2019年1月17日木曜日

漢字「執」:人の名前に最適の漢字では?


漢字「執」の起源と由来
 この漢字は珍しく、漢字源、字統、唐漢氏の解釈が一致した。また説文では、「罪人を捉えるなり」としている。

引用:「汉字密码」(P628、唐汉著,学林出版社)
「執」の字の成り立ち」
 甲骨字の「執」という言葉は、人の両手が手枷でロックされているような形状です。 金文の「執」という言葉は、手を伸ばした「人間」と「幸運な」という言葉に分解され、象形の意味を失われています。 小篆は真っ直ぐ伸ばした両手の人間の形が " "という字に変わっています。そして楷書は"執"と書きます。 

 また、唐漢氏は同義語として「持」を上げて、両方共に「掌握」を意味することができるとしているが、その違いは 「執」の本来の意味は逮捕することであり、その意味が強く堅固である時、いわゆる「坚持、固执、执掌」のように「執」が使用されています。一方、「持」は保持に焦点が当てられ、持ったあとも変わらず変更されないようなときに、「持久、持续、相持」等「持」が用いられていると説明しています。


漢字源
 会意文字。手枷と(人が跪いた形)」、座った人の両手に手枷をはめ、しっかりと捕まえたさま。

字統
 会意文字。「幸」と「ゲキ」とに従う。「幸」は手枷。手に手枷を加える形で、罪人を拘執するをいう。


あとがき
 「幸」は元々手枷のこと。なぜ手枷が「幸せ」なのかは、関連記事を読んでください。
これこそ、ものは考え様の手本みたいなもの。物事を前向きに考える大切さを教えてくれる漢字です。
 そして、「執」とは、この「幸い」に捉われる人を表しています。物事の考え方は時代と共に変わっていきます。死刑執行の「執」などとんでもない。今をときめく音楽家の蓮沼執太さんなどはそのことを身をもって私たちに示してくれているのかも知れません。



 関連記事:この記事は以下のページを参照にしています。
 「漢字「幸」の由来:古代中国では「手枷」のこと。手枷が何故「幸せ」になるのか」  


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2019年1月15日火曜日

漢字「税」の由来:「税」を分解してみれば、「税」の本質が分かる(再録!)

税という言葉を分解してみれば、言葉の本質が見えてくる
 今年の漢字は「税」
 
漢字はその中に、生活や考え方や文化が込められていて奥が深い。この「税」という漢字を通して、今に通じる「税」の本質が見えてくる。

 この「税」という漢字はというのは「禾偏」(のぎへん)+「兌」の会意文字である。
 禾という漢字は穀物に使われている。
 「「兌」という漢字は、脱皮や脱力という言葉にも用いられているが、元々「抜き取る」「脱がす」という意味がある。
 この2つの要素を合わせると、まさに穀物を抜き取るという言葉になる。

  最近政治資金規正法をめぐっての動きが激しい。
 

「税」の解釈、税の本質

 さてここで問題の消費税であるが、そもそも税とはいったいなんだろう。早速調べて見た。  漢字源によると、「税: みつぎ。国家や支配者が人民の収入や収穫のうちから抜き取って徴収するもの。年貢。」  なかなかすばらしい解説である。土地や田畑から徴収するものを「租」といい「品物や収入から徴収するものを税と呼んだ。昔は1割を理想としたが、現実には田租は5,6割にも達した。「動詞では「ゼイす」とはぬく、抜き取る。はがす。自分の持ち物をぬきとって人に与える。」とある。少し前の「はがし」などとは月とすっぽんの違いである。  さて、このゼイというのは「禾偏」+「兌」である。



「兌」の解字


 それでは「兌」という字はどうだろう。漢字源によるとこの字は「あな、ぬく、ぬきとる」など4つの意味を持っている。解字として、「会意文字である。八印(開く、抜ける)+「兄」。悦や脱の原字で、人の衣を開いて脱がすさまを示す、ぬきとるの意も含む」とある。
いよいよ唐漢氏の解釈に入る。 これは会意文字である。甲骨文字の「兌」の字は、下半分が兄という字である。原本では長男とでも言っていいだろう。上半は大声での発声の符号を表している。ここでは憚ることなく言うことを示して、思ったことをそのまま言うことである。であるからには声は出て、兌は話の最初の言い方とも言える。 金文から小篆、小篆から楷書、整体字形は完全に相似で、同じ流れと見ていい。


「兌」の本義

 「兌」の本義は説となる。《易・兌卦》は「「兌」は「説」である。但しこの意味から起こってきて「説」の字に引き継がれている。両者の間は古今字の関係を形成している。すべての解説で明らかなように、言うもの、聞くもの心の中は皆、明らかで、このことから「兌」は又悦の意味を持つ。後世、悦の字を作りこのこの意味を表すようになった。

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