2019年1月6日日曜日

漢字「税」の本義は「収穫の一部を抜き取ること」


漢字「税」の起源と由来
 新年も明け、今年は新しい元号となる。また今年の10月には消費税10%が予定されている。この「税」という字に焦点を当ててみたい。

 もちろん税は必要である。それは否定はしない。しかし、文字の成り立ちから言うと、「収穫の一部を抜き取ること」である。

 「税」のないユートピアはないのだろうか。税の面だけから考えると、最近までユートピアは存在した。一昔前のアラブ首長国連邦だ。産油国という特殊な状況にあったが。もちろんこれが理想の国というつもりはない。しかし、生産性が上がれば、そのような状態が出現するのも事実だ。

引用:「漢字源」(P1153、藤堂明保他編,学研)

「税」の字の成り立ち」
「禾(作物)+音符兌」で、収穫の一部を抜き取ること。
この説明が一番ぴったり来る。
同じ系譜に属する漢字
① 脱 「月」偏は「肉ツキ」ともいい肉体を示すことで、「脱」は衣を脱いで裸になることの意味
② 悦 リッシン偏に兌で、心が解脱状態になっていること。愉悦などに使われる
③ 鋭 汚れがなくなり、金属が裸の状態で鋭いという意味を表す

漢字「兌」の起源と成り立ち
漢字源の説明・・会意文字。「八印(開く、抜ける)+兄(人)」。悦や脱の原字で、人の衣を開いて脱がすさまを表す。抜き取るの意を含む。

唐漢氏の説明・・会意文字である。甲骨文字の「兌」の字は、下半分が兄という字である。思ったことをそのまま言うことである。兌は「話」の初文。


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2018年12月31日月曜日

世界で最も注目された漢字は「嘘」(フェイク)  嘘は虚なることを言うこと


漢字「嘘」の起源と由来

「嘘」とは口で「虚」(絵空事)と書く。意味は「虚」を言うこと
 因みに英語の"fake"の語源は古代フランス語の"fals, faus”(意味:うそ)から来ているらしい


 「今年の漢字」は毎年12月に公益財団法人 日本漢字能力検定協会が公募し、決定されるものです。検定協会からは「『今年の漢字』応募集計結果」が発表されていますので、興味のある方はご参照ください。

 因みに、第2位は「平」で、平成の最後、平昌オリンピックや、大谷翔平君などが話題に上った。第3位は「終」だそうで、平成の終わり、築地市場の営業が「終」了。安室奈美恵さん引退で有「終」の美を飾る。オウム 13 人全て死刑執行を「終」 える。貴乃花親方引退で相撲人生を「終」える。「平成最後の○○」というフレーズが多用されたことから、候補に挙げた人が多かったようだ。いずれによ「平成」という言葉が、発想の基軸になっているようです。

 今年はトランプ大統領のフェイクに振り回された感じですが、このような足が地につかないふわふわした次代はもういいかげん終わりにしたいものですね。

引用:「汉字密码」(P313、唐汉著,学林出版社)

「嘘」の字の成り立ち」
 今年の漢字の候補として、「嘘」を上げた方もあったようだが、上位20位にも入っていない。流行語というのであれば「フェイク」がダントツ1位にと期待していたが、こちらの方も見事に裏切られた。
 折角、期待したので、この「嘘」という漢字の成り立ちを探ってみよう。

 「嘘」は「口」と「虚」の会意文字である。


「虚」の成り立ち
 嘘のは「虚なることを口で言うことが、字の成り立ちであったことは当ブログの記事「漢字「嘘」の起源と由来」でも触れた。

 今の世の中で非常に大きな問題は、この「虚」ということが蔓延していることではないだろうか。仮想通貨は今や実態経済の何十倍にも膨れ上がり、世界を駆け巡り、資本主義経済を崩壊させている現況になっています。この資本主義の悪しき運動即ち実態経済からの乖離と悪貨の果てしなき増殖運動が、資本主義自体を押し潰そうとしている。これらは、全て実態からかけ離れているにも係わらず、いかにも実態であるかのように認識して吹聴する嘘が元になっている。先に述べたトランプ大統領の「フェイク」手法、イギリスがEUを脱退するきっかけになったのも「嘘の情報」、インターネットを駆け巡る怪しい情報といずれもそれで世の中が動いてしまうのが、今非常に危険なことではないだろうか。そして、世界中の誰もがその危険な行き着く先を知っているものがいないということだろう。
まさに、「我が亡き後、洪水来たれ!」

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