2021年7月5日月曜日

漢字「賓」の成り立ち:本来は男女の密会という関係示していたが、財力や社会における優位性が尊重される関係に変化したことを顕示している


 漢字「賓」の成り立ち:本来は男女の密会を表していたのが、経済発展に伴い、財力のある男(客)が訪れることを「賓」と称するようになった
 甲骨文字では女の居住する家に男が訪れることを「賓」といっていたようだが、社会ン変化につれ、財を持った客が訪れることを「賓」という漢字で表すようになった

漢字「賓」の楷書で、常用漢字です。
 殷商時代は「王権母系制が占める種族奴隷制社会である。この時はただ成人した女性だけが専用の個室を持てて、成年男子は共同の集団生活をしていた。

 しかし時代が下り、男性優位の社会で、なおかつ財力が力を持つようになると漢字もそれにつれ変化をした。この「賓」という漢字も社会の変化の波に飲み込まれることとなった。
賓・楷書


  
賓・甲骨文字
「上部は「ヤネ」、その下は二人の男女+足ですべての会意で、男女の密会を表している。
賓・金文
屋根の下の女性がなくなり、男と子安貝となっている。即ち金のある男が居室にいることを示す
賓・小篆
小篆の「賓」の字は、金文を受け継ぎ、隷書化の後、楷書の「賓」となった。「賓」は説文は「賓」は敬うことなりとしている。


    


「賓」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ヒン
  • 訓読み    ー

意味
     
  • 上客、訪ねてきた人 例:主賓、来賓   客として泊まる  客としてもてなす
  •  
  • 従う   従える
  •   

同じ部首を持つ漢字     儐、嬪、濱、擯
漢字「賓」を持つ熟語    賓客、来賓、国賓、公賓、迎賓、主賓、貴賓




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 殷商時代は「王権母系制が占める種族奴隷制社会である。この時はただ成人した女性だけが専用の個室を持てて、成年男子は共同の集団生活をしていた。よって「賓」は男性が伴侶を訪ねることであり、男子の角度から見て、「賓」は女性の伴侶の部屋の中に客として入ったことを示す。

 金文の「賓」の字は女性と足の記号が省かれ、居室の下は男性と貝だけになっている。「貝」は古代社会の一種の貨幣であり、この種の形の上での変異は両性の間の係わりを示している。既に財を作る媒介が必要とされることが顕示されている。即ち男子の居室を占有していることを示している。時は既に「王権父権制社会」に入っている

 古漢語中の主客との関係で「賓」は、まだ服従・教順を示している可能性がある。



漢字「賓」の字統の解釈
 会意:宀と万と貝に従う。万の形は犠牲の下体の象形で、廟中に犠牲を供えて神を迎える意である。賓とは客神をいう。「賓は原型に貝を加えた形であり、もともと賓は客神を意味していた。


まとめ
 字統では賓の起源を「宀+万」としているが、唐漢氏は賓の甲骨文字を「宀+男+女+足」の会意としており、全く成り立ちをするものが異なる。このブログの性格上両説の是非を云々する立場にはないので、そのような意見もあるという紹介にとどめておく



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

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