2021年6月13日日曜日

漢字・骨 の成り立ちは何を物語るか:古代人が動物の骨組みはバラバラのものを繋ぎ合わせたものとして認識していたことは字・骨より明らか


漢字の成り立ちは何を物語るか:漢字・骨は肉(月)交じりの残骨をいう。甲骨文字は部分を繋ぎ合わせた形をしていて、古代人がバラバラのものを繋ぎ合わせたものとして認識していたことが字から分かる


漢字「骨」の楷書で、常用漢字です。
 人間や脊椎動物の骨格を表す。拡張され、全体の細かいことや飾りを除き、基本的な構成部分をいう。
骨・楷書


  
骨・甲骨文字第1款
骨同士を連関し支え合っている様
骨・甲骨文字第2款
牛の肩甲骨の形という
骨・古文
>肉(月)と関連し合っていることを示した
骨・小篆
古文を引き継いでいる。


    


「骨」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   コツ
  • 訓読み   ほね

意味
     
  • ほね(脊椎動物の体内で身体を支える基本部分)
  •  
  • からだのの組み立て、
  •  
  • 体の構成の基本的な部分

同じ部首を持つ漢字     骨、滑
漢字「〇」を持つ熟語    遺骨、骸骨、骨格、骨組




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「骨」原本は象形文字である。甲骨文の骨は二つの款があり、その一つは骨が互いに支えあっている様子、その2款目は既に修理された、牛の肩甲骨の形だ。

 古文の「骨」の字は将に甲骨文字の省略で、下辺に一個の「肉」の字を加えて、骨や肉に関係がありか包含したことを示している。小篆以後は変化し、既に大きな変化はないが、脈絡は通じている。



漢字「骨」の字統の解釈
 会意文字:冎と肉(月)とに従う。冎は残骨の形。肉を伴っているので、もと骨交じりの肉をいう語である。説文に「骨は体の質なり、肉の核なり」というのが分かりやすい。


まとめ
 甲骨文字の骨は非常にシンプルに、数少ない線で構成され、本質的な見方をしていた気がする



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2021年6月11日金曜日

漢字 為 の成り立ちから何が分かるか:為は太古の昔は象使いのことであった。太古の昔中国では象は闊歩していた?


漢字 為 の成り立ちから何が分かるか:為は太古の昔は象使いのことであった
 太古の昔は、甲骨文字の生まれた地方、いわゆる中原は現代より暖かく、亜熱帯性の気候であり、水牛や「象」が闊歩していたと想像される。

 そして古代の人々は、豚、水牛、馬と同じように、象を手なづけて労役に使おうとしたことが当然想像できる。

 事実、殷墟遺跡などからは、象をかたどったモニュメント、、象牙使い、野生ではない飼育された象の遺骨ばかりか象牙などが発見されている。しかし今ではや製造は中国国内には見られないのは、自然環境が大きく変動したからであろう。


このページは以前に「為」のページを全面的に加筆修正をしたものです。
「今話題のファーウエイは、「華為」の中国語読みです。」


漢字「為」の楷書で、常用漢字です。
 この漢字「為」に人偏がついた漢字で「偽」という漢字があります。
 為は偽の原字となりますが、多くの解説書には、 偽という字は、「人間が作為的に手を加え、本来の性質や姿を矯め直すと いう意味になるそうです。要するに人の作為で姿を変える、正体を隠して上辺を 取り繕うという意味から「いつわる」となったとされています」という説明が一般的にされています。
 
 しかし、字統で白川博士は、
人為を偽とするのは後世の考え方で、物の変化することを偽というと説明を加えています。

 だからどうなんだということになるかも知れませんが、俗的説明だけではなしに、字統の説明のようなきちんとした裏付けのある説明も必要だという意味で付け加えておきました。ここで言いたかったのは、文字からはこのような自然現象の変化、生体の変化なども説明できる可能性があるということです。
為・楷書


 甲骨文字、金文、篆書への変化を左に示しましたが、それぞれの文字との間の関連性がどうにも理解できません。それぞれの文字の発展過程の間に大きな変化があったのか知りたいところです。 
為・甲骨文字
成り立ちからは象を調教している様が一目瞭然である
為・金文
対象となるものが、変形して象らしからぬ形象になっているが、甲骨を引き継いだ構造である
為・小篆
象の形象は消失してしまっている。一般化dされ、且つ抽象化され文字としての進化を遂げている


    




引用:「汉字密码」(P89、唐汉著,学林出版社)

漢字源の解釈
 会意文字:「為」の甲骨文字は、「手」+「象」で、象に手を加えて手懐けて、調教するさま。この事から、人手を加えてうまく仕上げるの意味。


字統の解釈
 「手」と「象」とに従う。手を以て象を使役するかたち。

唐漢氏の解釈
 一頭の大きな象の完全な図形、左上に手が描かれている。グラフィック全体を通して、象と手の会意によって、象の鼻が人間の手のように自在に器用に動くことを表現している。事実、古代の先祖は象の鼻の器用な機能から「する」または「作る」という一般的な意味を表現するようになった。

  しかし、この唐漢氏の解釈は、「為」という甲骨から小篆までのヒエログラフを見る限りあまりいい解釈とは言えないと思います。その大きな分かれ目は、象にかけられた「又」(手)の解釈と思います。古文の中の手は大体その対象に加えられた人の手を表現しており、「手のように器用に動くから」これを手と比ゆ的に記号で表現したものはあまり見かけたことがないからです。


結び
 太古の昔は、甲骨文字の生まれた地方、いわゆる中原は現代より暖かく、亜熱帯性の気候であり、水牛や「象」が闊歩していたと想像される。文字からはこのような自然現象の変化、生体の変化なども説明できる可能性があるということです。このようなことは、アルファベットからでは到底及びもつかないことではないでしょうか。漢字のすばらしさを改めて感じざるを得ない、




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