2011年11月10日木曜日

漢字「若」の起源と由来:女が髪の毛を解くときを表す

一人の膝まづいた女性が髪の毛を直している様を表す
「若」:女が男と愛を交わす時、
自分の髪の結えを解いている様
 甲骨文字の「若」は象形文字だ。まるで一人の膝まづいた女性が髪の毛を直しているようだ。金文の「若」は甲骨文を引き継いでいる。小篆の「若」の字は、草かんむりと右から出来ている会意文字である。楷書は之によって「若」と書く。

 古語の中で「女は己を喜ばせるものの為に受け入れ、士は己を知る者の為に死ぬ」という格言がある。これは女は自分を好いてくれる人の為に装うということだ。しかし女性はどんなときにも、自分を好いてくれる人の為に装うのだろうか。 明らかに男と会うことを承諾した時、このように工夫を凝らして装うものだ。角度を変えていうと、女性はどんな時に頭の上に一杯挿した飾りを抜くのだろうか。明らかにただ愛をかわすために寝る時だけだ。

だから、「若」という字の起源は、承諾した後の髪の結えをぬき解き、頭髪をばらすことである。その本意は「承諾、応諾」ということである。発音は「うんうんはいはい」から来ている。

 小林朝夫氏の「本当は恐ろしい漢字」(2007年、彩図社)の説明によると、「若」という漢字は、「神の真意を聞くべく、髪をふり乱して狂ったように踊りながら祈る巫女の姿」と解説されている。氏は日本の故事からこの話を引いて来ているのだが、この漢字が日本で出来たものなら、この解釈も当てはまるのだろうが・・。私には人の話を断定する立場にない。しかし、少し疑問を呈しているだけである。この話は白川氏の「字統」にそのまま見られることから、「字統」の孫引きかも知れない。


「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。

2011年11月7日月曜日

漢字「姓」の起源と由来:古代が母系制社会で、女性を始祖とする社会を示している。

会意文字であり、母系制氏族社会で、一人の女性を始祖とし後代まで広がる社会を示している。

「姓」という漢字は古代が
母系制社会であった証左
 甲骨文字の「姓」の字の左辺は女という字で、旁は草木の発芽成長の記号から出来ている。両形とも会意文字であり、母系制氏族社会で、一人の女性を始祖とし後代まで広がる社会を示している。

 金文の「姓」という字では、右辺の字の符号の中の短い横棒と左辺の女偏が人偏に代わっている。このことは、この時期に社会が既に男性の権力の時代に入り、母系制氏族制度が転覆していたことを表明している。小篆の「姓」という字は女と生に回復しているが、これは社会が母系制に回帰したことを示すものではない。

  古代社会では平民と奴隷は皆姓を持ってなかった。ただ貴族のみが姓を持っており、姓の権利が独占されていた。この為にこの時代、「百姓」という言葉は百官を指していたが【即ち百(多く)の姓で代表される貴族という意味】、平民でも姓氏を持つ様になって、「百姓」という言葉は一般庶民を表示するのに用いられるように変化した。
 

「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。