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2012年3月21日水曜日

漢字の成り立ちと生い立ち


  漢字は象形文字の代表のように云われてきた。しかし古代文字の中でも漢字の中でいわゆる象形といえるものはわずかに10%に過ぎないと云われている。それ以外の90%のものは会意文字といわれるものであったり、形声文字と言われるものであったりする。いずれにせよ体系だった象形文字が突如としてこの世の中に出現したなどとは考えがたく、その原型のようなものがあったはずと考えられている。
  象形文字として動物の骨や亀の甲に刻みこまれた甲骨文字の中でも最も基本的なものは300文字とのことであり、その300文字が組み合わされたりして出来た文字は精々1500文字程度である。
 さらに時代を下って、青銅器などに刻印されたり碑文として残された金文文字の種類は3700種になった。この金文文字は基本的に青銅器などに鋳込められる文字であった為に、甲骨文字に比べ線は太く、いくらか角ばっていた。
 さらに秦の時代になると国家統一の事業の為いろいろのものが統一された。その中には度量衡や貨幣等は勿論のこと、戦国時代に群雄割拠し各地でいろいろな金文文字や亜流が使われていたものがこの時代には強制的に小篆と云う文字体系に取って代わられた。そして漢の時代には使われた小篆文字は8700字になったとのことである。
 更に秦、漢王朝の中の宮廷において、膨大な文書管理を任されていた奴隷の小官吏が編み出した小篆より便利な書体である隷書が生まれ、やがて広く使われるようになった。そこから更に早く筆記する必要から、草書が生まれやがて楷書が作られ今日に繋がっていく。
  そして今までに歴史的に出現したことのある漢字の総数は8万以上に上るといわれている。

  
  そしてこれらの文字はその時々の社会や風俗、習慣、思想を表したものであり、文字を研究することは、その時々の歴史の研究そのものである。
  これらの文字の研究は遥か昔から今日まで無数の学者や歴史家、好事家などによってなされている。中国では、紀元58年から147年まで生きたとされる許慎が漢字研究を行い一応それまでの漢字学を集大成している。しかしその当時はまだ甲骨文字は発見されておらず、時代的制約から多くの誤りを含んでいたが、しかしながらその功績は消すことは出来ないほど偉大なものであろう。
  また漢字は累々と3千数百年もの間、生き続け今なお使い続けられていることは世界でも例を見ないことである。なぜこのように永らえることが出来たのか、その生命力の神秘は驚嘆に値する。私は漢字の生命力もさることながら、それを支えた民族の生命力にも驚嘆を感じざるを得ない。
  ここでは唐漢という方の本をベースにしているが、日本の白川博士や藤堂博士の考え方、方法論と趣をことにする部分があり、それはそれで面白いのかもしれない。というか今の段階で二人の大学者にどうのこうのという論評はおこがましいので、ただ承ることとしたい。


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