2011年10月20日木曜日

秋は収穫の季節 「米」と「糠」の漢字の由来と起源

秋は収穫の季節。稲の穂がたわわに実り、田畑が黄金の絨毯の様を呈する時、古人(今も)神に感謝し、収穫の喜びを感じる。

  稲作が日本に伝わってから日本の文化は大きく変わり、縄文式文化から弥生式文化へと変貌を遂げる。今から約2千年前の出来事である。そして米を作り続けて、今日本社会は大きな問題に直面している。

今「米」作りを根本から見直す時期に来ているのかもしれない。

甲骨文字の下半分は
横棒一と3つの点で「雨」を表す
「米」の字は象形文字である。甲骨文字は上下6つの点は米の顆粒を表し、中の横線は風が吹きすぎたさまを表し、米と米ガラの分離を示している。

 また水の組成の(雨)をいう記号を用いることにより、区別する符号を当てている。小篆の米の字はまさに中間が上下に貫通し楷書の米の字に似たものに代わっている。

 糠の字は会意文字である。古文字の中で康と書く。康の字は借用されて、安康、健康の康に用いられる。

(本来殻の付いた穀物は腐りにくく、比較的保存しやすい所から来ている)

 
糠の漢字の由来は「康」
甲骨文字の康という字は中間部分は篩の類の工具である。上部の「子」は上に上げる意味を持つ。下の4つの点は扇ぎ出された米糠を表す。金文は大体甲骨の形に似ている。ただ篩の形に少し変形している。小篆の字形は篩が二分割され、上に上げた両手に代わっている。中の糠は米に代わっている。隷書を経て、楷書は只一つの字形を留保している。


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2011年10月14日金曜日

漢字「冬」の起源と由来:二つの石を綱でつないだ古代の狩猟具の象形文字

漢字「冬」起源と由来:二つの石を綱でつないだ狩猟具の象形文字
 冬の甲文の原型は二つの石を綱でつないだ狩猟具の象形文字。はるか昔の先民は1メートル近い縄の端に石の球をつけた狩猟道具を力任せに振り回して投げつけ、逃げ回る野獣の両足に絡みつかせて倒して捕獲したり、或いは群れをなして飛ぶ鳥に向かって投げつけ、両方の意思が旋回しながら飛ぶことで攻撃面積を増やしたことで飛ぶ鳥を捕捉し食糧を確保していた。

 現在ではこの道具を連球と称している。当然この種の工具を使用する最もいい季節は冬である。白雪が土地を覆い、多くの木々の葉が落ち、身を隠す機会の少ない冬場には、この種の捕獲道具は遠くの距離の獲物を捕らえることができる。よって小篆の冬の字は下部に氷を表す2つの点を加えることで、これが凍りつく冬の地上で使える特殊な効能を表している。


唐漢氏の解釈
、この甲骨、金文の冬の字を、女性の妊娠の終わりの意味が込められていると見る。甲文は胎児と胎盤がへその緒で繋がっている形に見える。胎児と胎盤が産門から出た後すぐに育て生むことを終結させる。昔の人にあっては、嬰児が暖かな母体の中から生まれ出た後、最初の感覚は冷たいということであったろう。

 太古の先民は万物がきびしい中にあって、冬の季節の概念を獲得するのはきっと早かったことだろう。この時期は寒さと飢餓を伴っていた為に、この種の感覚はきっと鋭く深刻であったろう。而して明確なこの文字を用いてこの季節を表現するようになってきたと考える。しかしこれは少し後の事情かもしれない。

 「三体石経」(冒頭のバナーの中で「古文」で表示)の中にある字を作っている。これは胎盤と胎児がつながっている図形の中に「日」を加え、冬を独立させ、冬は純粋に時間の概念となった。

 小篆では、日がなくなり、氷の記号を加え冬の字の形が整えられ、楷書では「冬」となった。こうして冬はつくりが加えられ、一年の終わりを表している。

字統の解釈
 白川静先生は常用字解の中で、『象形。編み糸の末端を結びとめた形。甲骨文字・金文の字形は末端を結びとめた形であるが、後にその下に氷を加えて、冬となった。冬がその音を借りる仮借の用法で四季の名の「冬」に用いられるようになって、糸の末端を示す糸へんを加えた終の字が作られた。冬は終りのもとのじである。』と解説されている。

結び
 唐漢氏の解釈はいささか飛躍したものの様な感じがしないわけではない。一方白川先生の解釈では、末端を結び止めた形の字氷を加えて冬が出来た所までは理解できるが、糸をつなぎとめたものと冬とがどう結びつくのか、理解できない。白川先生はもう少しそのあたりを説明されているのかもしれないが、私の不勉強でそこまでは読み解けない。


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