2021年1月2日土曜日

新年の「新」の起源と成り立ち:新は囚人の拘束具を斧で解き放つ意味で、囚人から奴隷へと新しい命運の始まりをいう

新年の「新」の起源と成り立ち:新は囚人の拘束具を斧で解き放つ意味で、囚人から奴隷へと新しい命運の始まりをいう
 「新年おめでとう」、「謹賀新年」などと普段から何気なく使う新年の「新」。実はその起源と成り立ちは我々が思いもよらなかった歴史が秘められていて、そこには血と涙の弛まぬ人々の思いがこめられていた。

 漢字「新」の左側は囚人のための拷問器具である「辛」、右側は柄の折れ曲がった斧である「斤」です。 二つの図形の会意文字は、囚人を護送した後、斧を使用して拷問器具を首から外すことを意味しています。囚人の拘束具を斧で解き放つ意味で、囚人から奴隷へと新しい命運の始まりをいう。


引用:「汉字密码」(P622、唐汉著,学林出版社)
「新」は囚人の首から斧で枷を外す意味
唐漢氏の解釈
 「新」、これは会意文字です。甲骨文の「新」という言葉は左右が結びついた構造を持っています。左側は囚人のための拷問器具である「辛」、右側は柄の折れ曲がった柄の斧である「斤」です。 二つの図形の会意文字は、囚人を護送した後、斧を使用して拷問器具を首から外すことを意味しています。

 金文の「新」は甲骨文字を継承しましたが、斧の形は「斤」に変化しました。小篆の文字「新」が左側の「辛」の下に「木」が追加されています。これにより、小篆の左側の構成が簡略化され、「亲」になり、そのため、「新」と表記されます。 捕虜から奴隷へ、それは新しい命運の始まりです。

 「新」の本来の意味は「新生」、つまりさしあたり死から逃れ(古代社会では大きな祝福です)、「奴隷の新しい運命」の始まりです。このことから、拡張され一般的な意味の「新」すなわち「新しい人、新しい火、新しい芽、花嫁」などの一般的な意味での「新しい」に拡張されます。
 捕虜の首から拷問器具を外し、薪に使用します。したがって、「新」はたきぎの意味を持つことから「薪」とも書きます。「新」に「草冠」を付け加えたものです。 《南史•陶渊明传》のなかの「助汝薪水之劳。」の中の 「薪水」の本来の意味は、薪と水です。薪と水は生活必需品です。したがって、後世は「薪水」を「俸禄」と呼び、現在は「給料」と呼ばれています。



字統の解釈
 会意文字:辛と木と斤に従う。辛は針。新木を採るとき、木を選ぶのに矢を放ち、針を打つなどして選木の儀礼があって、神に供すべきものを定めた。新とは新死者のための神位を作るの意味。


漢字源の解釈
 会意兼形声 辛は鋭い刃物を描いた象形文字。亲は「木+音符「辛」の会意兼形声文字で、木を切ること。「新」は「斤(斧)+音符「亲」で、切り立ての木、生々しい意。


結び
「新年おめでとう」、「謹賀新年」などと普段から何気なく使う新年の「新」。実はその起源と成り立ちは我々が思いもよらなかった歴史が秘められていて、そこには血と涙の弛まぬ人々の思いがこめられていた。



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2021年1月1日金曜日

賀正の「賀」の成り立ち:財を意味する貝と加えるが併わさったおめでたい漢字


賀正の「賀」の成り立ち:財を意味する「貝」と加えるを意味する「加」が合さったおめでたい漢字

「賀」の成り立ちと由来

 毎年この時期になると「賀正」とか「謹賀新年」という言葉が飛び交いる。普段何気なく使っている漢字「賀」にはどんなに意味が込められているのだろうか。

年賀の季節到来!! 年賀の「賀」の成り立ちと由来は?

 結論から先に言うと、賀正の「賀」の成り立ちは財を意味する「貝」と加えるを意味する「加」が合さったおめでたい漢字である。
 財を高め、祝いを言う、贈り物を贈り、祝いの意を表す。このことから、正月などの慶祝に「賀」という文字を使う。

 年賀状は下火になったといえ、今なお冬の風物詩であり、日本の文化でもある。正月を祝うという文化は、形を変えてでも残っていくような気がしてならない。


引用:「汉字密码」(P790、唐汉著,学林出版社)

唐漢氏の解釈
 「賀」は会意文字+形声文字である。金文の「賀」の字は貝と加からできている。「貝」はここでは財物を表す。「加」は「力+口」の会意文字で、上に何かを載せるという意味を含む。添加の意味である。
小篆の「賀」は上下の字が結び合わさって改まり楷書はこの関係から「賀」と書く。

説文では賀を解釈して、「礼」を以って喜びを相奉ることだ。即財宝・贈り物を送り慶祝の意を表す。


「字統」の解釈
 「字統」では、「加」+「貝」の会意文字で、「加」は鍬を清めその生産力を高める儀式を意味するという。いずれにせよ、生産力を高め財を増やすという意味だと解釈する。

漢字源の解釈
 会意兼形声。加は「力+口」の会意文字で、、上に何かを載せるという意味を含む。賀は「貝+音符加」で、もと、礼物をうず高く積み上げるの意。転じてものをおくってお祝いをすること。


結び
 賀正の「賀」の成り立ちは財を意味する「貝」と加えるを意味する「加」が合さったおめでたい漢字である。

 漢字「貝」という漢字が使われているのは、太古の昔にはお金の換わりに子安貝のような「貝」が使われていたことからきているもので、偏であろうと旁であろうと「貝」が使われている漢字は、殆ど財やお金に関係があると考えて間違いはない。
右の画像は南太平洋諸島で実際に使われていた貝の貨幣である。

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