2020年11月1日日曜日

漢字「鬼」の起源と由来:先人たちは、別の世界に住む死後の人間を「鬼」と考えていた

漢字「鬼」の起源と由来:古代の先人たちは、別の世界に住む死後の人間を「鬼」と単純に考えていた
 古代では、人が生きている間は、「ひと」の世界に人が死んだ後は「鬼」の世界でそれぞれすみ分けていたと考えていたようだ。つまり、今のように神格化せず、単なるすみわけと単純に考えていたようだ。

 ところがいつの間にか、人間の現世でもややこしい世界が出てきた。いつから古代人の純朴さを失うようになったのだろう

 今や死ななくても、「鬼」のような世界に住んでいる人が増え続けているのではないだろうか。

 

引用:「汉字密码」(P832、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
「鬼」会意文字です。「説文」は次のように解釈されます. 人と鬼字のの頭の形から人が帰るところを「鬼」となした。(つまり人の死後帰する場所を「鬼」としている。現代でも、人が死ぬことを「鬼籍に入るというがこれは3500年前に使われていた概念をまったく変わらないことになる。)「甲骨文の「鬼」の文字からみて、これらの「鬼」の字はすべて男性と女性の体を持っている。

 田のような形は大きな鬼の頭で、古代の祖先の目では、生きているうちは人と呼び、死んだ後は鬼と呼ばれています。
 明らかにこれは鬼の頭で人(王様を含まない)から形をとった死後が骸骨の頭になったものです。 鬼の字は人とそしてその死後の頭骸骨の頭から作られている。
  人の最後の人の最後の帰着を表示しており、また人と鬼の間の関係も示しています



文字の概念の発展
 この小篆の字は、変化の過程の中で、「私」の最初の文字である「ム」の形が右下に追加されています。

 古代の人々は、陽、公私を問わず、人間は陽に住んでおり、死後陰に戻ると考えていました。
 小篆は、「ム」の形を追加し、鬼の居場所を示します。春秋時代以降 鬼と魂は自在に行き来することができるものと、やっと人の主観的な世界の中に入ってきた。

 以降鬼の字は万物の精霊を意味するものと見られるようになった。しかしこれはこの鬼の字を作る最初に含まれていた意味と甚だしく離れるものとなった。 鬼は人間が作り上げたもので、概念に並外れた力を与えています。その結果、さまざまな比喩的な意味を生みました。



字統の解釈
 鬼の形で、人鬼をいう。

 説文に「人帰するところを鬼と為す。人に従い鬼頭に象る。鬼は 陰気賊害す。ム に従うとし、ムを陰気を示すもの」とするが 古い字形は、ただ人の鬼の形に作る。

 字統の解釈では、鬼の字を説明するのに「鬼」の字を以って為しており、これは明らかな自己矛盾といわざるを得ないのだが・・。こちらの読みが足らないのか?



結び
 「鬼」という漢字の生まれと、概念の発展の過程を見ると、最初の純朴な概念を表していた漢字が、次第にいろいろな考えや概念が含まれるようになって、使いこなされてきている事が良く分かる。これは文字の発展の歴史を見る典型的なもののような気がする。

****スポンサーからの贈り物 *****


鬼の面は、邪悪なものを追い払う鬼神で威力の強い神であるという。


「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2020年10月30日金曜日

漢字「門」の起源と由来:門を形どった門そのものの象形文字


 漢字の面白さがそのままの形で分かる。誰から見ても門は門だ。門柱を2本だけ立てたものではなく、門柱に横木を渡して門の形を整えているのは、考えることはみな同じといえる。

 この文字を基にして、間、閉、関、開などの漢字が生まれた、まさに基本中の基本の漢字といえる。


引用:「汉字密码」(P736、唐汉著,学林出版社)
象形文字である。
門柱の上に横木を渡し形を整えたことは字からも読み取れる
唐漢氏の解釈
 「门」とは、建物や他の建物の出入り口を指す「門」の簡体字です。甲骨文の「門」という字は、門構え、ドア横木、両開きの門扉があります。これは明らかに完全な門です。 中国古代の建築形式で、片扉から両開きへと、発展させたものです。金文の「扉」の横木は削除されていますが、両開きの扉の元の形はそのままです。小篆と楷書はこれを一脈通じ、漢字の簡体化とき、画数が多すぎるので「门」となりました。

 門の本来の意味は、両開きの門で「芝で覆った門戸」を示しています。詩で詠われた門です。また、拡張され部屋の出入り口、つまり「部屋のドア」を示すように拡張されました。



字統の解釈
 説文の解釈を引用し、やはり「門」の象形文字とする。



漢字源の解釈
 左右2枚の扉を設けた門の姿を描いたもので、やっと出入りできる程度に狭く閉じているの意を含む



結び
漢字の面白さがそのままの形で分かる。誰から見ても門は門だ。門柱を2本だけ立てたものではなく、門柱に横木を渡して門の形を整えているのは、考えることはみな同じといえる。

この文字を基にして、間、閉、関、開などの漢字が生まれた、まさに基本中の基本の漢字。人間の思考の発展過程を辿ることができる漢字である。


「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。