2019年1月15日火曜日

漢字「税」の由来:「税」を分解してみれば、「税」の本質が分かる(再録!)

税という言葉を分解してみれば、言葉の本質が見えてくる
 今年の漢字は「税」
 
漢字はその中に、生活や考え方や文化が込められていて奥が深い。この「税」という漢字を通して、今に通じる「税」の本質が見えてくる。

 この「税」という漢字はというのは「禾偏」(のぎへん)+「兌」の会意文字である。
 禾という漢字は穀物に使われている。
 「「兌」という漢字は、脱皮や脱力という言葉にも用いられているが、元々「抜き取る」「脱がす」という意味がある。
 この2つの要素を合わせると、まさに穀物を抜き取るという言葉になる。

  最近政治資金規正法をめぐっての動きが激しい。
 

「税」の解釈、税の本質

 さてここで問題の消費税であるが、そもそも税とはいったいなんだろう。早速調べて見た。  漢字源によると、「税: みつぎ。国家や支配者が人民の収入や収穫のうちから抜き取って徴収するもの。年貢。」  なかなかすばらしい解説である。土地や田畑から徴収するものを「租」といい「品物や収入から徴収するものを税と呼んだ。昔は1割を理想としたが、現実には田租は5,6割にも達した。「動詞では「ゼイす」とはぬく、抜き取る。はがす。自分の持ち物をぬきとって人に与える。」とある。少し前の「はがし」などとは月とすっぽんの違いである。  さて、このゼイというのは「禾偏」+「兌」である。



「兌」の解字


 それでは「兌」という字はどうだろう。漢字源によるとこの字は「あな、ぬく、ぬきとる」など4つの意味を持っている。解字として、「会意文字である。八印(開く、抜ける)+「兄」。悦や脱の原字で、人の衣を開いて脱がすさまを示す、ぬきとるの意も含む」とある。
いよいよ唐漢氏の解釈に入る。 これは会意文字である。甲骨文字の「兌」の字は、下半分が兄という字である。原本では長男とでも言っていいだろう。上半は大声での発声の符号を表している。ここでは憚ることなく言うことを示して、思ったことをそのまま言うことである。であるからには声は出て、兌は話の最初の言い方とも言える。 金文から小篆、小篆から楷書、整体字形は完全に相似で、同じ流れと見ていい。


「兌」の本義

 「兌」の本義は説となる。《易・兌卦》は「「兌」は「説」である。但しこの意味から起こってきて「説」の字に引き継がれている。両者の間は古今字の関係を形成している。すべての解説で明らかなように、言うもの、聞くもの心の中は皆、明らかで、このことから「兌」は又悦の意味を持つ。後世、悦の字を作りこのこの意味を表すようになった。

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2019年1月14日月曜日

漢字「鮮」の由来:朝鮮の「鮮」はどこから来たのか


朝鮮:誇り高き朝鮮民族、後に鮮卑族として北東中国を制した民族のロマンの舞台の地
 「朝鮮」という名前がこの世に登場したのは、紀元前4世紀頃からあったことが確認され、『史記』や『管子』に「朝鮮」という地名に関する記述がある。その由来としての説はいくつかあり、楽浪朝鮮からとか、中国人が朝光鮮麗の地と呼んだためだとか東方(=朝)の鮮卑に由来すると諸説があるが、結論に至っていない。

 考古学的に証明できるのは、朝鮮の最初の国家で建国者から名乗って衛満朝鮮といわれている。その活動拠点の一つには朝鮮半島の中部に位置した楽浪郡で、この地は海に接していることからも、また後に鮮卑族として、勢力を保持したことから見て、漁にも長けていた事から、このような辞が生まれたと言えないだろうか。

 しかし、そもそも漢字「鮮」は魚のように新鮮だということを、魚と羊肉を使って表したものだと言えましょう。

引用:「汉字密码」(P5、唐汉著,学林出版社)

「鮮」の字の成り立ち」
 会意文字です。

 マトンは特別な美味しさと高いカロリーを持っており、そしてそれが特に冬の空腹時には、それは全身をポカポカと暖めます。したがって、中国の人々の心の中では、マトンと魚は共に味覚と嗅覚を刺激する特別な食べ物です。魚と羊でできた「新鮮な」という言葉は、古代の先祖の子羊に対する愛着を本当に反映させたものになっています。

 上の図に示すように、金文では「鮮」では、羊は上、魚は下、上下の結びついた構造は小篆の「鮮」という単語が左右の構造に受け継がれ、変更されています。楷書は小篆を受け継ぎ、左右合体した文字となっている。

 三百三百年前、黄河の真ん中に繁栄した王朝の殷商王朝には、亀の甲をもっぱら使用した卜辞を常々刻みつけに「羊10匹と牛2匹を用いた」という卜辞が刻まれていました。意味は祖先の神霊を拝みお祭りする時、10匹の羊と2匹の牛でお祭りをしたということで、古代の祖先は、祖先に最高で最も美味しく新鮮な食べ物を神霊の面前にお供えをし、彼らがこれらのお祭りしたことで、最高の主権と優先権を享受できるものと信じていました。このことは私たちの先祖の目から見ると、羊の肉は確かに一種の「新鮮で」美味しい食べ物と考えていたことを証明できるものです。


漢字源
会意文字。「魚+羊」で、生肉の意味を表すとしている。
この解釈は。唐漢氏ともほぼ同じで、多分魚が脚が速い事から、新鮮さを魚という文字で表したものだろうと推察される。



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