2019年1月8日火曜日

漢字「責」の成り立ち:甲骨の時代も責任は結局「金」の問題だったのか


漢字「責」の下部は「貝」(当時の金)だ。何を意味する?

引用:「汉字密码」(P790、唐汉著,学林出版社)

「責」の字の成り立ち」
 責は会意文字である。甲骨文字と金文の「責」はの構造はよく似ている。下部は両者とも「貝」であるし、上部は「刺す」の字である。原本はいばらの上のとげの描写である。ここでは針で突き通すことを表している。二つの形は串を用いて貝を朋となす。そして蓄積をあらわし、儲けるの意味もある。小篆の責は金文を受け継ぎ、楷書は隷書化の過程で上部の束が変形して責になった。

「責」の原義は貯蓄である
 責の本義は蓄積である。この言葉は後に作られた積の字に受け継がれている。責すなわちその意味が拡張され、すなわち蓄積、求めてとるという意味になった。


編集後記
 日本で責任の取り方として、「責任は俺がとる。腹を切ればいいだろう」というのがある。この責任の取り方は、どうも日本だけのようである。いかにも潔いようであるが、考えようによっては、責任は個人でとれるほど軽いものではない。たった一人の腹きりで何百人という将兵の命の責任をどうして取れるというのだろう。
 この言葉は昔から散々聞かされてきた。先の大戦の「インパール作戦」でも、こうして叫んだ将軍もいたようであるし、つい先の国会で、「責任は私がとります」といった首相がいたようであるが、私には、これらの言動は「責任逃れの最たるもの」のように思えてしまう。考え違いもいいところだ。
 トップの命など庶民にとっては何の役にも立たないことこの上ない。このことは漢字の「責」からも窺い知ることができる。



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2019年1月6日日曜日

漢字「下」は、太古の昔は「横線の下に短い横線」と書き、「二」と紛らわしかった


漢字「下」の起源と由来
 「下」は「上」と同様、数字の「二」によく似たように書いていたが、あまりに紛らわしいので「下」という字ができた。ここに概念の分化即ち字の発達の過程を見ることができる。

引用:「汉字密码」(P338、唐汉著,学林出版社)

「下」の字の成り立ち」
"下Xia"もまた指示語であり、その意味は "上"とは反対です。甲骨文字の「下」は、長い水平または円弧の下に短い横線を追加して下の位置を示している。 後の時代になって金文は、それを「二」から区別するために、意図的に長い垂直線を加た。楷書はその脈絡で、「下」と書いています。

「下」の使い方
元々の "下"の意味は、 "上"の反対ですが、低い所と低いの面の意味もある。 
拡張され、「下級、下層、下流」などの等級や品質の下等なもの、「午後、次の時間」などの順序とその後の意味を表します。 「下」は動詞としても使用でき、「下乡(田舎へ行く)、下岗(解体する)、下放(下に放逐する・文革のときによく使われました)、下班(仕事を降りる)」などのように使われます。


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