2021年12月23日木曜日

漢字・絶の由来と起源は:糸と色から成る。この糸は何を示し、この色は何を示すか 今驚くべき人間の業欲が明らかになる


漢字・絶の由来と起源は:構成要素の一つ「色」が色気の「色」であることに驚いた。人間から色を取り除くことはできないのだと強く感じた
 漢字の世界でも、容色の「色」が色気という意味でつかわれるのは時代が下ってからのことと思っていた、ところが、漢代ではすでに用いられている。恐るべし「人間の業」

漢字「絶」の楷書で、常用漢字です。
 左側は「糸」で、右側は「色」で、語義は、元々人と節に従う意味であった。人の後ろにまた人がおり、抱く形で相交わることを示す。色は容色を表すの意味で、今使われる彩色のことは、古くは采といった。糸と色の会意で、色を絶つと解釈してもあながち間違ってはいないように思うが。
 
 ここで、断ち切る対象は、臍の緒というごく身近なものから、糸や、物事の連関というように一般的なもの、抽象的なものに変化している。この過程は社会発展の歴史であるといえないだろうか
絶・楷書


  
絶・甲骨文字
二つの連なった糸を途中刀で断ち切る様子を表す
絶・金文
一つの刀で二つの臍の緒の中間を切断した様子である。臍の緒の形はさらに図象化している。
絶・小篆
左半分は「糸」の字で右半分の上部は刀である。糸、刀で形符に用いられている。下部は「卩」


    


「絶」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ゼツ
  • 訓読み   たえる

意味 
  • 「たつ」 ・・ 「断ち切る」、「中断する」(例:中絶)、「殺す」
  •  
  • 「かけ離れる」  ・・「かけ離れている」(例:絶倫)  「優れている」、 「勝る」(例:卓絶)
  •  
  • 「険しい」・・「切り立っている」(例:絶壁) 

同じ部首を持つ漢字     「絶」は脆・最などは同系という
漢字「絶」を持つ熟語    絶交、絶対、絶倫、絶食




引用:「汉字密码」(P544、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 甲骨文の絶の字は、二つの連結したものが臍の緒で結ばれていることを示している。二つの臍の緒で結ばれたものの中間は横線が引かれている。これは臍の緒の両端を切断したことを示している。血縁が続けることを中止したことを示している。

 「絶」の本義は、子孫を絶つことである。血縁の縁族を中断することを示している。拡張して、一般の意味の「断絶、隔絶、終止」などの意味である。外交関係を断絶し、いわば断交であり、図書を以後出版しないことを絶版という。子孫を断ち切ることを殺絶という。すべて断絶と終わりをいう。

 



漢字「引」の漢字源の解釈
 会意文字:「糸+刀+卩」で刀で糸や人を短い節に切ることを示す。ふっつりと横に切ること。右側に部分はもと色ではなく刀印を含む。また卩は人の姿と解してもいい。

 字統の解釈とは異なる


漢字「絶」の字統の解釈
 形声、 声符は色、「色」にゼイの声がある。説文に「断糸なり。糸に従い、刀に従い、卩に従う」とあり、、会意とするが、色声とみてもよい。初文は糸を断卩した形である。


まとめ
 漢字「絶」の構成要素である「色」の解釈で、全体の意味の解釈が大きく異なる。「色」が容色という意味を表すことが、このように昔からあったとは驚きだ。人間の業である、容色の色を太古の人々も感じていたとは・・。



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2021年12月22日水曜日

漢字「寅」の成り立ちと由来は如何に:そして来年は最強の金運「五黄の寅」に当たる


漢字「寅」は、現代では十二支や名前しか使われない。干支は干支でも最強の運勢「五黄の寅」を自分のものにせよ!!という説あり
「寅」という漢字は。現代では専ら十二支と名前にのみつかわれている。

 日本人に最もなじみが深いのは、言わずと知れた、`フウテンの寅さん」こと寅次郎である。この響きは、平成になった今も「昭和のノスタルジック」な郷愁をもって私らたちの頭の中に生きている。

 甲骨文字から見る原字からは、矢をまっすぐに伸ばす(直す)という意味が見て取れる。しかし、今やそのような原義は失われて、名前と十二支だけに用いられているのはなぜだろう。
 英語で、寅のことをTigerというが、その語源は、ペルシア語のthigra、ギリシア語でtigrisから英語・ドイツ語のtigerへと変化したとのこと。

   来年、令和四年は九星気学において、最強の運勢とされる五黄土星と十二支の中で最も金運が強いとされる「寅年」が重なる36年に一度の貴重な年だそうです。『五黄の寅』と呼ばれ、とりわけ強い運気を持つとされる年だそうですです。
 さらに干支では壬寅と表記し、壬(みずのえ)は五行説で水の流れるが如く金回りがよくなる年とされています。
 しかも、今年の漢字は『金』でした。これぞ最強の舞台設定です

 当たらぬの八卦、当たるも八卦、信じるか信じないかはあなた次第。しかし、信じて待つのではなく、【自分も豊かになるのだ】という前向きの気持ちで事に当たれば、道は開ける。これが運勢学で最も肝要なこと。
漢字「寅」の楷書で、常用漢字です。
 矢と両手に従う。 両手を持って 矢柄を治す形である。
 矢が曲がりなくまっすぐになるということから、物事が滞りなく進むという意味に拡張され、「演」という漢字ができたと伝えられる。
寅・楷書


  
寅・甲骨文字
別の一款からは、もう少し矢の曲直を治すことが明示されたように見えるものもある
寅・金文
甲骨文を基本的に引き継いでいる
寅・小篆
唐漢氏は寅の本義は、胎盤が引き落とす導引を示すとするが、どこからそのような解釈が生まれるのかよく分からない


    


「寅」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   イン
  • 訓読み   とら

意味
  • 十二支の第3番目の年
  •  
  • 名前・・・寅吉、寅雄、寅次
  •  

漢字「寅」を構成要素に持つ漢字    演、
漢字「寅」を持つ熟語    寅歳


引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 寅が十二支に占める位置は第3位である。これも会意文字である。
 甲骨文字の寅の字は繁簡両方の型式を持っている。その一は上部の矢の形に同じ符号である。これは臍の緒が繋がっている方向を示している。下部の符号「文(父)」は即ち母親の産門を示したものだ。そして中間の口は産門の内外を示したものである。三つの形の会意で、胎児が出産後、胎盤からまだ出ずに,臍帯がつながった状態を示している。

 その二は上部の三角は胎盤で、中間の左右両辺に手があり、そろそろと注意深く胎盤から引き下ろしている様を示している。したがって、寅の本義は、胎盤が引き落とす導引を示す。

 唐漢氏はこのように「寅」の字を十二支に由来するとして、一貫して縷々説明をするが、字形とその説明はどうも結びつかない。




漢字「寅」の漢字源の解釈
 原字は 矢+両手で矢をまっすぐ伸ばすを示す。寅はそれに宀を添えたもので家の中で体を伸ばし 居住まいを正すこと。

漢字「寅」の字統の解釈
 矢と両手に従う。 両手を持って 曲直を治す形である 篆書の字形は、その初形を失っており、説文、古文の字形も甚だしく形が変形しているが、卜文の字型にはその初意がなお 残されている。
 字統によると、十二支にこの字が用いられているのは仮借であるという。(発声が似ているため、別の漢字から持ってきて、青の漢字に当てた)


まとめ
 「寅」は今では人々の名前と十二支にしか使われない。使われなくなった理由は、使われる場面がなくなったということだろう。多くの字にも栄枯盛衰があるだろう。このブログはその人間の生活史を跡付けることも指名があると考えるので、追々考えていくことにしよう。

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