引用 「汉字密码」(P679,唐汉,学林出版社)
読み方:(音)レキ (訓) かなえ
「鬲」これは一種の民族的色彩の濃い炊事用具である。「鬲」字は象形文字で、甲骨文字ではまさにこの種の煮炊きする用具のデッサンである。下部に3本の足があり、袋状の腹と二つの耳を持っている。金文の「鬲」字は甲骨文字と大方似ている。小篆の形象を失っている。
「鬲」は古代の陶製の炊事具からきている。丸い口と別れていない3足の足を持っている腹がある。鬲は今から6、7千年を隔てた新石器時代の華夏民族の重要な発明である。
それは陶器のとがった底と容量不足の矛盾を巧妙に解決し、更に陶器を焼くときに底部の面積が大きすぎて窯の壁が癒着してかつ焼成が失敗するという難題を解決した。鬲の用途は鼎と相似である。これは一種の食物を煮炊きする炊事具である。
すこぶるつたないデッサンで申し訳ないが、「鬲」とはこんなものだと概念的に理解していただくために提示した。まさに後の「鼎」である。実際はこの表面に、文様が施されている。
上古社会で多く作られたものは陶製で、また陶鬲に倣って少数のものは青銅で作られた。
「鬲」の字は多音多義語である。二通りの読み方があり、一つはこの煮炊きの容器の場合ともう一つは「隔てる」という意味で、それは火と水を隔てる噐の一種というところからきている。
因みに白川静博士の説明は以下のようになっている。
かなえの類で、器腹は分当形(口切に足のふくらみをもっ形)をなし、足は中空の款足である。 [説文]に「鼎の属なり。・・・ 腹の交文と三足に象る」という。又(璽雅、釈器〕に、鼎の款足あるもの、これを鬲と謂ふ」とあり、款足の上部まで物を容れうるので、熱のあたる部分が大きく、器も分当形をなしている。「漢字の世界の起源と源流を探る」のホームページに戻ります。
2015年5月23日土曜日
漢字:鬲の起源と由来
2015年5月15日金曜日
漢字:「郭」の起源と由来 城邑に立つ高い建物とその影の合わせた字形
ヨーロッパにおける城の変遷も面白いものがある。古代の城は、どちらかと言うと山城に近く、城というより砦といったほうがよかったとも言われている。しかも、その当時の城は戦闘能力が重視されていたために、窓が少なく、居住区が狭かったとのこと。
それが時代が下るにつれ次第に居住性が強調されるようになり、最後は○○宮殿と呼ばれるような豪華絢爛たるものが出現した。
それにしても、今まで見た城の中で最も美しいと感じたのは、ヨーロッパではやはりあのドイツの「ノイシュヴァインシュタイン城」であり、日本の姫路城である。
左の写真は、成都から九寨溝に向かう途中、四川省松潘というところにある成都から約200㎞北にある所に立ち寄った匈奴の城「松州」の城壁である。この城は、漢の時代の建築と思われる。
それが時代が下るにつれ次第に居住性が強調されるようになり、最後は○○宮殿と呼ばれるような豪華絢爛たるものが出現した。
それにしても、今まで見た城の中で最も美しいと感じたのは、ヨーロッパではやはりあのドイツの「ノイシュヴァインシュタイン城」であり、日本の姫路城である。
左の写真は、成都から九寨溝に向かう途中、四川省松潘というところにある成都から約200㎞北にある所に立ち寄った匈奴の城「松州」の城壁である。この城は、漢の時代の建築と思われる。
出来
引用 「汉字密码」(P728,唐汉,学林出版社)
漢字:「郭」の起源と由来 城邑に立つ高い建物とその影の合わせた字形
郭は繁体字で「郭」と書く。原本は会意文字である。と甲骨文の金文の郭の字は造字の方法は「中、北、夜」の字と相似通っている。どれも元の事物とその影の合体したものである。図に示すごとく、この郭は即ち午後4,5時で、城邑の中の高くて大きい建物とその影の連体図形である。
小篆の郭の字は美観と毛筆で書くときの都合から、まさに連結部分が裁断され、完全に象形の味わいが失われた。また意味を区別するために右辺に「邑」が付け加えられ、楷書は郭と書くようになった。
郭の本義は表示時間の名詞である。本来高くて大きい建築物の影から来ている。後日表示時間の意味は逐次消失し、城外の郭を表示するようになった。
筆者にはこの唐漢氏の説明はしっくり来ないところがある。これを鏡像とは捉えないでなぜ影とするのか。確かに、これを影としなければ、時間の概念が出てこないのは事実だが・・・。
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