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2021年8月7日土曜日

漢字「牙」の起源と由来:古代中国では、非常な貴重品であった象の牙ではないかという説もある


漢字「牙」の起源と由来:牡牛の牙、象の牙それとも豚の牙?
 中国では、現在は歯のことを牙という。従って、歯科のことを、「牙科」という。ところ変われば品変わるとはこのことである。

 さてこの「牙」は何の牙だろうか。説文によると「牡牛の牙」であるというが、殷代には江北には象が闊歩していたことから、この「牙」は象牙ではないかという説もある。わざわざ文字として残すことはこれが貴重品であったと考えられ、事実殷墟の墓からは精巧な饕餮文を施した盃が出土している。

引用:「汉字密码」(P421、唐汉著,学林出版社)

「牙」の字の成り立ち」
 「牙ya2」は即ち歯のことである。金文の「牙」の字は上下交錯し、なおかつ突出した犬歯のように見える。人の犬歯は門歯と臼歯の間に位置し、尖った円錐状をなしている。俗に虎牙という。漢字は縦に長く横に狭い特徴に適応し、金文の第2款は将に縦置きになっている。小篆はこの関係から、金文と比較すると字の形は均整が取れているが、象形の意味は薄れている。


古人は牙をどのように使ったか
 昔は、「牙」は象牙とその制作物を指す。牙尺、 牙板、牙管のごとく。昔売買する双方が利の中取りする人を「牙子、牙俭」などといった。即ち現代のブローカー、仲介人である。草木が萌え出ときの発芽を「芽」と書き、これはくさきの芽の形状が犬歯の形に同じことからくる。

字統82ページ
 牙の上下に相交わる形に象る。説文に「牡歯なり」とし、脚注に壮歯の誤りという。 象は殷代には江北にも棲息しており、卜辞に「像を獲らんか」と卜する例がある。象牙は極めて貴重なものとされ、それに彫飾を施し、彩色した遺品がが多い。近年殷墟の婦侯墓から、饕餮文を加えた取っ手付きの精巧な精巧な象牙杯が出土している。

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2018年10月9日火曜日

漢字「歯」の起源と成り立ち:人の歯も動物の歯も概ね同じ構造。歯は象形文字


漢字「歯」の起源と由来
人の歯も動物の歯も概ね同じ構造を持っている。即ち門歯(動物の場合切歯という)、犬歯、前臼歯、後臼歯の4種類があります。漢字の「歯」は人間の歯の象形文字です。

引用:「汉字密码」(P422、唐汉著,学林出版社)

「歯」の字の成り立ち」
 歯は人の歯である。甲骨文字の歯は象形文字で、まるで人の口の中で上下の歯の並びのようである。
 金文と小篆のは一個の「止」の字の符号が増えて、読音を表示し、上下の犬歯の相互の嚙みあわせを表示している。そこで歯の字は本来の象形文字が変わって、会意文字、形声文字に変化したものだ。楷書では簡単化と規範化の後「歯」とかく。

牛馬などの家畜は幼いとき、毎年一つずつ歯が生え、歯の数でもって牛や馬の年齢を数える。又人の年齢に拡張して、「歯発」の言葉がある。歯と頭髪の変化が変わって、人の年齢を指す。したがって両者とも年齢に従って出てくる変化や変異となる。

この記述は少し正確さにかけるので、以下の通り補充します。
牛には、人間の門歯に相当する切歯という歯があります。
  1. 牛は成長すると、永久歯が生えますが、上あごは切歯も犬歯もなくて前臼歯と後臼歯がそれぞれ3本ずつあります。切歯がないので,歯ぐきが硬く歯床板いわれる状態になっていて歯の役目をはたしています。下あごは切歯3,犬歯1,前臼歯3,後臼歯3だけど,犬歯は切歯とおなじシャベル状をしているので,切歯が4本あるようにみえます。
  2. 永久歯生える時期と年齢には以下の関係があります。
    23±2ヵ 月齢:第 一永久切歯萌出.
    30±2カ 月齢:第 二永久切歯萌出.
    36±3カ 月齢:第 三永久切歯萌出.
    44±4ヵ 月齢:永 久犬歯萌出.
    「永久前歯による牛の年齢判定 江崎安一、白井弥 日獣会誌43 423~431(1990)」より抜粋

「歯」と「牙」
中国では、歯科のことを「牙科」という。漢字で言えば、牙という漢字ができたのは、甲骨文字からはるかに遅れてからのようであるので、なぜ「牙」という漢字が当てられたのかはよく分からない。
 因みに人間の歯の治療はかなり古くから行われていたようで、なんと旧石器時代、歯を抜いたり歯を削ったりする習慣があったというから驚きだ。
 そして、長崎県歯科医師会のホームページには、「B.C.5000年頃パピロニアの王家の図書館でみつかった粘土板にむし歯の原因が“歯の虫”であるとの記述があります。」
 わが国では、「701年(大宝元年)わが国最古の法令『大宝律令』や『養老律令』の『医疾令』に定められた医学生の教育内容の中に耳目口歯科と明記され、耳、目、口、歯は一つの科として医師が行うことになっていた。」ということです。

 このように歴史を紐解いてみると、エジプトに端を発した医療が最先端だったようで、その関係から、歯科医療は西洋のほうでより早く発達し、先端を行っていたようです。

耳寄り情報
 歯医者に行ったとき、表には出てこないのが、歯科技工士である。私の場合、ある歯医者で、部分入れ歯が壊れたので治療してもらった。この歯医者は実に藪医者で、部分入れ歯を作り変えてもらうのに型を3回とって、3回共に入れ歯を入れたら、1時間と持たない間に歯茎とこすれて、出血した。こんな医者は信用できないので、ついにそれまでの治療費は捨てて、その医者にいく事をやめた。この場合医者が悪いのか、歯科技工士が悪いのかは分からないが、おそらく医者が、「歯科」ではなくて、「薮科」だったんだろうと思っている。
 ところで現代では、中国の歯科技工士が最先端だということだそうだ。中でも広東省の「歯科技工士」が最も優れているそうで、いまやブランド化しているとのことだ。 


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2018年10月4日木曜日

漢字「芽」の起源と成り立ち:芽は牙のようであることから来ているのか


漢字「芽」の起源と由来

引用:「汉字密码」(P134、唐汉著,学林出版社)

「芽」の字の成り立ち」
 芽は植物の種子の新芽を指す。または植物の葉や花が蕾を含みほころびを待つ最初の状態を指している。小篆の芽の字は草冠の字の頭と牙が組み合わさった字で明らかに形声字である。
 芽の字にどうして「牙」が用いて、その声符となしたのだろう。小篆、楷書の「芽」の字は構造は「互」によく似ているしLと¬が交錯した構造になっている。
 双葉がかみ合っていることから、草かんむりに音符の「牙」をとったという。因みのこの説明は「漢字源」、「字統」でも同じで、会意+形声文字という。


古人は「芽」と「牙」に何を見たか
 「芽」の字の声符は動物の牙をとっており、双葉の柔らかい新芽を表している。花の蕾もいわゆる固い形状も一緒に芽という。人々は常に芽胞というがこれは最初に出てくる葉や花の芽が牙のような形状をしていることからそういう。芽は通常植物の種子、葉、花の蕾の最初の状態を言う。また拡張して、事物のはじめの状態を「萌芽」という。

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