2021年1月13日水曜日

漢字「軍」成り立ち:兵車が周りを取り囲んでいる様を表す。駐屯時に兵車を用い、軍隊の軍営の周りに障壁を形成した。

「軍」これは会意文字である。兵車が周りを取り囲んでいる意味である。駐屯時には兵車を用いて、軍隊の軍営のために障壁を形成した。
 漢字軍の成り立ちは「車」と「勹」の字からなる、会意文字である。「勹」の字は象形文字で、漢字源の説明では、人が前に物を抱きかかえ体を丸く曲げて包んだ姿を描いたもの。

 「車」と「勹」の会意文字で、兵車を用いて、軍隊の駐屯時に兵車を用いて、軍隊の軍営の周りに障壁を形成した様を表現した。



引用:「汉字密码」(P612、唐汉著,学林出版社)
車で周りを取り囲んでいる・・駐屯地の陣容を示している
唐漢氏の解釈
 「軍」これは会意文字である。金文の「軍」字の中には「車」の字がある。字の外部は勹の字で、まるで手で囲んでいるように見える。(勹の字は象形文字で、人が前に物を抱きかかえ体を丸く曲げて包んだ姿を描いたもの。漢字源より)両形の会意で兵車が周りを取り囲んでいる意味である。小篆のかき方は金文と形体は大体同じである。

 春秋戦国時代の戦争中兵車は作戦の主要武器であったばかりでない。駐屯時には兵車を用いて、まさに駐屯地を取り囲むようになり、軍隊の軍営のために障壁を形成した。

 だから軍の本義は兵営とその周囲の壁、陣営である。



古代の一軍の規模
 兵車は常に軍隊の指揮車でありだから軍は又所有し指揮する軍隊の編成単位だったといえる。《管子•小臣》を解釈すると『万人为一军』とある。説文では古代では12500人を一軍とみなしたとある。

 因みに日本の自衛隊では、師団が約7000人規模で、その上部組織として方面隊というのがあり、おおむね2個師団を擁しているらしい。このことから考えると、いろんな面で未発達の面がある中で、一軍12500人というのは、かなりの大きさといえる。逆にいうとそれだけ税負担が大きかったことにもなり、いかに収奪が激しかったのではないかと考えられる。


結び
 漢字の歴史は社会の歴史の墓標ともいえる。このように漢字をたどることにより、漢字そのものだけではなく、社会、昔の生活が浮き彫りになってくる。

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漢字「念」の成り立ちや如何に:男の性欲をそのまま漢字にしたものと見るか心の奥深くしまい込んだ思いと見るか



漢字「念」は男の性欲をそのまま漢字にしたもの

 漢字「念」は男の性欲をそのまま漢字にしたもの。ところが、もう一つ別の考え方は、「心の奥深くしまいこんだ思い」と解釈する説もある。この両者の違いは、一に「今」という漢字の解釈の違いにある。即ち「今」を射精と見るか、栓を酒器と見るかである。

 



引用:「汉字密码」(526、唐汉著,学林出版社)
念は今+心の会意文字
唐漢氏の解釈
 念は会意兼形声文字である。金文の念の字の上部は「今」という文字である。この表示は男性の性行為をいう。下部は「心」のデッサンである。両形の会意で、男子の性愛に対する渇望を表している。小篆の念の字は金文を引き継ぎ楷書も小篆を引き継ぎ、この構図は一脈を受け継いでいる。 念は説文では「心と今の声から常に思うなり。」としている。長く思うという意味だ。実際上念の本義から思慕するから来ている。




字統の解釈
 形声: 声符は今。今は栓のある蓋の形で、飲の初文はこれに従う。酒器に栓蓋を施している形である。


結び
 念は声を出して読む、念じるなど高尚な意味に用いられているが、説文では「心と今の声から常に思うなり。」としている。長く思うという意味だ。要は男の性欲をそのまま字に表した字という。しかし、太古の昔から、このようなある種の心中の思いを感じにすることができたのか少し疑問だ。





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