祝
「祝」は今ではそこらじゅうで祝い、喜びを表現しているが、古代には神事に伴う厳粛で、厳かなものであったらしい。神がわれわれに近づいたのか、われわれが神に近づいたものか?
神のためならなんだってできる。人だって簡単に殺される。では神って何だ!
「祝」これは会意文字である。甲骨文字の右辺は「兄」で本義は話ができる子供のことである。左辺は示偏で祭祀の中で神主の位牌である。ここでは両形の会意でお供えの机を前にして神霊の面前で祈祷をしていることを示している。祭祀者は神主の前に跪いて、ある言葉を念じている。
金文、小篆、楷書の祝うの字は、甲骨文を一脈受け継いでおり、形体は相似。ただし書き方で多少違うところのある。
「祝」は説文では祭主祭詞者のことと解してしている。みことのりを用いて神に福を求める人。神に仕える者。また拡張して、「司祭者」などの口の中での祈りも指します。
字統の解釈
示と兄とに従う。 示すは祭卓、兄は祝壽の器を奉ずるもので、祝詔する人を言う。
白川博士によると「兄」というのは、古代では単なる兄弟の「兄」ではなく、神のお告げを入れる器を捧げ持つ人という特殊な立場の人を指したという。
説文に「祭りに賛詞を主るものなり」とあり、女の巫を女巫、男巫を祝と言う。
結び
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