2021年3月7日日曜日

漢字の成り立ちの意味するもの:漢字「望」は月を背伸びして待ち望む風情が面白い


漢字の成り立ちの意味するもの:漢字「望」は月を背伸びして待ち望む風情が面白い
 漢字「望」の成り立ちを、甲骨文、金文、小篆のそれぞれの時代区分で、下記に列挙した。
「望」の本義は、「人が足をそばだてて遠く望む形」を表現したものですが、古代人が物事を特徴的に如何に捉え表現していたかのその巧みさに驚くばかりです。夫々に目を大きく見開いて(目をむいて)遠くを眺める様が実に闊達に表現されています。本当に3000年前に描かれたものだろうか。現代の漫画でも通用する抜群のセンス。

古代から今日まで、「希望」とは眼を大きく見開いて、前方をみつめること!


望・甲骨文字望・金文望・小篆




「望」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ボウ モウ
  • 訓読み   のぞ(む)・もち

意味  遠方を見渡す。,まちのぞむ。願う。のぞみ。,人々に期待されること。よい評判。名声。,満月。

成り立ち   背伸びをして遠くの月をのぞみ見ることを表す。

願い
  • 人気や評判という意味もあることから、人望のある人になるように願って。
  • ロマンに満ちて、努力して望みをかなえる強い意志を期待して。
  • 多くの可能性を力に、夢をかなえる人になるように。

熟語   望遠 望外 望郷 望月 望見 望日 望楼 一望 遠望 渇望 希望 願望 仰望 失望 志望 嘱望 所望


引用:「汉字密码」(Page、唐漢著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「望」は甲骨文字は人が土の上に立って、眺めている状態です。金文では眼の目に変貌しています。小篆の「望」の字は望む対象として月が追加されています。明らかに人るのまるい月で、夜空にかかる時、人々は不自由なく月あかりを望んで頭を上げてゆくことができます。小篆には別の一款の「望」があります。ここで望の中の臣が亡に置換されたあと、形声字が作られました。説文は「望」を「出亡在外,望其还,从亡,望省声。」(出て居なくなって、かえって来るを望む:字統)としている。望の原本は旧暦の15日を指す。


字統の解釈
 形声。卜文は大きな目を上げて先方を仰ぎ見る人の形で、元象形。望の字はそれに声符として、亡を加えた形声字である。
 卜文の望は人が足をそばだてて遠く望む形の象形字。



結び
 古代から人間は希望に自分の将来を託してきた。

「希望」とは眼を大きく見開いて、将来に望みを託すこと!


「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

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