2021年7月7日水曜日

漢字「何」の使われ方は我々に何を教え、何を語るのか、人間は漢字・何から何を学び、何を残すのか


漢字「何」は、人間社会の変化から何を語り、何を伝えるのか?
 人々が肩に戈を担いでウロウロしていてもそれほど違和感を覚えることなく、単に「肩に戈を担ぐ人」と表現していた社会が、時代が下って小篆の時代になると、矛を肩に担いでどこかに行く人を見ると「あんた何やねん?」とか、「何処へ行くねん?」と問わずにはおれなくなるような違和感を感じる時代に移行したと考える。この間の時代の変遷は一体何だろう?

 もちろんたった一つの事象で物事を決め付けるわけにはいかない。しかし歴史的考証を積み重ねることで、その変化を何かの確かなものに確認することができると信じる。

 私はこの漢字考古学が歴史を確かなものに認識する重要な武器になると信じる。


漢字「何」の楷書で、常用漢字です。
 象形字です。甲骨文と金文の「何」の字は戈を担いでゆく有様です。この評価は、現在では定着しているようで、」度の学者も戈を担いで行く形象であると論じています。そしてそのことから「誰何」という問いかけに「用いられたと考えられています。

 この見立ては、確かに納得できます。

 大きな戈を担いで歩いていたら、誰でも「そんなものを担いで何処へ行く?」とか、「何をするつもりだ?」とか、問いかけたくなります。「何」とか「何者」という疑問師がここから生まれたことは極めて納得いく話ですよね。
何・楷書


  
何・甲骨文字
本義は戈を担いで行く事です
何・金文
字の本義は戈を担いで行く事です。その発声は更新中の兵士の叫び声に関係がある。このことから負荷、承荷に拡張される。漢語の発展中あるいは使用中その意味の「荷」が表示されるようになり、且つ「何」が多用されるようになった
何・小篆
「何ぞ」の義は可に従う字で、荷戈の字とは字源が異なり、可の字義を承ける。可には呵責誰何の義があり、それより疑問視となった。


    


「何」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   カ
  • 訓読み   なに、なん

意味
     
  • なに、なん、なんの
      いずれの、どれかの
  •  
  • いずく、いずくにか(疑問・反語の助字→どこに~か
  •  
  • どうして、何故

同じ部首を持つ漢字     荷、苛
漢字「何」を持つ熟語    何、誰何、 何時、何者、何処、何人、何程、幾何、如何




引用:「汉字密码」(P601、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「何」原本は象形字です。甲骨文と金文の「何」の字は全て方に矛を担いでゆく有様です。口の中で何か叫んでいる様子です。小篆の「何」の字は「人と可の発声からなる。その中で人の字は分離して、大きく張った口と矛が合一して可となった。

 



漢字「何」の漢字源の解釈
 象形文字:人が肩に荷を担ぐ姿を描いたもので、後世の負荷の荷(になう)の原字。
 しかし普通は一喝するの喝と同系の言葉に当てて喉を掠らせてはアッと怒鳴って、行く人を押しとめるの意に用いる。
 「誰何する」という用例が原義に最も近い。転じてひろく相手に尋問する言葉となった。


漢字「何」の字統の解釈
 声符は「可」卜文の字形は戈を荷う形につくり、それが初形であろう。即ち荷の初文。「説文」儋ふなり」とする。「何ぞ」の義は可に従う字で、荷戈の字とは字源が異なり、可の字義を承ける。可には呵責誰何の義があり、それより疑問視となった。


まとめ
 一つの漢字でも、それが生まれて、色々な人々に使われ成長し、老成していく。それは社会の発展でもある。漢字の変化を通して、社会の発展を跡付ける。漢字から歴史を見つめるのは面白い手法ではないだろうか



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

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