2012年5月6日日曜日

日本の空を覆う「黒」:その漢字の起源と由来はいかに

漢字[黒]に罪はない
 検察審査会の持ち込んだ裁判で、小沢氏に対し無罪判決が出された。もともと検察側は起訴に否定的であり、裁判には勝てないという判断になっていたにもかかわらず、検察審査会では2度も起訴相当と判断され、裁判に持っていかざるを得なかった。しかしその裁判で無罪判決になった以上速やかに幕引きを図るべきである。それが出来ないのは小沢氏が現時点での消費税増税反対論を掲げていることに対する政治上の懸念と取られても仕方がないことであろう。


世にはびこる「黒」
 私は民主党が前の総選挙で大勝をした時には、小沢氏は自民党のいわば本流の部分であり、民主党は出来るだけ速やかに、小沢氏と決別すべきであると考えていたし、小沢流のやり方にはとても同調出来るものではないと考えていた。 しかしながら、その話と今回の小沢氏を巡る指弾の話とは全く異なるもので、魔女狩りの様に世論を操作し自分の思う方向に持ち込もうとする権力のやり方にはとても賛同できない。権力に阿り、それに手を貸したマスコミも強く非難されるべきと考える。このやり方は戦前の絶対的天皇制の暗黒政治を想起するもので、日本の将来に暗澹たる黒雲を導くものであろう。

 さて本題の「黒」は、昔からあまりいい印象を持たれていない。それはどこから来たのか。甲骨文字の中でどう捉えられているのか分からなかった。知っている方あれば、お教え願いたい。


「黒」の古代文字はやはり黒かった?
 黒これは一種の会意文字である。金文の「黒」の字の上部は黒煙のデッサンである。その中の黒点は煤を表示している。下部は炎の字であり、火で焼いた時黒煙が立ち上る状態を表示している。

 小篆の形は金文に似ていて、楷書の上部で、火が土に変化を言っている。下部の4点は火で、この種の変化は,構成が美しく書くのに便利である為のものである。
黒の本義は黒煙でそこから延長されて、黒色と「白の反対」を示す。

今でも黒色は黒、これでは救いようがない?
 現代漢語中では、黒色はいつも赤色に相対し、黒で反動、悪毒、地下等等一種の比喩の意味で出現している。黒心、黒手党、暗黒統治、黒市などなど。 

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2012年5月4日金曜日

ロマンの月:漢字の出生の秘密


五月の「五」の出所については先日説明をした。

  今日は「月」について解説しよう。しかしながらこの字は感覚的には非常に明瞭で、いまさら解説しようもないかもしれない。 

  「月さま、雨が・・」というのは日本で幕末に活躍した土佐勤皇党の首領、武市半平太に芸者が寄り添って傘をしだす時に言ったセリフということである。因みに月形半平太は武市半平太のことだ。これだけ聞けば、月形半平太は大変な色男で、月とは我々にとって昔から何かロマンチックなものを感じさせるものである。

  天の月は時に丸く、時に欠ける。丸い時は少なく、欠けている日が多い。もし円形で月を表現したら、日の字形と似たものになってしまう。しかし甲骨文字の月の字は欠けて丸くなく、明らかに湾曲している。月は満ち欠けの変化をし、太陽は欠けない。古人は月の中に一点の小さな点を加えることで、特別の意味を持たせ、月の上の影を表示したり、或いは満ち欠けを表示しているかもしれない。

  月の満ち欠けの変化は循環し、非常にはっきりしており、この為に古人は月に生命の意味を与えた。
  
  子供たちに月の上の影は山姥、ウサギ、金木犀の木などと話しする時、子供たちはあなたがでたらめを言っていると思うだろう。都市の上空で月を見ることは既に非常に少なく、時に顔を見せることもあるが、薄暗く、光は少なく、そこでどうしてウサギや金木犀を見ることが出来るだろうか。車の排気と工場の煙突は子供たちの視覚に変化をもたらし、彼らに古人のロマンの彩りを想像させることすら難しくなっている。いまや昔のロマンを感じるのはできなくなってしまったのだろうか。

 ついでに月婆といえば、中国では産婆のことを指すらしい。また月下氷人とは仲人のことを言う。またこの月下氷人というのはいささか古い言い回しで、現代では「紅娘」と言う方が通じる様である。いずれにせよ月婆とか月下氷人といえば、産婆とか仲人というより、なんとなく美しく聞こえるから不思議なものである。


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