2011年11月1日火曜日

妻にかかわる故事と「妻」という字の持つ重さ

「妻」の歴史的変遷

 妻は古代は単に名詞として用いられただけではなく、男子の配偶者の呼称であったし、また動詞として用いられ、女性が嫁いで妻になることを示した。この用法の中で、「妻」はQi(チー)と読まれた。論語の中で「以其子妻之。」の中の「子」は女性を指し、「妻」は動詞として用いられていて、人に嫁ぐことを指している。

   史記の中に「妻を殺して将を取る」という故事がある。呉起は有名な軍事家であった。出生は周辺の国だが、魯の国の官であった。ある時、斉の国が出兵し魯の国に攻め込んできた。魯の国の君主は呉起に領兵の攻撃の準備をさせた。しかし呉起の妻が斉国の人であったために躊躇っていた。

 呉起はそれを知るとただちに家に帰りすぐに自分の妻を殺し、自分に二心ないことを表明し、全心全意で魯国に忠誠することを示した。魯国の王はここにいたってやっと彼を統帥将領任命した。この故事は戦国時代のものである。まさに女性が男の家に嫁ぐ時は男の家のものになるという時代である。

 エンゲルスは「家族・私有財産と国家の起源」の中で、古人の婚姻制度は決して男女にとっていい形で出現したわけではない。ましてやこの形態の最高の形式であったわけではない。それに反しそれは女性にとっては男の奴隷にもなることを意味した。婚姻は全歴史を通じて両性の衝突の宣告と出現するものとなった。

 この論断は「妻」の歴史的形成をよく言い表している。
   

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2011年10月22日土曜日

漢字の成り立ちの意味するもの:漢字「孕」を作った発想はすごい。まんまじゃー 

漢字の成り立ちの意味するもの:漢字「孕」を作った発想はすごい。

  「乃」と「子」からなる。「乃」は金文では二人称に用いられ、いわゆる「汝」として用いられる。また中国語では「奶」(おっぱい)の旁に用いられる。以上のことから類推して「孕」は汝の子として作られた可能性もある。
漢字「孕」の本義は懐妊である。

妊婦の腹の中に子を包んでいる様が形象化されている。
金文の中の下部の横線は懐妊中は
性交を禁忌すべきことを表したもの。
 「孕」と「身」はともに同じ由来を持っていて、甲骨文字では同じ構造をしている。

 従って「孕」という字は「身」の意味を持っている。即ち身重、懐妊の意味である。

 甲骨文字中で細かく描かれているものは、金文中の中では「子」の形は簡略化され一点になっている。また、下辺に加えられた横線は妊娠期間中は性交を禁じたものである。

 小篆の「孕」の字は体と「子」から構成されたものである。
 字形が整えられて、母親の腹の中にいる子供を強調したものである。

 「孕」の本義は懐妊である。妊婦のことである。即ち懐妊した女性を指す。《説文》の解釈は、子を包むこと。《庄子・天運》曰く、妊婦は10月で子を産む。いろいろな事を発生することから、生育と似たように捉えて、いわゆる孕育の一語でたくさんの新事物が萌生・発育することを比喩している。例えば、雨は雲の中で孕育するとか新しい文化が旧体系の中で孕育される等など。

胎児は母親の腹の中にあって、自ら包含する意味から、いわゆる孕の字は包孕のように特に包含することに用いられる。

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