2021年1月17日日曜日

「震」の起源:雨と辰からなる。辰は蜃(ハマグリ)の初文で、ハマグリの挙動が地震の予兆に用いられた?


「震」の起源:雨と辰からなる。辰は蜃(ハマグリ)の初文で、ハマグリの挙動で予兆に用いられた
 1月17日は阪神淡路大震災のあった日だ。私もそのとき神戸にいたが、その強烈な揺れに恐れおののいたものだ。

 地震の震は漢字で雨+辰とかく。雨は気象現象を表す一種の記号だが、その下の「辰」は蜃の象形であり、且つ初文である。
 蜃はハマグリの意味で、昔はその動きを占いに使ったという。地震の予兆に蛤が使われたな残りが漢字として残っているのだろうか。


引用:「字統」(P477、白川静著,平凡社)
字統の解釈
形声 声符は辰。辰に振動の意味あり。辰は蜃の象形で、蜃の状態によって卜う方法があり、振動・震驚のことをも蜃が予兆した。《説文》に「霹靂、物を振はすものなり」とあり、霹靂とは擬声語で雷鳴をいう。
ここでいう蜃はハマグリのことを言う。声符は辰。辰は象形で蜃の初文。その肉は呪的な意味を持つものとして、祭儀や予兆のことに用いられた。


まとめ
 「震」の起源:雨と辰からなる。辰は蜃(ハマグリ)の初文で、ハマグリの挙動で予兆に用いられた。古代人はハマグリの動きで地震の予兆を占っていたのだろうか。近代になっても、鯰が暴れたら地震が起こるという予兆現象が語り継がれているが、3500年前と大して代わりのないことをやっているものだ。人間の進歩はあまりないのだろうか。


参考ページ
 地震は単に東北地方だけではなく、日本のすべてを揺り動かした:震の語源と由来


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2021年1月15日金曜日

漢字「解」の成り立ちと由来:牛の解体が漢字になった。牛が社会の中で重要な役割を果たしていた証拠


漢字「解」の成り立ちと由来:牛の解体が漢字となった
 動物の所有の中で、牛の人類の生活の影響は大変重要である。先住民たちは遊牧でもって生活手段を得るとき牛は放牧しやすく体格は大きく遊牧民にとって牛は重要な財産の指標となった。農耕時代に入ると牛はその力が大きいために苦しい労働に耐え農耕に不可欠の労働力になった。先住民の生存のよりどころにもなった。中華民族の三皇の一人炎帝乃至神話伝説中のいわゆる「神農」は農業の神様のシンボル的存在であるが《史记》の記載によれば「体は人で、首は牛」といわれている。このことから牛は農耕文化において、重要な位置を占めていたと考えられる。牛は先住民の目から見て、家と財物の代表している。牛があれば一切あることに等しいので、このことから一切のものに共通の名前は「物」と呼ばれる。  
引用:「汉字密码」(P20、唐汉著,学林出版社)
  甲骨文字の解の字は一頭の牛と牛の角を両手で掴んでいることを意味している。解の中の角は何のためにある。それは牛の気力は大変強いが、牛の首は致命的弱点である。普通の男でも牛の角に手を掛け力いっぱい牛の頭を捻りまわすと、牛はドサッと地に倒すことができる。即ちこの牛の頭は千斤の重さがあるのだ。解はまさに牛を殺すときの始めの過程を描写している。小篆の解は両手の形を省略して、代わりに一振りの刀を示している。

 説文は解を「判なり」としている。刀で牛やその他の動物を分解することの意味である。「判」の直接の解釈は、「『刂』(刀をを意味する)を用いて、半分に分ける」ことである。当然この種の解釈は小篆の解の字から来ていて、甲骨や金文の「解」の字にはふさわしくない。つまり甲骨や金文では刀を用いていなくて「手」を用いている。




漢字「解」の字統の解釈
 会意文字 角と刀と牛とに従う。刀で牛角を解く形で、説文に「判つ(わかつ)なり」という。引伸して獣体を解くの意となった。


結論
 漢字の変遷を見ると社会発展の歴史が見えてくる。この漢字「解」もまた然り。漢字の中だけではなく、漢字を通して社会の発展を見つめなおす姿勢が要求される



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