2021年1月6日水曜日

漢字「牡」は太古の昔にはオスの牛だけを意味していたが、現代では「牡」という漢字は動物一般の性別を総称するようになった



漢字「牡」は太古の昔にはオスの牛だけを意味していたが、社会の発展に伴い、牡という漢字は動物一般の性別を総称するようになった。
 漢字「牡」は最初は牛だけに使われていたが、いつしか動物の「オス」の総称を表すようになった。その裏には、狩猟生活の時代にはオス、メスの区別を明示的にあらわさねばならなかった時代から、農業・牧畜の時代に入り、必ずしも牛や、馬、羊など動物の雌雄を漢字で明示する必要がなくなった社会変化があった。

 社会の変化が漢字に変化を与えた一つの例をここに見ることができる。



引用:「汉字密码」(P16、唐汉著,学林出版社)
「牡」と言う字は、元々オスの牛を指していた
唐漢氏の解釈
 「牡」という言葉は、もともとは古代の雄牛を指すために使用されていましたが、後に「雄羊、雄鹿」などの雄動物の総称になりました。

 甲骨文字の「牡」という単語の左側には「牛」があり、右側には男性の生殖器の図形「⊥」があります。

 小篆の字形は金文からが進化する過程で男性のシンボルは「土」になりました。

 さまざまな動物を表す象形文字の横に男性のシンボル「⊥」を追加すると、男性の羊、馬、鹿の適切な名前にすることができました。しかし、さまざまな雄の動物の固有名詞を表すこれらの文字は、長い間に大規模な文字ファミリから姿を消しました。その第1の理由は、すべて2音節の組み合わせ文字であり、中国語文字の1文字と1音の要件を満たしていないためです。第2の理由は漢字の抽象的な能力の昇華により、人々は「牡鹿、牡马」などのより簡潔な表現を持ち、古代の固有名詞を置き換えることができたからです。

 私たちの先祖にとって、狩猟と動物飼育が主な生産方法であった時代には、野獣のオスとメスを区別することは非常に重要でしたが、農業社会に入った後、狩猟は貴族や王族のレクリエーション活動になり、そのような細分化と区別はもはや必要ではないので、これに関連する文字は徐々に消え、「牡」という言葉は動物の性別の一般的な名称になりました。


結び
 漢字は社会の変化を残す母斑であると常々言ってきましたが、この漢字「牡」もそれを如実に示す一つの例といえましょう



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