2019年1月6日日曜日

漢字「下」は、太古の昔は「横線の下に短い横線」と書き、「二」と紛らわしかった


漢字「下」の起源と由来
 「下」は「上」と同様、数字の「二」によく似たように書いていたが、あまりに紛らわしいので「下」という字ができた。ここに概念の分化即ち字の発達の過程を見ることができる。

引用:「汉字密码」(P338、唐汉著,学林出版社)

「下」の字の成り立ち」
"下Xia"もまた指示語であり、その意味は "上"とは反対です。甲骨文字の「下」は、長い水平または円弧の下に短い横線を追加して下の位置を示している。 後の時代になって金文は、それを「二」から区別するために、意図的に長い垂直線を加た。楷書はその脈絡で、「下」と書いています。

「下」の使い方
元々の "下"の意味は、 "上"の反対ですが、低い所と低いの面の意味もある。 
拡張され、「下級、下層、下流」などの等級や品質の下等なもの、「午後、次の時間」などの順序とその後の意味を表します。 「下」は動詞としても使用でき、「下乡(田舎へ行く)、下岗(解体する)、下放(下に放逐する・文革のときによく使われました)、下班(仕事を降りる)」などのように使われます。


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漢字「税」の本義は「収穫の一部を抜き取ること」


漢字「税」の起源と由来
 新年も明け、今年は新しい元号となる。また今年の10月には消費税10%が予定されている。この「税」という字に焦点を当ててみたい。

 もちろん税は必要である。それは否定はしない。しかし、文字の成り立ちから言うと、「収穫の一部を抜き取ること」である。

 「税」のないユートピアはないのだろうか。税の面だけから考えると、最近までユートピアは存在した。一昔前のアラブ首長国連邦だ。産油国という特殊な状況にあったが。もちろんこれが理想の国というつもりはない。しかし、生産性が上がれば、そのような状態が出現するのも事実だ。

引用:「漢字源」(P1153、藤堂明保他編,学研)

「税」の字の成り立ち」
「禾(作物)+音符兌」で、収穫の一部を抜き取ること。
この説明が一番ぴったり来る。
同じ系譜に属する漢字
① 脱 「月」偏は「肉ツキ」ともいい肉体を示すことで、「脱」は衣を脱いで裸になることの意味
② 悦 リッシン偏に兌で、心が解脱状態になっていること。愉悦などに使われる
③ 鋭 汚れがなくなり、金属が裸の状態で鋭いという意味を表す

漢字「兌」の起源と成り立ち
漢字源の説明・・会意文字。「八印(開く、抜ける)+兄(人)」。悦や脱の原字で、人の衣を開いて脱がすさまを表す。抜き取るの意を含む。

唐漢氏の説明・・会意文字である。甲骨文字の「兌」の字は、下半分が兄という字である。思ったことをそのまま言うことである。兌は「話」の初文。


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