2021年9月5日日曜日

漢字「狼」の成り立ちと起源:「犬+良」から成る。鹿やイノシシなど農作物を捕食する動物として尊敬されてきたことから「良」という字がついた?


漢字「狼」の成り立ちと起源:「犬+良」から成ることは間違いない。
 しかし、荒々しい獣の代表のような狼がなぜ良という字を持つのか>その不思議に迫れるか・・。



漢字「狼」の楷書で、常用漢字です。
 
狼・楷書


  
狼・甲骨文字
狼・小篆
構成の左は犬から取ってきています。右は「良」で、冷酷を意味するといいますが、後付けのように思います。
狗・甲骨
偏が犬偏ではないことに注意。現代では獣偏で統一されています


    


「狼」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ロウ
  • 訓読み   おおかみ

意味
     
  • 狼・・・おおかみ(イヌ科。家族単位で暮らし、冬には群れをつくって共同で狩りをし、大形の動物なども襲う)   (例:)
  •  
  • ひどい残虐なやり方をいう・・・豺狼
  •  
  • 酷い行いをする人をたとえ 

同じ部首を持つ漢字     狼、浪、痕
漢字「良」を持つ熟語    狼藉、一匹狼、狼煙、狼狽




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 字形から構造分析をすると、狼は犬に似てそのために字形の右側が「犬」のような形をしており、字形の左側は甲骨文「良」です。
 良とは元々、光線が穴から差し込んでくることを意味し、オオカミの目は2つのターコイズブルーのライトのようなものということから、「狼」という言葉は「良」を構成要素として使用しました。オオカミの眼の光は青緑色のライトのようで、ことのほか目を奪うものです。

 古代の先祖は「良、犬」の会意で以て狼の字を作り出し、観察は精密で考えの組み立ては巧妙です。

 



漢字「狼」の漢字源の解釈
  「犬+音符 良(冷たく澄み切った)」 冷酷な性質の動物の意


漢字「狼」の字統の解釈
 狼:形声文字。声 符号は良。説文に「犬に似て鋭頭白頬、高前廣後」と言う。その鳴く声は小児の声に似ている。暴虐の甚だしいものを虎狼といい、その代表とされる。飼うことのできない獣とされる


まとめ
 オオカミは人間との交流の歴史が長く、一部の農耕社会や狩猟採集社会では、鹿やイノシシなど農作物を捕食する動物として尊敬されてきた。漢字の生まれた中国の中原では農耕が発達し、基本的に農耕社会であった。このような意味から漢字「狼」には、「良」という文字がついているのかも知れない。またオオカミは、家畜やペットである犬の祖先とも言われている。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

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