2021年9月15日水曜日

漢字「麗」の成り立ち:鹿の麗しい姿を表現した。鹿の皮も角も美しいが、「麗」は特に鹿の角を強調したものだ


漢字「麗」の成り立ち:鹿の麗しい姿を表したものという
 少し古めかしい言葉に「麗人」というのがあります。そして麗人で思い出されるのは「男装の麗人」で、一人は太平洋戦争を舞台に登場した川島芳子、もう一人はフランスの女流作家ジョルジュサンドです。
  • 川島芳子:清朝の王女として生れながら大陸浪人の養女となり日中15年戦争中には軍服を着て大陸と日本とを往復し「東洋のマタ・ハリ」とも謳われた川島芳子。日本の敗戦で売国奴として銃殺刑に処せらたというが、実際には中国でひそかに生き永らえていたという説もある。
  • ジョルジュ・サンド(George Sand、1804年 – 1876年)は、フランスの作家であり、初期のフェミニストとしても知られる。彼女は自由奔放な性格で、フランスの社交界の中でも、男装の美貌の作家として多くの人々と関係を持ったことで知られている
漢字「麗」の楷書で、常用漢字です。
 右側は「麗の簡体字」で語義は、美しいということです。
即・楷書


  
麗・甲骨文字
甲骨文字の中の「丽」の字は「鹿」の全体の形象である。また、鹿の角を回した意味。鹿の角を同じではない角度で見た図である。
麗・金文
金文の麗の字は甲骨文の省略形である
麗・小篆
小篆と楷書の変化は「鹿」の字と同じとなっている。


    


「麗」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   レイ
  • 訓読み   うるわ(しい)

意味
     
  • うるわし
  •  
  • 連なる  並ぶ
  •  
  • 対   夫婦

同じ部首を持つ漢字     鹿、鹿、麓、麒、麟
漢字「麗」を持つ熟語    艶麗、華麗、奇麗、高麗、高句麗、秀麗




引用:「汉字密码」(P90、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 鹿の角を強調した字である。一種の突出した表現方法で、身体姿の特徴を強調する表現方法は異曲同工の妙(やり方は違っても効果は同じである)を持っている。金文の麗の字は甲骨文の省略形で、小篆と楷書の変化は「鹿」の字と同じとなっている。麗の本義は美しく装飾した鹿の角である

 


漢字「麗」の字統の解釈(P901)
 象形文字 字の上部の「丽」が初文で 麗、鹿の皮を並べた形とされるが卜文・金文は、鹿の角を主とする字とみられる。 説文に 「旅びて行くなり、鹿の性、食を見ること急なれば、則ち必ず旅びて行く。」といい丽声とする。結納として両鹿皮を用い、 これより伉俪の意となり、並ぶ意となる。また美麗の意は鹿の角について言うべきものであろう。


まとめ
 古代人の表現力は非常に優れているものを感じる。特に甲骨文字にそれは表れており、甲骨文字の中でも動物には芸術的ともいえるようなものが多い。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

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