2020年11月22日日曜日

女の漢字「妊」の起源と由来:女偏に「壬」で処女から若妻に替わることを表わしているか?

漢字「妊」の起源と由来:女偏に「壬」で処女から若妻に替わることを表わしているか?

「妊」:説文では「孕」なりと説明がある。
「壬」は貫くという意味で、
女性が最初の性交を通して若妻になることを示している
唐漢氏の解釈
「妊」これは会意及び形声文字である。説文では「妊」即ち孕むことなりと云っているが、説文ではこれに疑念を持ている。
  女と壬から成り立ち、壬は声調を表す。

  図に示すように甲骨文字の任は右辺は女で左は「工」に似た「壬」である。「壬」は上古時代は、専ら針の意味を持っていた。

  このことから貫き通す、通過の意味である。女性が最初の性的接触を経て、処女から若妻に替わることを表示していると考える。
  「工」は工具の意味として用いられ、「左」という漢字も、手に工具を持つ意味と解釈されている。女偏に「壬」で女に何らかの手が加えられたことを意味するかの解釈もなりたつ。
  金文の「妊」の字は左辺の「工」の字の中に一点が加わっている。小篆はこの点が長くなり今日の楷書になった。


字統の解釈
  因みに白川博士はこの「工」という字を呪具で、古代では巫女や卜時に使っていたと推測している。これを呪具と見るか針のような工具とみるかは、文字学観にも係わる非常に重要な問題だと思う。

  女子と男子の交わりは受胎妊娠となる。為に妊の字は女性の懐妊を表している。即ち妊娠で妊の字は現代漢語では、この意味で使われ続けている。
 

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2020年11月4日水曜日

漢字「竈」の由来と成り立ち:中国語では簡略化され「灶」と書く



 鬼滅の刃の竈門兄弟はえらく難しい名前である。漢字「竈」成り立ちは?最近こんな難しい字が書ける人はそうおるまい。中国語では簡略化され「灶」と書くが、「竈」というもの見ることがほとんどできなくなって、今や死語のようになってしまっている。少し前、それでも50年程前には少し田舎に行けば、よく見ることができた。

 通常は土でできた調理装置である。最近見たのは、高野山の宿坊で見ることができた。







引用:「汉字密码」(P765、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈

 金文の「竈」という言葉は会意文字です。上部は「穴」です。ここでは動物の巣穴を意味します。下部は古代の火灶の象形図であり、カニの爪の形すなわち芝草で周囲を囲まれ中央に掘られた火の道です。

 小篆の「灶」という文字は、複雑なものから単純なものにされ、楷書は小篆を継承し、「竃」と書きます。簡略化の過程で中国語の文字は、「土かと火と」の「灶」という文字に変更されました。「灶」(説文)は、「灶、調理用灶」、つまりレンガなどで作られた調理器具と解釈されます。





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