窓越しにすすきの絮(わた)が風に揺れているのを見ているという情景を詠ったものだ。乳房を切除という大手術の後、乳房を失った寂しさを風に揺れている芒に詠みこんだものだ。
ここではあまり見かけることのない漢字「絮」の成立ちを調べてみた。
目次
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漢字「絮」の今
漢字「絮」の解体新書
会意形声。 |
「絮」の漢字データ
- 音読み ジョ
- 訓読み わた
意味 漢語字典 参照
- 厚手の真綿。
- ゆるめのコットン。
- 白くて伸びやすく、綿状に柔らかいと言われています。
- 衣類や布団などの内側に真綿や綿わたを敷き詰めてください。
- 古代の頭巾。
- 優柔不断。
- 些細なことまで拡張。
- 退屈。
同じ部首を持つ漢字 如、茹、恕
漢字「絮」を持つ熟語 絮、絮語、柳絮
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漢字「絮」成立ちと由来
漢字「絮」の字統の解釈
形声 声符は姑。如には、柔らかくくだかれたものの意がある。〔説文〕に「敝れたる緜なり」、すなわち古わたの意とする。
綿わたの古いもので、最も扱いにくいものであるから、そのようなくり言に近い言動を絮々という。
漢字「絮」の漢字源の解釈
- わた。繭を水に浸してひきのばしてつくるわた。 まわた。 きぬわた。 ▽繊維の長いもの(新しいもの)を綿といい、短いもの(古いもの)を絮という。
- 動詞 わたを入れる。 「一夜征袍 李白・子夜呉歌〕
- わた。綿花でつくったわた。
- わた。草木の種子についているわた毛。「柳絮 (ヤナギのわた)」「蘆絮(アシのわた)」 「柳色、如姻 絮、如雪[白居易・隋堤柳〕
- 長々と続くさま。綿。 類語 「絮語」
- 姓の一つ。 動詞 食物の味をあえる。調和する。
漢字「絮」の変遷の史観
文字学上の解釈
まとめ
漢字「絮」は甲骨文字の時代には、まだ生まれていなかった漢字であろう。綿花や絹糸の製造がかなり盛んになってから作られた漢字のようである。
少なくとも、木綿や絹糸を繭や綿花から如何に取り出したかの製造方法の一端をうかがい知れることが分かる。当時の人々の生活の一端を知ることができで面白い。
「漢字考古学の道」のホームページに戻ります。
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