2018年11月15日木曜日

「支」(木の枝)と「干」(木の幹)から古人は年月の数えるのに干支(えと)を考え出した


「支」は元々「枝」を意味していた。そして干支は木の幹と枝から発想された

引用:「汉字密码」(P139、唐汉著,学林出版社)

「枝」の字の成り立ち」
木の枝の漢字の起源は「枝」ではなく、「支」であった。白川博士の字統でも「支:木の小枝を持つ形で、枝の初文」とある。「支」の用義が分化するに及んで、四肢・枝幹などの字が作られたとある。
 木の「支」の下部の又の字は元々「手」である。 甲骨文字では、具体的に、木の中ほどに手をいれて掴んでいるように見えるが、唐漢氏はこのことから、白川博士より、もう少し踏み込んで、「古文中に手の中に一本の棍棒をとる形は即ち植物の枝の条のなす所以だ。枝は比較的細く、小さな棍棒と同じく木の幹から派生して、枝別れする枝である。植物は根、茎、枝で全体である。枝は幹と比べるとそれほど重要ではない。このため枝節は副次的なこと或いは緊要でないことの比喩に用いられる。」
 
 この「枝」が幹から派生していくのを、古人は年月を数えるのを、木の幹である「十干」にその枝として「支」を結合させ、六十年を一サイクルとする干支を作り出したものであろう。


世界の干支
 さて、日本、中国、韓国以外にも年月を数えるのに干支を用いている国には、ベトナム、チベット、タイ、モンゴル、ロシア、ベラルーシなどがあるということである。

 登場する動物も、干支の最後に登場する猪の代わりに豚が登場する国がある。猪の変わりに豚、ウサギの代わりに猫、牛の変わりに水牛、寅の変わりに豹など、民族色豊かだ。


これは猪か果てまた豚か
 少し話は変わるが、南太平洋の諸島の中でバヌアツという国があるのをご存知だろうか。この国では、豚が非常に珍重されていて、結婚式の引き出物だとか、部族間の抗争の手打ちに豚一頭が使われていたそうだ。


バヌアツの豚の置物
 バヌアツという国の豚は牙を持っており(他でもあるだろうが)、この牙もまた珍重されて、タスカルという名で国旗にも使われている。最高級のものは、この牙が何重にも巻いているものだそうだが、イギリスのエリザベス女王の下にはこの最高級の牙が収められているということだ。
 おそらく豚が完全に人間に馴化するまでの過程にはこうした牙を持った豚あるいは猪が、世界を闊歩していただろうという話。






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